民法第392条・物権
民法第392条:共同抵当における代価の配当
同時配当なら価額に応じて按分、異時配当なら全額回収できる代わりに後順位者が代位します。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
ひとつの借金のために、土地も家も別荘も抵当権抵当権目的物の占有を移さずに設定できる担保物権(民法369条以下)。先取特権の効力については、その性質に反しない限り抵当権の規定が準用されます(民法341条)。用語ページを見る →に……そんなことできるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
できるのじゃ。それが共同抵当共同抵当同一の債権の担保として数個の不動産に抵当権が設定されること。同時配当では各不動産の価額に応じて債権の負担を按分します(民法392条1項)。用語ページを見る →じゃ。ただし配当のとき厄介なことになる。だから民法392条が2項に分けて手当てしておるのじゃぞ。
1項:同時配当は価額に応じて按分
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 場面 | 同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する |
| いつ | 同時にその代価を配当すべきとき |
| どうする | その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
価額の大きい不動産が、たくさん負担するんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうじゃ。負担を公平に割り付ける——それが1項じゃ。各不動産に第三取得者第三取得者担保の目的物を取得した第三者のこと。先取特権は、債務者が目的である動産を第三取得者に引き渡した後は行使できません(民法333条)。用語ページを見る →や後順位抵当権者がおれば、この按分がそのまま彼らの取り分を左右する。
2項:異時配当と代位
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
| 内容 | |
|---|---|
| 前段 | 抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる |
| 後段 | 次順位の抵当権者は、1項に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、代位して抵当権を行使できる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
共同抵当権者は全額もらえるんだ。後順位の人が困りそう。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこを後段が救っておる。代位じゃ。共同抵当権者が1項どおりに配当されていれば他の不動産から取ったはずの額——その分だけ、後順位者が他の不動産の抵当権を使える。
1項の按分が、2項の代位のものさしになっておるのじゃな。2つの項が噛み合っておる。
同順位の抵当権があるとき
同時配当において、1個の不動産上に共同抵当と同順位の抵当権が存する場合について、最高裁は次のように判断しました。
共同抵当の目的となった数個の不動産の代価を同時に配当すべき場合に,1個の不動産上にその共同抵当に係る抵当権と同順位の抵当権が存するときは,まず,当該1個の不動産の価額を同順位の各抵当権の被担保債権額の割合に従って案分し,次に,共同抵当権者への案分額及びその余の不動産の価額に準じて共同抵当の被担保債権の負担を分けるべきである。 (最判平成14年10月22日・集民第208号291頁)
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
二段階の計算じゃ。まず同順位者どうしで按分し、次にその按分額とその余の不動産の価額に準じて共同抵当の負担を分ける。要旨が計算の順序まで示しておる、珍しい判断じゃな。
物上保証人が同一のとき
共同抵当権の目的たる甲・乙不動産が同一の物上保証人の所有に属する場合において、甲不動産の代価のみを配当するときは、甲不動産の後順位抵当権者は、民法三九二条二項後段の規定に基づき、先順位の共同抵当権者に代位して乙不動産に対する抵当権を行使することができる。 (最判平成4年11月6日・民集第46巻8号2625頁)
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
物上保証人物上保証人他人の債務を担保するため自分の財産に担保権を設定した者のこと。債務を弁済し又は質物の所有権を失ったときは、債務者に求償権を有します(民法351条)。用語ページを見る →の物どうしでも、代位できるんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨は「同一の物上保証人の所有に属する場合」と限っておる。甲・乙が同じ物上保証人のものという事案じゃ。ここも要旨の言葉のとおりに押さえよ。
根抵当権では登記が要る
民法398条の16は「第三百九十二条及び第三百九十三条の規定は、根抵当権については、その設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産につき根抵当権が設定された旨の登記をした場合に限り、適用する」と定めます。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
根抵当権根抵当権一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保する抵当権(民法398条の2)。継続的な取引から生じる債権をまとめて担保できます。用語ページを見る →では、登記をした共同根抵当共同根抵当数個の不動産について、設定と同時に同一債権の担保である旨の登記をした根抵当権(民法398条の16)。この登記がある場合に限り、共同抵当の規定が適用されます。用語ページを見る →にだけ392条が働く。登記がなければ累積根抵当累積根抵当共同根抵当の登記をしないまま数個の不動産に根抵当権を有する場合のこと。各不動産の代価について各極度額まで優先権を行使できます(民法398条の18)。用語ページを見る →となり、各不動産の代価について各極度額極度額根抵当権が担保する限度額のこと。根抵当権者は、確定した元本・利息・損害賠償の全部について、この額を限度に権利を行使できます(民法398条の3第1項)。用語ページを見る →まで優先権を行使できる(民法398条の18)。
資格別の演習
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
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解答:◯
正しい記述です。民法392条1項がそのとおり定めています。
ある不動産の代価のみを配当すべきときは、共同抵当権者はその代価から債権の全部の弁済を受けることができ、次順位の抵当権者は一定の限度でその抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法392条2項がそのとおり定めています。
共同抵当権の目的たる甲・乙不動産が同一の物上保証人の所有に属する場合において、甲不動産の代価のみを配当するときは、甲不動産の後順位抵当権者は、民法392条2項後段の規定に基づき、先順位の共同抵当権者に代位して乙不動産に対する抵当権を行使することができる。
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解答:◯
正しい記述です。最判平成4年11月6日(民集第46巻8号2625頁)の裁判要旨がそのとおり判示しています。
一次情報を確認する
- e-Gov法令検索:民法第392条
- 最判平成14年10月22日(集民 第208号291頁)(平成13(受)1567)
- 最判平成4年11月6日(民集 第46巻8号2625頁)(平成1(オ)1688)