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条文解説 177件
- 民法第1条民法第1条:基本原則(公共の福祉・信義則・権利濫用)民法1000条余りの出発点にある3つの原則。私権は公共の福祉に適合すること、権利行使と義務履行は信義に従い誠実に行うこと、権利の濫用は許されないことを定めています。
- 民法第2条民法第2条:解釈の基準民法は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として解釈しなければなりません。条文の読み方そのものを縛る、たった一文の条文です。
- 民法第3条民法第3条:権利能力(私権の享有は出生に始まる)人は生まれた瞬間に、権利を持ち義務を負う資格を得ます。外国人も原則として私権を享有します。胎児がどう扱われるかは、民法の別の条文が例外を置いています。
- 民法第3条の2民法第3条の2:意思能力意思表示をした時に意思能力がなかったなら、その法律行為は無効です。年齢や審判で線を引く行為能力の制度と対になる、その土台にあたる条文です。
- 民法第4条民法第4条:成年年齢18歳をもって成年とします。たった一行の条文ですが、行為能力・婚姻・養親・遺言など、年齢で線を引く制度全体の起点になります。
- 民法第5条民法第5条:未成年者の法律行為未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意が必要で、同意なくした行為は取り消せます。ただし「単に権利を得、又は義務を免れる行為」と、処分を許された財産の処分は例外です。
- 民法第6条民法第6条:未成年者の営業の許可一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては成年者と同一の行為能力を持ちます。堪えられない事由があるときは、法定代理人が許可を取り消し、又は制限できます。
- 民法第7条民法第7条:後見開始の審判精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、家庭裁判所が後見開始の審判をすることができます。請求できる者は条文に列挙されています。
- 民法第8条民法第8条:成年被後見人及び成年後見人後見開始の審判を受けた者は成年被後見人となり、これに成年後見人が付されます。二つの呼び名がここで生まれ、以後の条文はこの言葉で書かれていきます。
- 民法第9条民法第9条:成年被後見人の法律行為成年被後見人の法律行為は取り消すことができます。ただし日用品の購入その他日常生活に関する行為は例外で、同意を得ていても取り消せる点が未成年者と決定的に違います。
- 民法第10条民法第10条:後見開始の審判の取消し民法7条の原因が消滅したときは、家庭裁判所は請求により後見開始の審判を取り消さなければなりません。「することができる」ではなく義務として書かれている点が要点です。
- 民法第11条民法第11条:保佐開始の審判事理を弁識する能力が著しく不十分である者について、家庭裁判所が保佐開始の審判をすることができます。後見の原因がある者は対象から外れる、というただし書が置かれています。
- 民法第12条民法第12条:被保佐人及び保佐人保佐開始の審判を受けた者は被保佐人となり、これに保佐人が付されます。民法8条と同じ形の、呼び名と保護者を決める一文です。
- 民法第13条民法第13条:保佐人の同意を要する行為等被保佐人が保佐人の同意を得なければならない行為を、1項が10号にわたって列挙します。審判による追加、同意に代わる許可、そして取消しまでを定めた、保佐制度の中心となる条文です。
- 民法第14条民法第14条:保佐開始の審判等の取消し民法11条本文の原因が消滅したときは、家庭裁判所は請求により保佐開始の審判を取り消さなければなりません。2項は13条2項で追加された同意事項の取消しを定めます。
- 民法第15条民法第15条:補助開始の審判事理を弁識する能力が不十分である者について補助開始の審判ができます。本人以外の者の請求によるときは本人の同意が必要で、必ず17条1項か876条の9第1項の審判とともにしなければなりません。
- 民法第16条民法第16条:被補助人及び補助人補助開始の審判を受けた者は被補助人となり、これに補助人が付されます。民法8条・12条と同じ形ですが、補助人の権限は審判で個別に決まる点が大きく違います。
- 民法第17条民法第17条:補助人の同意を要する旨の審判等補助人の同意権は、特定の法律行為について審判で定めてはじめて生じます。その対象は民法13条1項の行為の一部に限られ、本人以外の請求によるときは本人の同意も必要です。
- 民法第18条民法第18条:補助開始の審判等の取消し民法15条1項本文の原因が消滅したときは補助開始の審判を取り消さなければなりません。同意の審判と代理権の審判をすべて取り消す場合にも、補助開始の審判の取消しが義務づけられます。
- 民法第19条民法第19条:審判相互の関係後見・保佐・補助が同時にかからないよう、新しい審判をするときは前の審判を取り消さなければならないと定めます。制度を乗り換えるときの整理を一手に引き受ける条文です。
- 民法第20条民法第20条:制限行為能力者の相手方の催告権取り消されるかもしれない不安定な立場に置かれた相手方に、確答を求める催告権を与える条文です。誰に催告したかで、返事がないときの効果が追認と取消しに分かれます。
- 民法第21条民法第21条:制限行為能力者の詐術制限行為能力者が「自分は行為能力者だ」と信じさせるために詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません。保護に値しなくなった者から、取消権そのものを外す条文です。
- 民法第22条民法第22条:住所住所とは「生活の本拠」である、とだけ定めた一文の条文です。届出や住民票ではなく、実際の生活の実態から決まる点を、最高裁の事例が具体的に示しています。
- 民法第23条民法第23条:居所住所が知れないときは居所を住所とみなす、という補充の条文です。2項は日本に住所を有しない者を扱い、ただし書で準拠法の問題に道を譲っています。
- 民法第24条民法第24条:仮住所ある行為について仮住所を選定すると、その行為に関してだけ仮住所が住所とみなされます。当事者の選択で住所を置き換えられる、住所まわりで唯一の条文です。
- 民法第25条民法第25条:不在者の財産の管理住所や居所を去った人が財産の管理人を置かなかったとき、家庭裁判所が必要な処分を命じます。本人がいない間、残された財産をどう守るかを定める節の入口です。
- 民法第26条民法第26条:管理人の改任不在者が自分で管理人を置いていても、その生死が明らかでなくなったときは、家庭裁判所が管理人を改任できます。本人の選択を裁判所が上書きできる、例外的な場面です。
- 民法第27条民法第27条:管理人の職務家庭裁判所が選任した管理人は、財産目録を作らなければなりません。本人が置いた管理人にも、生死不明なら目録作成を命じられます。財産を守る仕事の出発点を定めた条文です。
- 民法第28条民法第28条:管理人の権限管理人が民法103条の権限を超える行為をするには、家庭裁判所の許可が必要です。保存・利用・改良までは自由、それを超える処分には歯止め、という線引きを定めています。
- 民法第29条民法第29条:管理人の担保提供及び報酬家庭裁判所は、管理人に担保を立てさせることができ、不在者の財産の中から相当な報酬を与えることもできます。任せる側の不安と、引き受ける側の労に、ひとつの条文で応えています。
- 民法第30条民法第30条:失踪の宣告生死が7年間明らかでないとき、家庭裁判所は失踪の宣告をすることができます。2項は危難に遭遇した場合を1年に縮め、起算点も別に定めています。
- 民法第31条民法第31条:失踪の宣告の効力失踪の宣告を受けた者は、死亡したものとみなされます。死亡とみなされる時点が1項と2項で違い、そこから相続の開始時期などが決まります。
- 民法第32条民法第32条:失踪の宣告の取消し生存や別の死亡時の証明があれば、家庭裁判所は失踪の宣告を取り消さなければなりません。ただし取消し前に善意でした行為は影響を受けず、財産の返還も現存利益にとどまります。
- 民法第32条の2民法第32条の2:同時死亡の推定複数人が死亡し、どちらが後まで生きていたか明らかでないときは、同時に死亡したものと推定されます。相続で誰が誰を相続するかを決めるための、前提となる条文です。
- 民法第33条民法第33条:法人の成立等法人は、法律の規定によらなければ成立しません。第三章「法人」の入口に置かれ、設立・組織・運営・管理を個別の法律へ委ねることを宣言する条文です。
- 民法第34条民法第34条:法人の能力法人は、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において権利を有し、義務を負います。会社の政治献金をめぐる八幡製鉄事件が、この「目的の範囲」の広さを示しています。
- 民法第35条民法第35条:外国法人外国法人は、国・国の行政区画・外国会社を除き、その成立が認許されません。認許された外国法人は、日本の同種の法人と同一の私権を有します。
- 民法第36条民法第36条:登記法人及び外国法人は、この法律その他の法令の定めるところにより登記をするものとする、と定める一文です。何をいつ登記するかは、個別の法令に委ねられています。
- 民法第37条民法第37条:外国法人の登記認許された外国法人が日本に事務所を設けたときの登記を、8つの項にわたって定めます。登記事項・期間・対抗力・成立の否認・移転・過料まで、民法に残る唯一の詳細な登記規定です。
- 民法第38条民法第38条〜第84条:削除第三章「法人」のうち、民法38条から84条までは現行法で「削除」です。条数が第37条から第85条へ飛ぶ理由と、法人の規定が今どこにあるのかを確認します。
- 民法第85条民法第85条:物の定義民法にいう「物」とは有体物である、と定めた一文です。第四章「物」の入口として、権利の対象となるものの範囲をここから組み立てていきます。
- 民法第86条民法第86条:不動産及び動産土地及びその定着物を不動産とし、それ以外の物をすべて動産とする、二分法の条文です。対抗要件や取得のルールが分かれる出発点になります。
- 民法第87条民法第87条:主物及び従物所有者が物の常用に供するため自分の物を附属させると、それが従物になります。「従物は、主物の処分に従う」の一文が、抵当権の効力の及ぶ範囲にも及びます。
- 民法第88条民法第88条:天然果実及び法定果実物が生み出すものを、天然果実と法定果実の2つに分けて定義します。果物や作物だけでなく、賃料のようなお金も「果実」として扱われる点が要です。
- 民法第89条民法第89条:果実の帰属天然果実は元物から分離する時の権利者に帰属し、法定果実は日割計算で取得します。生まれ方が違えば、誰のものになるかの決め方も違うという条文です。
- 民法第90条民法第90条:公序良俗公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は無効です。第五章「法律行為」の入口に置かれ、契約自由に対する最も基本的な歯止めとなる条文です。
- 民法第91条民法第91条:任意規定と異なる意思表示法令中の「公の秩序に関しない規定」と異なる意思を表示したときは、その意思に従います。任意規定と強行規定という区別を、条文の言葉から読み取る条文です。
- 民法第92条民法第92条:任意規定と異なる慣習任意規定と異なる慣習があり、当事者がその慣習による意思を有していると認められるときは、その慣習に従います。慣習が条文を上回るための条件を定めた条文です。
- 民法第93条民法第93条:心裡留保「冗談で売ると言った」場合、その約束は有効なのか。本心でないと分かっていながらした意思表示=心裡留保のルールを整理します。
- 民法第94条民法第94条:虚偽表示相手方と示し合わせてした「ウソの契約」は無効です。ただし、その外観を信じた善意の第三者には無効を主張できません。当事者間の無効と第三者保護の関係を整理します。
- 民法第95条民法第95条:錯誤勘違いに基づく意思表示は、その錯誤が重要なものであるときに取り消せます。2種類の錯誤、基礎事情の表示、重過失による制限、第三者保護と、4項すべてに関門がある条文です。
- 民法第96条民法第96条:詐欺又は強迫だまされた・おびやかされた意思表示は取り消せます。ただし第三者が詐欺をした場合には相手方の主観が問われ、詐欺による取消しは善意無過失の第三者に対抗できません。強迫との扱いの差が要です。
- 民法第97条民法第97条:意思表示の効力発生時期等意思表示は通知が相手方に到達した時から効力を生じます。到達を妨げられた場合のみなし到達と、発信後に表意者が死亡等した場合の扱いもあわせて定めています。
- 民法第98条民法第98条:公示による意思表示相手方や所在が分からないとき、公示の方法で意思表示ができます。掲示と官報掲載から2週間で到達とみなされますが、表意者に過失があれば到達の効力を生じません。
- 民法第98条の2民法第98条の2:意思表示の受領能力意思表示を受けた時に意思能力がなかった者や、未成年者・成年被後見人には、その意思表示を対抗できません。ただし法定代理人などが知った後は対抗できます。
- 民法第99条民法第99条:代理行為の要件及び効果代理人が権限内で本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に直接効力を生じます。第三節「代理」の入口として、代理の3要件を示す条文です。
- 民法第100条民法第100条:本人のためにすることを示さない意思表示顕名をしないでした意思表示は、代理人が自分のためにしたものとみなされます。ただし相手方が代理であることを知り、又は知ることができたときは、代理として扱われます。
- 民法第101条民法第101条:代理行為の瑕疵だまされたか、知っていたか。意思表示に問題があったかどうかは、原則として代理人について判断します。ただし特定の行為を委託した本人は、自分が知っていた事情を持ち出せません。
- 民法第102条民法第102条:代理人の行為能力制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限を理由に取り消せません。効果が本人に帰属する代理では、代理人自身を守る必要がないからです。
- 民法第103条民法第103条:権限の定めのない代理人の権限権限の定めのない代理人ができるのは、保存行為と、性質を変えない範囲での利用・改良だけです。処分行為が枠の外にあることを示す、短くて効き目の広い条文です。
- 民法第104条民法第104条:任意代理人による復代理人の選任委任による代理人が復代理人を選任できるのは、本人の許諾を得たときか、やむを得ない事由があるときだけです。信頼して選ばれた者の勝手な下請けを封じる条文です。
- 民法第105条民法第105条:法定代理人による復代理人の選任法定代理人は自己の責任で復代理人を選任できます。やむを得ない事由があるときは、責任が選任・監督の範囲に軽くなります。任意代理人との違いが際立つ条文です。
- 民法第106条民法第106条:復代理人の権限等復代理人は本人を代表し、本人及び第三者に対して代理人と同一の権利を有し義務を負います。「代理人の代理人」ではないことを条文が明示しています。
- 民法第107条民法第107条:代理権の濫用代理人が自己や第三者の利益を図る目的で権限内の行為をし、相手方がその目的を知り又は知ることができたときは、無権代理とみなされます。権限はあるのに効果が本人に及ばない場面です。
- 民法第108条民法第108条:自己契約及び双方代理等自己契約・双方代理と、代理人と本人との利益相反行為は、無権代理とみなされます。ただし債務の履行と本人があらかじめ許諾した行為は除かれます。
- 民法第109条民法第109条:代理権授与の表示による表見代理等「あの人に代理権を与えた」と第三者に表示した者は、その表示どおりの責任を負います。2項は、表示された範囲を超えた行為にまで責任が及ぶ場合を定めています。
- 民法第110条民法第110条:権限外の行為の表見代理代理人が権限外の行為をした場合でも、第三者に代理権があると信ずべき正当な理由があれば、本人が責任を負います。94条2項との類推適用でも登場する条文です。
- 民法第111条民法第111条:代理権の消滅事由代理権は、本人の死亡、代理人の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判で消滅します。委任による代理権は、これに加えて委任の終了でも消滅します。
- 民法第112条民法第112条:代理権消滅後の表見代理等代理権が消滅した後の行為でも、消滅を知らず過失もない第三者は保護されます。2項は、消滅した代理権の範囲すら超えた行為について正当な理由を求めます。
- 民法第113条民法第113条:無権代理代理権のない者がした契約は、本人が追認しなければ本人に効力を生じません。無効でも有効でもない宙づりの状態を、本人の意思で確定させる仕組みです。
- 民法第114条民法第114条:無権代理の相手方の催告権相手方は本人に対し、相当の期間を定めて追認するかどうかの催告ができます。確答がなければ追認を拒絶したものとみなされる点が、民法20条と逆向きです。
- 民法第115条民法第115条:無権代理の相手方の取消権本人が追認をしない間、相手方は契約を取り消せます。ただし契約の時に代理権のないことを知っていた相手方は取り消せません。悪意の相手方が外される場面です。
- 民法第116条民法第116条:無権代理行為の追認追認は契約の時にさかのぼって効力を生じます。ただし第三者の権利を害することはできません。さかのぼるからこそ、その間に生まれた権利を守る歯止めが要ります。
- 民法第117条民法第117条:無権代理人の責任本人が追認しないとき、無権代理人は相手方の選択に従って履行又は損害賠償の責任を負います。2項が3つの免責事由を並べ、判例が「過失」の意味と表見代理との関係を示しています。
- 民法第118条民法第118条:単独行為の無権代理単独行為の無権代理には、相手方が同意したか代理権を争わなかった場合に限って113条から117条までが準用されます。契約より厳しい条件が置かれた条文です。
- 民法第119条民法第119条:無効な行為の追認無効な行為は追認しても効力を生じません。ただし無効と知って追認したときは、新たな行為をしたものとみなされます。第四節「無効及び取消し」の入口です。
- 民法第120条民法第120条:取消権者取り消せる人は条文が限定しています。行為能力の制限による取消しと、錯誤・詐欺・強迫による取消しとで、取消権者の範囲が違う点が要です。
- 民法第121条民法第121条:取消しの効果取り消された行為は、初めから無効であったものとみなされます。取消しがあってはじめて無効になる点で、はじめから無効な行為とは出発点が違います。
- 民法第121条の2民法第121条の2:原状回復の義務無効な行為で給付を受けた者は原状回復義務を負うのが原則です。無償行為の善意の受領者と、意思能力を欠いていた者・制限行為能力者は現存利益にとどまります。
- 民法第122条民法第122条:取り消すことができる行為の追認取消権者が追認すると、以後その行為を取り消すことができなくなります。宙づりの状態を「有効」の側へ確定させる一文です。
- 民法第123条民法第123条:取消し及び追認の方法相手方が確定している場合、取消しと追認は相手方に対する意思表示によってします。誰に伝えれば効くのかを定めた、短くて実務的な条文です。
- 民法第124条民法第124条:追認の要件追認が効力を生じるには、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ取消権を有することを知った後であることが必要です。2項は保護者が追認する場合などの例外を定めます。
- 民法第125条民法第125条:法定追認追認をすることができる時以後に6つの事実のいずれかがあったときは、追認をしたものとみなされます。異議をとどめれば別ですが、黙って動けば確定してしまう条文です。
- 民法第126条民法第126条:取消権の期間の制限取消権は、追認をすることができる時から5年、行為の時から20年で消滅します。起算点の違う2つの期間が並んで置かれた、第四節の締めくくりです。
- 民法第127条民法第127条:条件が成就した場合の効果停止条件付法律行為は条件成就の時から効力を生じ、解除条件付法律行為は効力を失います。第五節「条件及び期限」の入口となる条文です。
- 民法第128条民法第128条:条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止条件の成否が決まらない間も、当事者は相手方の期待を壊してはいけません。まだ効力が生じていない段階の相手方を守る条文です。
- 民法第129条民法第129条:条件の成否未定の間における権利の処分等条件の成否が決まらない間でも、その権利義務は処分・相続・保存でき、担保に供することもできます。条件付きの権利を財産として扱えることを示す条文です。
- 民法第130条民法第130条:条件の成就の妨害等故意に条件の成就を妨げた者に対しては成就したものとみなすことができ、不正に成就させた者に対しては成就しなかったものとみなすことができます。仕掛けた側に不利益を向ける条文です。
- 民法第131条民法第131条:既成条件法律行為の時にすでに勝負がついていた条件の扱いです。停止条件か解除条件か、成就していたか否かで、無条件と無効に振り分けられます。
- 民法第132条民法第132条:不法条件不法な条件を付した法律行為は無効です。「不法な行為をしないこと」を条件とする場合も同じく無効とされる、後段の一文が要点です。
- 民法第133条民法第133条:不能条件実現できない条件を付けた場合、停止条件なら無効、解除条件なら無条件となります。131条と同じく「効力を生じさせる向きか、消す向きか」で導ける条文です。
- 民法第134条民法第134条:随意条件停止条件が単に債務者の意思のみに係るときは無効です。「気が向いたら払う」という約束を、約束として扱わないための条文です。
- 民法第135条民法第135条:期限の到来の効果始期を付けると期限が到来するまで履行を請求できず、終期を付けると期限の到来で効力が消滅します。条件と違い、必ず来るものを扱う条文です。
- 民法第136条民法第136条:期限の利益及びその放棄期限は債務者の利益のために定めたものと推定されます。放棄はできますが、それによって相手方の利益を害することはできません。
- 民法第137条民法第137条:期限の利益の喪失破産手続開始の決定、担保の滅失等、担保供与義務の不履行。この3つの場合、債務者は期限の利益を主張できません。第五節を締めくくる条文です。
- 民法第138条民法第138条:期間の計算の通則期間の計算方法は、特別の定めがある場合を除き第六章の規定に従います。民法だけでなく他の法令にも及ぶ、共通ルールの入口です。
- 民法第139条民法第139条:期間の起算時間によって期間を定めたときは、その期間は即時から起算します。日以上の単位を扱う140条の初日不算入と対になる、短い条文です。
- 民法第140条民法第140条:初日不算入の原則日・週・月・年で期間を定めたときは、初日を算入しません。ただし午前零時から始まるときは初日から数えます。期間計算で最も問われる条文です。
- 民法第141条民法第141条:期間の満了期間は、その末日の終了をもって満了します。末日の午前零時ではなく、末日が終わるまで期間は続くという一文です。
- 民法第142条民法第142条:末日が休日にあたるとき末日が日曜・祝日その他の休日にあたるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、翌日に満了します。「限り」という限定が要点です。
- 民法第143条民法第143条:暦による期間の計算週・月・年による期間は暦に従って計算し、途中から起算するときは応当日の前日に満了します。応当する日がない月の扱いも定めた、実務的な条文です。
- 民法第144条民法第144条:時効の効力時効の効力は、その起算日にさかのぼります。長い年月の経過が、はじめの時点まで巻き戻って効くことを示す一文です。
- 民法第145条民法第145条:時効の援用時効は当事者が援用しなければ、裁判所はこれによって裁判ができません。消滅時効については、保証人・物上保証人・第三取得者らも括弧書きで当事者に含まれます。
- 民法第146条民法第146条:時効の利益の放棄時効の利益は、あらかじめ放棄することができません。「あらかじめ」の一語が禁じる範囲を決めている、短くて重い条文です。
- 民法第147条民法第147条:裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新裁判上の請求など4つの事由があると、その事由が終了するまで時効は完成しません。権利が確定すれば更新され、確定せずに終わったときは6か月の猶予が残ります。
- 民法第148条民法第148条:強制執行等による時効の完成猶予及び更新強制執行など4つの事由でも、時効は完成猶予され、事由の終了時から更新されます。ただし取下げ等で終了したときは更新されず、6か月の猶予にとどまります。
- 民法第149条民法第149条:仮差押え等による時効の完成猶予仮差押え・仮処分があると、その事由が終了した時から6か月を経過するまで時効は完成しません。147条・148条と違い、更新の規定が置かれていない点が要です。
- 民法第150条民法第150条:催告による時効の完成猶予催告があると、その時から6か月間は時効が完成しません。ただし猶予されている間の再度の催告には、猶予の効力がありません。
- 民法第151条民法第151条:協議を行う旨の合意による時効の完成猶予権利についての協議を行う旨の合意を書面ですると、時効の完成が猶予されます。再度の合意も可能ですが、通じて5年という上限があります。
- 民法第152条民法第152条:承認による時効の更新権利の承認があると、時効はその時から新たに進行を始めます。承認をするのに処分の権限や行為能力の制限がないことは必要ないという2項が要点です。
- 民法第153条民法第153条:時効の完成猶予又は更新の効力が及ぶ者の範囲完成猶予も更新も、その事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ効力を有します。3つの項で147条以下を漏れなく受けた、相対効の原則です。
- 民法第154条民法第154条:手続の相手方でない者への通知強制執行や仮差押えの手続を時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者への通知をした後でなければ完成猶予・更新の効力が生じません。
- 民法第155条民法第155条〜第157条:削除第七章第一節のうち、民法155条から157条までは現行法で「削除」です。条数が第154条から第158条へ飛ぶ理由を確認します。
- 民法第158条民法第158条:未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予法定代理人がいない未成年者・成年被後見人や、財産を管理する親・後見人に対する権利について、6か月の完成猶予を認める条文です。守るべき者が動けない間を埋めます。
- 民法第159条民法第159条:夫婦間の権利の時効の完成猶予夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6か月を経過するまで時効は完成しません。関係が続く間の請求しにくさに配慮した条文です。
- 民法第160条民法第160条:相続財産に関する時効の完成猶予相続財産については、相続人が確定した時・管理人が選任された時・破産手続開始の決定があった時から6か月を経過するまで時効は完成しません。
- 民法第161条民法第161条:天災等による時効の完成猶予天災その他避けることのできない事変で手続を行えないときは、障害の消滅から3か月を経過するまで時効は完成しません。第一節で唯一「3か月」の条文です。
- 民法第162条民法第162条:所有権の取得時効20年の占有で所有権を取得でき、占有開始時に善意無過失なら10年で足ります。時効取得と登記をめぐる判例も含め、取得時効の中心となる条文です。
- 民法第163条民法第163条:所有権以外の財産権の取得時効所有権以外の財産権も、自己のためにする意思をもって平穏かつ公然と行使すれば、20年又は10年で取得できます。162条と対になる条文です。
- 民法第164条民法第164条:占有の中止等による取得時効の中断占有者が任意に占有を中止し、又は他人に占有を奪われたときは、取得時効は中断します。現行法に「中断」の語が残る数少ない条文です。
- 民法第165条民法第165条:所有権以外の財産権への準用占有の中止等による中断を定めた164条を、所有権以外の財産権の取得時効に準用する一文です。第二節「取得時効」を締めくくります。
- 民法第166条民法第166条:債権等の消滅時効債権は知った時から5年、行使できる時から10年で消滅します。債権又は所有権以外の財産権は20年。消滅時効の中心となる条文です。
- 民法第167条民法第167条:人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権については、166条1項2号の「十年間」を「二十年間」と読み替えます。読替えの形をとった一文の条文です。
- 民法第168条民法第168条:定期金債権の消滅時効定期金の債権は、各債権を行使できると知った時から10年、行使できる時から20年で消滅します。債権者は更新の証拠を得るため承認書の交付を求められます。
- 民法第169条民法第169条:判決で確定した権利の消滅時効確定判決等で確定した権利は、10年より短い時効期間の定めがあっても10年になります。ただし確定の時に弁済期が到来していない債権には適用されません。
- 民法第170条民法第170条〜第174条:削除第七章第三節のうち、民法170条から174条までは現行法で「削除」です。第一編「総則」はこの空き番で終わり、第175条から第二編「物権」が始まります。
- 民法第175条民法第175条:物権の創設(物権法定主義)物権は法律に定めるもののほか創設できません。契約なら自由に作れるのに、なぜ物権だけ「メニューが固定」なのか。第二編「物権」の入口となる条文です。
- 民法第176条民法第176条:物権の設定及び移転(意思主義)物権の設定・移転は「当事者の意思表示のみ」で効力を生じます。契約書にハンコを押した瞬間に所有権が動く——民法177条の対抗要件と表裏をなす条文です。
- 民法第177条民法第177条:不動産に関する物権の変動の対抗要件不動産の権利は、登記をしなければ第三者に主張できません。二重譲渡で「先に登記した者が勝つ」理由を、レガちゃんの疑問からほどいていきます。
- 民法第178条民法第178条:動産に関する物権の譲渡の対抗要件動産の物権譲渡は、引渡しがなければ第三者に対抗できません。不動産の「登記」に対応するのが動産の「引渡し」です。占有改定でも対抗要件を備えられるのかを判例で確かめます。
- 民法第179条民法第179条:混同自分の土地に自分の地上権を残しておく意味はありません。所有権と他の物権が同一人に帰属したときに他の物権が消える「混同」と、その2つの例外を整理します。
- 民法第180条民法第180条:占有権の取得占有権は「自己のためにする意思をもって物を所持する」ことで取得します。持つ権利があるかどうかを問わずに、持っているという事実そのものを守る——第二章「占有権」の入口です。
- 民法第181条民法第181条:代理占有人に貸している間も、貸主は占有権を失いません。「占有権は、代理人によって取得することができる」という一文が支える代理占有の仕組みを見ます。
- 民法第182条民法第182条:現実の引渡し及び簡易の引渡し占有権の譲渡は引渡しによってします。物を実際に手渡す「現実の引渡し」と、すでに相手が持っているときの「簡易の引渡し」——4つの引渡しのうち2つを定めた条文です。
- 民法第183条民法第183条:占有改定物を一歩も動かさずに占有権を移す「占有改定」。譲渡担保で債務者が使い続けたまま担保に入れられるのは、この条文があるからです。
- 民法第184条民法第184条:指図による占有移転倉庫に預けたままの荷物を売る——本人が代理人に「以後この人のために持て」と命じ、その人が承諾すれば占有権が移ります。3者が登場する引渡しです。
- 民法第185条民法第185条:占有の性質の変更借りている物は、借りているままでは時効取得できません。他主占有が自主占有に変わるための2つの道を定めた条文と、相続をめぐる判例を確かめます。
- 民法第186条民法第186条:占有の態様等に関する推定所有の意思・善意・平穏・公然は、占有していれば推定されます。取得時効を主張する側の負担を大きく軽くする条文と、2項の「継続の推定」を読みます。
- 民法第187条民法第187条:占有の承継前の人の占有を「足す」か「足さない」かを、承継人が選べます。ただし足すなら瑕疵も一緒についてくる——取得時効の期間計算で決定的に効く条文です。
- 民法第188条民法第188条:占有物について行使する権利の適法の推定占有していれば、その権利は適法に持っているものと推定されます。「持っている人が正しい」という強力な推定と、それが覆される場面を判例で確かめます。
- 民法第189条民法第189条:善意の占有者による果実の取得等自分のものだと信じて使っていた間の実りは、返さなくてよい。ただし本権の訴えで負けたら、訴え提起の時から悪意の占有者とみなされます。
- 民法第190条民法第190条:悪意の占有者による果実の返還等悪意の占有者は果実を返さなければならず、すでに消費してしまった分も代価で償います。善意の占有者を定めた民法189条と正面から対になる条文です。
- 民法第191条民法第191条:占有者による損害賠償占有物を壊してしまったとき、悪意の占有者は全部、善意の占有者は現に利益を受けている限度で賠償します。ただし所有の意思のない占有者は、善意でも全部——ただし書に注意です。
- 民法第192条民法第192条:即時取得無権利者から動産を買っても、善意無過失なら即時に権利を取得できます。動産取引の安全を支える中心条文を、要件ごとに分解して読みます。
- 民法第193条民法第193条:盗品又は遺失物の回復即時取得が成立しても、盗品や遺失物なら被害者・遺失者は2年間だけ取り戻せます。持ち主の意思によらずに手を離れた物を特別扱いする条文です。
- 民法第194条民法第194条:代価の弁償盗品でも、競売や公の市場、同種の商人から善意で買ったのなら、代価を払わなければ取り戻せません。被害者と買主のどちらを守るかを調整する条文です。
- 民法第195条民法第195条:動物の占有による権利の取得迷い込んできた家畜以外の動物は、1か月のあいだ飼主から請求がなければ、占有者のものになります。民法のなかでも珍しい、動物だけの規定です。
- 民法第196条民法第196条:占有者による費用の償還請求占有物のために支出したお金は返してもらえます。保存のための「必要費」と改良のための「有益費」で、返してもらえる条件が変わります。
- 民法第197条民法第197条:占有の訴え占有そのものを根拠に訴えを起こせます。しかも「他人のために占有をする者」も同じ。3種類の占有の訴えへの入口となる条文です。
- 民法第198条民法第198条:占有保持の訴え占有を妨げられたときは、妨害の停止と損害の賠償を請求できます。「奪われた」のではなく「邪魔された」場面の救済です。
- 民法第199条民法第199条:占有保全の訴え妨害される「おそれ」の段階で動ける訴えです。予防を求めるか、損害賠償の担保を求めるか——請求できることが「又は」で結ばれている点が要注意です。
- 民法第200条民法第200条:占有回収の訴え占有を奪われたら、返還と損害賠償を請求できます。ただし、奪った者から買った人には原則として請求できません——2項の「特定承継人」がポイントです。
- 民法第201条民法第201条:占有の訴えの提起期間3つの占有の訴えには、それぞれ違う期間制限があります。工事の場合の特則も含め、条文の数字を正確に押さえる回です。
- 民法第202条民法第202条:本権の訴えとの関係占有の訴えと本権の訴えは互いを妨げません。そして「占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない」——2項が占有制度の芯です。
- 民法第203条民法第203条:占有権の消滅事由占有の意思を放棄するか、所持を失えば占有権は消えます。ただし占有回収の訴えを提起したときは別——ただし書が第三節のかなめです。
- 民法第204条民法第204条:代理占有権の消滅事由人に持たせている場合の占有権は、3つの事由で消えます。そして2項——「代理権の消滅のみによっては、消滅しない」。占有と代理は別物だという宣言です。
- 民法第205条民法第205条:準占有物を持っていなくても、財産権を行使していれば占有権の規定が準用されます。債権や知的財産権にまで占有のルールを届かせる、たった一文の条文です。
- 民法第206条民法第206条:所有権の内容所有者は、法令の制限内において自由に使用・収益・処分ができます。物権のなかで最も強い権利を定めた条文と、その「法令の制限内」という枠を読みます。
- 民法第207条民法第207条:土地所有権の範囲土地の所有権は「その土地の上下に及ぶ」。空も地下も自分のもの——ただし、ここでも「法令の制限内において」が先に立ちます。
- 民法第209条民法第209条:隣地の使用塀の修繕や境界の測量のために、隣の土地に入れます。ただし住家に立ち入るには居住者の承諾が必要——令和3年改正で大きく書き換わった条文です。
- 民法第210条民法第210条:公道に至るための他の土地の通行権周りを囲まれて公道に出られない土地の所有者は、隣の土地を通れます。かつて「囲繞地通行権」と呼ばれた権利を、自動車通行の判例とともに読みます。
- 民法第211条民法第211条:通行の場所及び方法通れるとしても、どこをどう通るかは自由ではありません。「損害が最も少ないもの」を選ぶこと、そして必要があれば通路を開設できることを定めます。
- 民法第212条民法第212条:通行権者の償金支払義務通らせてもらう以上、損害には償金を払います。ただし通路の開設で生じた損害を除き、1年ごとの分割払いができる——短い条文に2つの仕掛けがあります。
- 民法第213条民法第213条:分割によって生じた袋地の通行権自分たちで土地を分けて袋地を作ったのなら、通れるのは分割の相手の土地だけ。しかも償金は不要です。周りの土地に迷惑をかけない仕組みを判例とともに読みます。
- 民法第213条の2民法第213条の2:継続的給付を受けるための設備の設置権等電気・ガス・水道を引くために、他人の土地に設備を置いたり、他人の設備を使ったりできます。令和3年改正で新設された、現代の暮らしのための条文です。
- 民法第213条の3民法第213条の3:分割によって設備の設置が必要となった場合土地を分けたせいでライフラインが引けなくなったら、設備を置けるのは分割の相手の土地だけ。通行権における民法213条と同じ考え方が、設備にも用意されています。
- 民法第214条民法第214条:自然水流に対する妨害の禁止隣地から自然に流れてくる水を、せき止めてはいけません。ここから水に関する相隣関係の条文が続きます。
- 民法第215条民法第215条:水流の障害の除去天災で低地の水路がふさがったら、高地の所有者が自分の費用で工事できます。困っている側が自ら動けるようにした条文です。
- 民法第216条民法第216条:水流に関する工作物の修繕等他の土地の貯水・排水・引水の工作物が壊れて自分の土地に損害が及ぶときは、修繕や予防工事をさせることができます。「おそれ」の段階で動ける点が重要です。
- 民法第217条民法第217条:費用の負担についての慣習水流の工事費用は、別段の慣習があればそれに従います。民法が土地ごとの取り決めに道を譲る、短い一文の条文です。
- 民法第218条民法第218条:雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止屋根の向きひとつで、隣に雨水が落ちる。「直接に雨水を隣地に注ぐ構造」の工作物を禁じた、暮らしに直結する条文です。
- 民法第219条民法第219条:水流の変更川の両岸が誰のものかで、水路を変えられるかどうかが決まります。片岸なら変更禁止、両岸なら変更可——ただし自然の水路に戻すこと。
- 民法第220条民法第220条:排水のための低地の通水浸水を乾かすため、余った水を出すため、高地の所有者は低地に水を通せます。給排水設備の使用をめぐる判例とあわせて読みます。
- 民法第221条民法第221条:通水用工作物の使用高地・低地の所有者が設けた工作物を、自分の土地の水を通すために使えます。使うなら、利益を受ける割合に応じて費用を分担します。
- 民法第222条民法第222条:堰の設置及び使用堰を対岸に付着させて設けられます。ただし償金は必要。そして対岸の所有者も、その堰を使えます——譲り合いを条文にした規定です。
- 民法第223条民法第223条:境界標の設置土地の境目を示す目印を、隣の人と共同の費用で設けられます。「できる」と書かれた、権利としての境界標設置権です。
- 民法第224条民法第224条:境界標の設置及び保存の費用境界標の設置と保存の費用は折半、でも測量の費用は土地の広さに応じて分担します。同じ条文のなかで、2つの物差しを使い分ける規定です。
用語集 148件
- 悪意
ある特定の事情や事実を『知っている』こと。いじわるな心という意味ではありません。
- 意思主義
物権の設定・移転は当事者の意思表示のみによって効力を生ずるという建て方(民法176条)。引渡しや登記がなくても、当事者の間では権利が動きます。
- 意思能力
自分のした行為がどんな結果を生むかを判断できる能力のこと。これを欠いた状態でした法律行為は無効です(民法3条の2)。
- 意思表示
契約を結ぶなど、一定の法律効果を発生させようとする意思を外部に表明する行為。
- 囲障
隣り合う建物の境界に設ける囲いのこと。協議が調わないときは、板塀や竹垣その他これらに類する材料で高さ2メートルのものとされます(民法225条2項)。
- 援用
時効による利益を受けると主張すること。当事者が援用しなければ、裁判所は時効によって裁判をすることができません(民法145条)。
- 外国法人
外国の法律によって成立した法人。日本では、国・国の行政区画・外国会社を除き、原則としてその成立が認許されません(民法35条1項)。
- 解除条件
成就すると法律行為の効力を失わせる条件。解除条件付法律行為は、条件が成就した時から効力を失います(民法127条2項)。
- 瑕疵
きず・欠点のこと。占有では、悪意・過失・強暴・隠秘といった、占有者に不利に働く事情を指します(民法187条2項)。
- 過失
注意すれば気づけたのに、不注意で気づかなかったこと。『善意無過失』は「知らず、かつ不注意もなかった」状態を指します。
- 果実
物から生じる収益のこと。作物などの天然果実と、賃料などの法定果実があります(民法88条)。善意の占有者はこれを取得できます(民法189条1項)。
- 家庭裁判所
家庭に関する事件などを扱う裁判所。後見・保佐・補助を開始する審判と、その取消しの審判はここが行います。
- 仮住所
ある行為について当事者が選定しておく場所。その行為に関してだけ住所とみなされます(民法24条)。
- 簡易の引渡し
譲受人がすでに占有物を所持している場合に、当事者の意思表示のみで占有権を譲渡すること(民法182条2項)。物を一度返してもらう手間を省く仕組みです。
- 慣習
その社会や取引で繰り返し行われてきたやり方のこと。任意規定と異なる慣習は、当事者がそれによる意思を有していると認められるときに従われます(民法92条)。
- 完成猶予
一定の事由がある間、時効が完成しないこと(民法147条以下)。それまで経過した期間はそのまま残る点で、振り出しに戻る更新と異なります。
- 元本
貸したお金の元金や預けた預金のように、利息などの収益を生み出すもとになる財産のこと。被保佐人がこれを領収し、又は利用するには保佐人の同意が必要です(民法13条1項1号)。
- 期限
法律行為の効力や履行を、必ず到来する事実にかからせる定めのこと。成就するか分からない「条件」と区別されます(民法135条以下)。
- 期限の利益
期限が来るまで履行しなくてよいことによる利益のこと。債務者の利益のために定めたものと推定され(民法136条1項)、放棄もできます(同条2項)。
- 既成条件
法律行為の時に、すでに成就していた条件、又は成就しないことが確定していた条件のこと。民法131条が、停止条件か解除条件かに応じて無条件又は無効に振り分けます。
- 境界標
土地の境界を示すために設ける目印のこと。隣地の所有者と共同の費用で設けることができます(民法223条)。
- 強行規定
当事者の合意では変えられない規定。民法91条が「公の秩序に関しない規定」と限定していることの裏返しで、公の秩序に関する規定がこれにあたります。
- 強迫
おびやかして意思表示をさせること。民法96条1項により取り消すことができますが、同条2項・3項は詐欺のみを対象としており、強迫については定めがありません。
- 虚偽表示
相手方と示し合わせてウソの意思表示をすること(通謀虚偽表示)。当事者間では無効ですが、善意の第三者には無効を主張できません。
- 居所
住所が知れない場合に、住所とみなされる場所(民法23条1項)。民法は「居所」そのものの定義を置いていません。
- 継続的給付
電気・ガス・水道水の供給その他これらに類する継続的な供給のこと(民法213条の2第1項)。令和3年改正で設備設置権の規定が新設されました。
- 権原
ある行為をすることを正当化する法律上の原因のこと。賃借権や地上権のように、他人の物を占有・使用してよい根拠を指します。
- 現実の引渡し
占有物そのものを実際に相手方へ手渡すこと(民法182条1項)。もっとも分かりやすい引渡しの方法です。
- 現存利益
受け取ったもののうち、返還を求められた時点で現に手元に残っている利益のこと。意思能力を欠いていた者や制限行為能力者は、この限度で返せば足ります(民法121条の2第3項)。
- 元物
果実を生み出すもとになる物のこと。天然果実は、元物から分離する時にこれを収取する権利を有する者に帰属します(民法89条1項)。
- 顕名
代理人が「本人のためにすること」を相手方に示すこと(民法99条1項)。これを欠くと、その意思表示は代理人が自己のためにしたものとみなされます(民法100条本文)。
- 権利能力
権利を持ち、義務を負うことができる資格のこと。民法3条1項により、人は出生と同時にこれを取得します。
- 権利の濫用
形のうえでは権利の行使にあたるものの、社会的に許される限度を超えているため認められない行為のこと。民法1条3項は「これを許さない」と定めています。
- 行為能力
自分ひとりで確定的に有効な法律行為をすることができる資格のこと。年齢や審判によって画一的に決まる点が、行為ごとに判断される意思能力と違います。
- 公共の福祉
社会全体に共通する利益のこと。民法1条1項は、私権もこれに適合しなければならないと定めています。
- 後見開始の審判
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人について、家庭裁判所が後見を開始すると決める裁判(民法7条)。
- 公序良俗
「公の秩序又は善良の風俗」をまとめた呼び方。これに反する法律行為は無効です(民法90条)。
- 更新
時効が新たにその進行を始めること(民法147条2項・148条2項・152条1項)。それまで経過した期間はリセットされます。
- 公道に至るための他の土地の通行権
他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者が、公道に出るため周囲の土地を通行できる権利(民法210条1項)。かつて囲繞地通行権と呼ばれた権利です。
- 混同
同一物について所有権と他の物権が同一人に帰属したときに、その他の物権が消滅すること(民法179条1項)。自分の物に自分の制限物権を残しておく意味がないためです。
- 催告
相手に対して「〜してほしい」と促す通知のこと。制限行為能力者の相手方は、追認するかどうかの確答を求める催告ができます(民法20条)。
- 詐欺
だまして誤った判断をさせること。詐欺による意思表示は取り消すことができます(民法96条1項)が、その取消しは善意でかつ過失がない第三者に対抗できません(同条3項)。
- 錯誤
意思表示の前提に勘違いがあること。民法95条1項が2種類を挙げ、その錯誤が重要なものであるときに取り消すことができます。
- 指図による占有移転
代理人に物を占有させている本人が、以後第三者のために占有するよう命じ、その第三者が承諾することで、第三者が占有権を取得すること(民法184条)。
- 詐術
制限行為能力者が、自分は行為能力者だと相手に信じさせるために用いる手段のこと。これを用いたときは、その行為を取り消すことができません(民法21条)。
- 始期
到来するまで履行の請求ができないものとする期限(民法135条1項)。効力そのものが生じない停止条件とは、条文の書きぶりが異なります。
- 私権
所有権や債権のように、私人と私人との間で認められる権利のこと。国と国民の関係で問題になる公法上の権利と区別されます。
- 時効
一定の事実状態が続いたことに法律上の効果を認める制度。権利を得る取得時効と、権利が消える消滅時効があり、効力は起算日にさかのぼります(民法144条)。
- 自己契約
契約の一方の当事者が、同じ契約について相手方の代理人も兼ねること。代理権を有しない者がした行為とみなされます(民法108条1項本文)。
- 自主占有
所有の意思をもってする占有のこと。取得時効(民法162条)の要件であり、民法186条1項によって所有の意思は推定されます。
- 失踪の宣告
生死が一定期間明らかでない不在者について、家庭裁判所が利害関係人の請求により行う裁判(民法30条)。宣告を受けた者は死亡したものとみなされます(民法31条)。
- 終期
到来した時に法律行為の効力を消滅させる期限(民法135条2項)。
- 住所
その人の生活の本拠のこと(民法22条)。届出や住民票の記載ではなく、実際の暮らしの実態から判断されます。
- 重大な過失
わずかな注意さえ払えば気づけたのに見落とした、という程度の重い不注意。錯誤が表意者の重大な過失によるときは、原則として取消しができません(民法95条3項)。
- 従物
物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物を附属させたときの、その附属させた物(民法87条1項)。主物の処分に従います(同条2項)。
- 取得時効
一定期間の占有や権利の行使によって、その権利を取得する時効のこと(民法162条・163条)。所有権なら20年、占有開始時に善意無過失なら10年です。
- 主物
従物が附属させられている側の物のこと。民法87条2項により、主物を処分すると従物もこれに従います。
- 準占有
自己のためにする意思をもって財産権を行使する場合のこと(民法205条)。物の所持がなくても、占有権の規定が準用されます。
- 償金
適法な行為によって相手に生じた損害を埋め合わせるために支払う金銭のこと。相隣関係では、隣地の使用や通行を認める代わりに支払われます。
- 承継人
前の人の地位や権利を受け継いだ人のこと。相続のようにまとめて承継する包括承継人と、売買のように個別に承継する特定承継人があります。
- 条件
法律行為の効力を、成就するかどうか分からない事実にかからせる定めのこと。必ず到来する「期限」と区別されます。
- 消滅時効
権利を行使しないまま一定期間が過ぎることで、その権利が消滅する時効のこと。債権は知った時から5年、行使できる時から10年です(民法166条1項)。
- 所持
物を事実上支配している状態のこと。占有権は、自己のためにする意思をもってこの所持をすることで取得されます(民法180条)。
- 初日不算入
日・週・月・年で期間を定めたとき、期間の初日を数に入れないこと(民法140条本文)。ただし、その期間が午前零時から始まるときは初日も算入します。
- 所有権
法令の制限内において、自由にその所有物の使用・収益・処分をする権利(民法206条)。物権のなかで最も全面的な支配権です。
- 所有の意思
その物を自分のものとして持つ意思のこと。民法162条の取得時効の要件であり、所有権以外の財産権については「自己のためにする意思」とされます(民法163条)。
- 事理を弁識する能力
物事の道理をわきまえ、自分の行為の結果を判断する能力のこと。これを「欠く常況」なら後見、「著しく不十分」なら保佐、「不十分」なら補助の対象になります。
- 信義則
権利を使うときも義務を果たすときも、相手の信頼を裏切らないよう誠実に行動しなければならないという原則(民法1条2項)。「信義誠実の原則」の略です。
- 心裡留保
本心ではないと自分で分かっていながら意思表示をすること。冗談で「この時計を売る」と言うような場合です。
- 随意条件
成否が当事者の意思次第で決まる条件のこと。停止条件が単に債務者の意思のみに係るときは、その法律行為は無効です(民法134条)。
- 推定
一応そうであるものとして扱い、争う側に反対の証明を求めること。「みなす」と違い、反証があれば覆ります。
- 制限行為能力者
未成年者・成年被後見人・被保佐人・民法17条1項の審判を受けた被補助人の4者をまとめた呼び名(民法13条1項10号)。
- 正当な理由
代理人の権限があると第三者が信じたことを是とするだけの事情。民法110条のほか、109条2項・112条2項でも、権限外の行為について責任を認める要件とされています。
- 成年後見人
成年被後見人に付される保護者(民法8条)。家庭裁判所が後見開始の審判をするときに、職権で選任します(民法843条1項)。
- 成年被後見人
後見開始の審判を受けた人のこと(民法8条)。その法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除いて取り消すことができます。
- 善意
ある特定の事情や事実を『知らない』こと。道徳的な善悪とは関係ありません。
- 占有
物を事実上支配していること。所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の物を占有し続けると、取得時効が成立し得ます(民法162条)。
- 占有回収の訴え
占有を奪われたときに、物の返還と損害の賠償を請求する訴え(民法200条1項)。占有を奪われた時から1年以内に提起しなければなりません(民法201条3項)。
- 占有改定
代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示することで、本人が占有権を取得すること(民法183条)。物は動かないまま占有だけが移ります。
- 占有権
自己のためにする意思をもって物を所持することで取得する物権(民法180条)。その物を持ってよい権利(本権)があるかどうかとは切り離して保護されます。
- 占有の訴え
占有を妨害されたときなどに、占有それ自体を根拠として救済を求める訴え(民法197条〜202条)。保持・保全・回収の3種類があります。
- 占有保持の訴え
占有を妨害されたときに、妨害の停止と損害の賠償を請求する訴え(民法198条)。妨害が続いている間か、消滅した後1年以内に提起します(民法201条1項)。
- 占有保全の訴え
占有を妨害されるおそれがあるときに、妨害の予防または損害賠償の担保を請求する訴え(民法199条)。まだ妨害が起きていない段階で使えます。
- 双方代理
同一の法律行為について、同じ人が当事者双方の代理人となること。代理権を有しない者がした行為とみなされます(民法108条1項本文)。
- 相隣関係
隣り合う土地の所有者どうしの利害を調整する民法209条〜238条のルール。所有権を互いに少しずつ制限し、また少しずつ広げます。
- 即時取得
取引行為によって平穏・公然と動産の占有を始めた者が、善意無過失であれば即時にその動産の権利を取得すること(民法192条)。無権利者から買っても保護される制度です。
- 対抗要件
当事者間で成立した権利関係を、第三者に対して『自分が権利者だ』と主張するために必要な要件(不動産における登記など)。
- 第三者
契約の当事者以外の人のこと。民法177条では「登記がないことを主張する正当な利益を有する者」に限られます。
- 代理権
本人に代わって法律行為をし、その効果を本人に生じさせることができる権限のこと。
- 代理占有
他人(占有代理人)に物を所持させることで、本人が占有権を持つこと(民法181条)。賃借人に貸している間も、賃貸人は占有権を失いません。
- 他主占有
所有の意思のない占有のこと。賃借人や受寄者のように、返すべき物として持っている場合が典型です。民法185条の要件を満たさない限り性質は変わりません。
- 単独行為
契約と違い、一方の意思表示だけで効果が生じる法律行為のこと(取消しや解除など)。その無権代理には、民法118条が契約より厳しい条件を置いています。
- 追認
取り消すことができる行為を、あとから「これでよい」と認めて、もう取り消せないものとして確定させること(民法122条)。
- 定款
法人の目的や名称などの基本的な事項を定めた根本規則。民法34条は、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内で法人が権利を有し義務を負うとしています。
- 停止条件
成就するまで法律行為の効力の発生を止めておく条件。停止条件付法律行為は、条件が成就した時から効力を生じます(民法127条1項)。
- 天然果実
物の用法に従い収取する産出物のこと(民法88条1項)。果物や作物のように、物そのものから生まれてくる実りを指します。
- 同意
保護者が、本人のする法律行為をしてよいとあらかじめ認めること。同意を得なければならない行為を同意なくしたときは、その行為を取り消すことができます(民法5条2項・13条4項・17条4項)。
- 登記
不動産の権利関係を法務局の登記簿に記録して公示する制度。不動産の物権変動は、登記をしないと第三者に主張できません。
- 動産
不動産以外の物のこと(民法86条2項)。条文が「すべて」としているため、有体物は不動産か動産のいずれかに必ず分類されます。
- 同時死亡の推定
数人が死亡し、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときに、同時に死亡したものと推定すること(民法32条の2)。「みなす」ではないため、死亡の前後が証明されればその証明が優先します。
- 到達主義
意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生じるという建て付け(民法97条1項)。発した時ではない点が要です。
- 特定承継人
売買や贈与のように、個々の権利を個別に受け継いだ人のこと。占有回収の訴えは、原則としてこの特定承継人に対しては提起できません(民法200条2項)。
- 特別失踪
死亡の原因となるべき危難に遭遇した者について、危難が去った後などから1年間で認められる失踪の宣告(民法30条2項)を指す呼び方。条文上の用語ではありません。
- 取消し
一応有効に成立した法律行為を、取消権者の主張によってはじめにさかのぼって無効とすること。
- 取引の安全
外から見える権利関係を信じて取引した人が、あとから覆されて損をしないように保護すること。当事者本人の保護とぶつかったとき、どちらを優先するかが問題になります。
- 任意規定
当事者が異なる合意をすればそちらが優先する規定。民法91条にいう「公の秩序に関しない規定」がこれにあたります。
- 任意代理
本人が代理権を与えることによって生じる代理のこと。民法は「委任による代理」と呼び、復代理人の選任を制限しています(民法104条)。
- 認許
外国法人の成立を、日本の法律上も認めること(民法35条1項)。認許された外国法人は、日本において成立する同種の法人と同一の私権を有します(同条2項)。
- 背信的悪意者
単に事情を知っているだけでなく、相手を害する目的など、信義に反する事情のある者。判例上、登記がなくても対抗できる相手とされます。
- 引渡し
占有を相手方に移すこと。動産に関する物権の譲渡は、引渡しがなければ第三者に対抗できません(民法178条)。民法は4つの方法を用意しています。
- 必要費
物の保存のために支出した費用のこと。占有者は回復者に償還させることができますが、果実を取得したときは通常の必要費は自己負担となります(民法196条1項)。
- 被保佐人
事理を弁識する能力が著しく不十分だとして、保佐開始の審判を受けた人(民法12条)。民法13条1項が列挙する重要な行為をするには、保佐人の同意が必要です。
- 被補助人
事理を弁識する能力が不十分だとして、補助開始の審判を受けた人(民法16条)。同意が必要になるのは、審判で個別に定められた特定の法律行為だけです。
- 表意者
意思表示をした側の人のこと。売買でいえば「売ります」「買います」と表明した本人を指します。
- 表見代理
代理権が無いのにあるように見えた場合に、本人に責任を負わせる仕組み。民法109条・110条・112条が3つの場面を定めています。
- 復代理人
代理人が選任する、本人の代理人のこと。「代理人の代理人」ではなく、その権限内の行為について本人を代表します(民法106条1項)。
- 袋地
他の土地に囲まれて公道に通じない土地のこと。条文上の言葉ではありませんが、民法210条1項が定める土地を指す呼び名として使われます。
- 不在者
従来の住所又は居所を去った者のこと(民法25条1項)。生死が明らかでないことまでは、この語の要件になっていません。
- 普通失踪
不在者の生死が7年間明らかでない場合の失踪の宣告(民法30条1項)を指す呼び方。条文上の用語ではありません。
- 物権
物を直接に支配する権利のこと。特定の人に対して請求する債権と違い、誰に対しても主張できるのが特徴です。民法第二編が定めます。
- 物権変動
所有権などの物権が発生・移転・消滅すること。売買による所有権の移転が代表例です。
- 物権法定主義
物権は法律に定めるもののほか創設することができない、という原則(民法175条)。当事者が合意しても、新しい種類の物権を勝手に作ることはできません。
- 不動産
土地及びその定着物のこと(民法86条1項)。価値の高低ではなく、土地に定着しているかどうかで動産と区別されます。
- 不能条件
成就しえない条件のこと。停止条件であれば法律行為は無効、解除条件であれば無条件となります(民法133条)。
- 不法条件
不法な条件のこと。これを付した法律行為は無効であり、「不法な行為をしないこと」を条件とするものも同じく無効です(民法132条)。
- 法人
生身の人間ではないのに、権利を持ち義務を負うことができる存在。法律の規定によらなければ成立しません(民法33条1項)。
- 法人法定主義
法人は法律の規定によらなければ成立しない、という考え方(民法33条1項)。当事者が申し合わせただけで法人を作り出すことはできません。
- 法定果実
物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物のこと(民法88条2項)。家賃や地代のようなお金も、民法では「果実」として扱われます。
- 法定代理
法律の規定によって代理権が生じる代理のこと。親権者(民法824条)や後見人(民法859条1項)がこれにあたり、復代理人を自己の責任で選任できます(民法105条)。
- 法定代理人
本人が選んだのではなく、法律の規定によって代理権を与えられた人のこと。未成年者の親権者や成年後見人がこれにあたります。
- 法定追認
追認をすることができる時以後に、履行や履行の請求など民法125条が列挙する6つの事実があったときに、追認をしたものとみなされること。異議をとどめれば別です。
- 法律行為
契約や遺言のように、意思表示を要素として、その意思のとおりの法律効果を生じさせる行為のこと。
- 保佐開始の審判
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である人について、家庭裁判所が保佐を開始すると決める裁判(民法11条)。
- 保佐人
被保佐人に付される保護者(民法12条)。家庭裁判所が保佐開始の審判をするときに、職権で選任します(民法876条の2第1項)。
- 補助開始の審判
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である人について、家庭裁判所が補助を開始すると決める裁判(民法15条1項)。
- 補助人
被補助人に付される保護者(民法16条)。家庭裁判所が補助開始の審判をするときに、職権で選任します(民法876条の7第1項)。
- 保存行為
財産の現状を維持するための行為。権限の定めのない代理人でもすることができる行為として、民法103条1号が挙げています。
- 本権
所有権や賃借権のように、その物を占有することを法律上正当づける権利のこと。占有権が「事実」を守るのに対し、本権は「権利」そのものです。
- 本権の訴え
所有権などの本権を根拠として物の返還等を求める訴え。占有の訴えとは互いに妨げず、占有の訴えについて本権に関する理由で裁判することはできません(民法202条)。
- 未成年者
18歳に達していない人のこと(民法4条の反対解釈)。法律行為をするには、原則として法定代理人の同意が必要です。
- 無権代理
代理権を有しない者が他人の代理人としてする行為のこと。本人が追認しなければ本人に効力を生じません(民法113条1項)。
- 無効
はじめから法律効果が生じないこと。取消しと違い、誰かが主張しなくても効力はありません。
- 目的の範囲
法人が権利を持ち義務を負うことのできる枠のこと。定款その他の基本約款で定められた目的によって画されます(民法34条)。
- 有益費
物の改良のために支出した費用のこと。価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従って支出額か増価額の償還を受けられます(民法196条2項)。
- 有体物
民法が「物」と呼ぶもの(民法85条)。条文は有体物それ自体の定義を置いておらず、形のある存在を指す語として使われています。
- 利益相反行為
代理人と本人との利益がぶつかる行為のこと。自己契約・双方代理以外でも、代理権を有しない者がした行為とみなされます(民法108条2項)。
- 利害関係人
その処分がされるかどうかによって、自分の法律上の立場が左右される人。民法25条や30条で、家庭裁判所へ請求できる者として挙げられています。
- 類推適用
条文が直接あてはまらない場面でも、趣旨が同じだと考えられるときに、その条文を似た場面に及ぼして適用すること。条文の文言をそのまま使う「適用」とは区別されます。