民法第300条・物権
民法第300条:留置権の行使と債権の消滅時効
物を留置していても、債権の消滅時効は進みます。「持っているから安心」ではありません。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
留置権留置権他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置できる権利(民法295条1項)。修理代を払ってもらうまで品物を返さない、という場面が典型です。用語ページを見る →で物を押さえてあるから、あとはのんびり待っていればいいよね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
それが危ういのじゃ。民法300条を読むがよい。債権のほうは時効で消えていく。
条文の内容
留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 何が | 留置権の行使 |
| 効果 | 債権の消滅時効消滅時効権利を行使しないまま一定期間が過ぎることで、その権利が消滅する時効のこと。債権は知った時から5年、行使できる時から10年です(民法166条1項)。用語ページを見る →の進行を妨げない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
物は持っているのに、債権が消えちゃうの? そんな……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文はそう言うておる。留置権は物を返さぬという権利であって、債権を取り立てる行為ではない。だから時効を止める効き目もない、という筋道と読める。
そして、留置権は債権を担保するための権利じゃ(民法295条1項)。担保される債権が消えれば、留置権も支えを失う。「持っておるから安心」は通らぬのじゃな。
どうすればよいか
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
じゃあ、どうすればいいの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法147条以下の完成猶予完成猶予一定の事由がある間、時効が完成しないこと(民法147条以下)。それまで経過した期間はそのまま残る点で、振り出しに戻る更新と異なります。用語ページを見る →や更新更新時効が新たにその進行を始めること(民法147条2項・148条2項・152条1項)。それまで経過した期間はリセットされます。用語ページを見る →の手を打つほかない。裁判上の請求なり、催告なり、承認なり——債権そのものについて動く必要がある。
物を押さえることと、債権を守ることは別。民法300条は、その当たり前をわざわざ条文にしたものじゃ。裏を返せば、取り違える者が多いということじゃな。
留置権の消滅事由
| 条文 | 消滅の原因 |
|---|---|
| 民法298条3項 | 保管義務違反による消滅請求 |
| 民法301条 | 債務者が相当の担保を供してする消滅請求 |
| 民法302条 | 占有の喪失 |
| 民法300条 | (直接の消滅事由ではないが)被担保債権の時効消滅を許す |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
4つ並べると、留置権を失う道がいかに多いか分かろう。留置権は強いが、脆くもある——第七章を読むときの勘どころじゃ。
資格別の演習
留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法300条がそのとおり定めています。
留置権を行使している間は、被担保債権の消滅時効は進行しない。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法300条は「留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない」と定めています。
留置権者が被担保債権の消滅時効の完成を防ぐには、民法147条以下の完成猶予又は更新の事由が必要である。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法300条により留置権の行使自体では時効の進行を妨げられないため、債権について別途の手当てが必要となります。