刑法第96条の3・公務の執行を妨害する罪

刑法第96条の3:強制執行行為妨害等

偽計・威力を用いて強制執行の行為を妨害する罪(1項)と、申立てをさせない目的等で申立権者に暴行・脅迫を加える罪(2項)を定めます。

  • 司法書士
  • 司法試験

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

執行に来た人を追い返したら、公務執行妨害じゃないの?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

第95条1項は「暴行又は脅迫」に限られておったな。第96条の3は、偽計や威力という別の手段も捉える。しかも2項では、執行が始まる前の場面まで射程に入れておるのじゃ。

条文の内容

項 内容
1項 偽計又は威力を用いて、立入り、占有者の確認その他の強制執行の行為を妨害した者は、3年以下の拘禁刑もしくは250万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する
2項 強制執行の申立てをさせず又はその申立てを取り下げさせる目的で、申立権者又はその代理人に対して暴行又は脅迫を加えた者も、1項と同様とする

1項——手段は偽計・威力

偽計偽計ぎけい相手をあざむいたり、相手の勘違いや不知を利用したりする手段。刑法96条の3・96条の4は「偽計又は威力を用いて」妨害する行為を処罰します。用語ページを見る →・威力威力いりょく相手の意思を押さえつけるような有形無形の力。刑法96条の3・96条の4は「偽計又は威力を用いて」妨害する行為を処罰します。用語ページを見る →という手段が条文に明記されています。条文が例示する妨害の対象は「立入り、占有者の確認」で、これに「その他の強制執行の行為」が続きます。

手段 対象
刑法95条1項 暴行・脅迫 職務を執行する公務員
刑法96条の3第1項 偽計・威力 強制執行の行為

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

暴力じゃなくても、だましたり、押さえつけたりすればいいんだ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そういうことじゃ。執行の現場では、人を殴らずとも妨害はできる。条文はそこを見ておる。

2項——執行が始まる前を捉える

2項が守るのは、強制執行の申立てをする側です。

要件 条文の言葉
目的 強制執行の申立てをさせず、またはその申立てを取り下げさせる目的
相手 申立権者またはその代理人
行為 暴行または脅迫

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

相手が公務員じゃない!

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

よく気づいたのう。第五章は「公務の執行を妨害する罪」じゃが、2項が守るのは私人である申立権者じゃ。強制執行という制度そのものを守るための規定、と読むと筋が通るぞ。

1項と2項の対比

1項 2項
場面 強制執行の行為 申立ての前・取下げ
手段 偽計・威力 暴行・脅迫
相手 (執行の行為) 申立権者またはその代理人
刑 3年以下の拘禁刑もしくは250万円以下の罰金、または併科 同じ

手段が1項と2項で入れ替わっている点に注意してください。

資格別の演習

司法書士正誤問題AI生成類題

偽計を用いて、強制執行における占有者の確認を妨害した者は、刑法96条の3第1項により処罰される。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。同項は「立入り、占有者の確認その他の強制執行の行為」を妨害の対象として挙げています。

司法試験正誤問題AI生成類題

刑法96条の3第2項は、偽計または威力を用いて申立権者に強制執行の申立てを取り下げさせた者を処罰する。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。2項の手段は「暴行又は脅迫」です。偽計・威力を手段とするのは1項です。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

次の第96条の4は、執行の最後の場面——売却を守る条文じゃ。

一次情報を確認する