民法第263条・物権
民法第263条:共有の性質を有する入会権
村の山や原野を共同で使う入会権。民法は「各地方の慣習に従うほか」と述べ、地域が積み上げてきたやり方を第一に置きます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「入会権入会権村落などの住民が、山林や原野を共同で利用する慣習上の権利。共有の性質を有するものについては各地方の慣習に従うほか、共有の規定が適用されます(民法263条)。用語ページを見る →」って初めて聞いた。村のみんなで山を使う権利のこと?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうじゃ。民法が作られるずっと前から、日本の村々にあった仕組みでな。民法は、それを作り出したのではなく、受け止めたのじゃ。民法263条の書きぶりに、その姿勢が表れておる。
条文の内容
共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この節の規定を適用する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 対象 | 共有の性質を有する入会権 |
| 第一に | 各地方の慣習慣習その社会や取引で繰り返し行われてきたやり方のこと。任意規定と異なる慣習は、当事者がそれによる意思を有していると認められるときに従われます(民法92条)。用語ページを見る →に従う |
| そのほか | この節(第三節「共有共有一つの物を複数人で所有すること。各共有者は共有物の全部について、その持分に応じた使用ができます(民法249条1項)。用語ページを見る →」)の規定を適用する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
慣習が先で、民法の共有の規定はそのあと。順番が逆なんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
「各地方の慣習に従うほか」——条文の言葉じゃ。入会の中身は土地ごとにまるで違う。誰が使えるか、どう分けるか、抜けるときはどうするか。それを全国一律に決めることはできぬと、民法は認めておるのじゃな。
相隣関係相隣関係隣り合う土地の所有者どうしの利害を調整する民法209条〜238条のルール。所有権を互いに少しずつ制限し、また少しずつ広げます。用語ページを見る →の民法217条・219条3項・228条・236条でも、慣習に譲る条文を見てきたじゃろう。同じ姿勢がここにもある。
「共有の性質を有する」という限定
条文は「共有の性質を有する」入会権に対象を絞っています。そうでない入会権については、民法294条が地役権の規定を準用する旨を定めています。
判例
最判平成20年7月17日(民集第62巻7号1994頁)
判示事項は「入会集団の一部の構成員が訴えの提起に同調しない構成員を被告に加えて構成員全員が訴訟当事者となる形式で第三者に対する入会権確認の訴えを提起することの許否」です。裁判要旨は次のとおりです。
特定の土地が入会地であるのか第三者の所有地であるのかについて争いがあり,入会集団の一部の構成員が,当該第三者を被告として当該土地が入会地であることの確認を求めようとする場合において,訴えの提起に同調しない構成員がいるために構成員全員で訴えを提起することができないときは,上記一部の構成員は,訴えの提起に同調しない構成員も被告に加え,構成員全員が訴訟当事者となる形式で,構成員全員が当該土地について入会権を有することの確認を求める訴えを提起することが許され,当事者適格を否定されることはない。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
反対している仲間も、被告にしてしまうんだ!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
入会権は構成員全員に属するものゆえ、全員がそろわねば訴えられぬのが建前じゃ。じゃがそれでは、一人が反対しただけで入会地を守れなくなる。要旨は、その行き詰まりを解く道を示しておる。「当事者適格を否定されることはない」——訴訟法の話じゃが、入会権の性質から導かれておるのう。
最判昭和63年1月18日(集民第153号1頁)
判示事項は「共有の性質を有しない入会地上の天然の樹木の所有権が土地の所有者に属するとされた事例」です。裁判要旨は、入会地が入会住民全員の同意のもとに一定の条件つきで村に贈与され、その条件の趣旨に沿って村が制定した条例に従って運用されてきたなど判示の事実関係のもとでは、その入会地上に生育する天然の樹木は、共有の性質を有しないその入会地の所有者である村の所有に属する、としています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
こちらは「共有の性質を有しない」入会地の事例じゃ。民法263条の対象ではないが、入会権に2種類あることを確かめるのによい。参照法条に民法242条(不動産の付合付合別々の所有者に属する物がくっついて、分離できなくなること。不動産の付合(民法242条)と動産の付合(民法243条)があります。用語ページを見る →)が挙がっておるところも見どころじゃな。
資格別の演習
共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、共有に関する民法の規定を適用する。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法263条がそのとおり定めています。慣習が第一に置かれています。
判例によれば、入会集団の一部の構成員は、訴えの提起に同調しない構成員も被告に加え、構成員全員が訴訟当事者となる形式で、構成員全員が入会権を有することの確認を求める訴えを提起することが許される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。最判平成20年7月17日(民集第62巻7号1994頁)の裁判要旨がそのとおり述べています。
民法263条は、共有の性質を有しない入会権についても適用される。
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解答:×
誤りです。条文は「共有の性質を有する入会権については」と対象を限定しています。共有の性質を有しない入会権については、民法294条が地役権の規定を準用する旨を定めています。