民法第164条・総則
民法第164条:占有の中止等による取得時効の中断
占有者が任意に占有を中止し、又は他人に占有を奪われたときは、取得時効は中断します。現行法に「中断」の語が残る数少ない条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
19年目で土地を使うのをやめちゃったら、それまでの19年はどうなるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法164条が答えておる。中断する——それまでの期間は無駄になるのじゃ。取得時効取得時効一定期間の占有や権利の行使によって、その権利を取得する時効のこと(民法162条・163条)。所有権なら20年、占有開始時に善意無過失なら10年です。用語ページを見る →は「占有が続いておること」に値打ちを見ておるからのう。
条文の内容
第百六十二条の規定による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは、中断する。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 民法162条の規定による時効 |
| 事由① | 占有者が任意にその占有を中止した |
| 事由② | 他人によってその占有を奪われた |
| 効果 | 中断する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
自分でやめた場合と、奪われた場合。どちらも中断なんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうじゃ。理由を問わず、占有が途切れれば中断でな。162条が求めておるのは「20年間(10年間)占有した」ことじゃ。途切れれば、その要件が崩れる——素直な理屈じゃな。
「中断」という語
第七章では、民法147条以下が「完成猶予完成猶予一定の事由がある間、時効が完成しないこと(民法147条以下)。それまで経過した期間はそのまま残る点で、振り出しに戻る更新と異なります。用語ページを見る →」「更新更新時効が新たにその進行を始めること(民法147条2項・148条2項・152条1項)。それまで経過した期間はリセットされます。用語ページを見る →」という語を使っています。ところが164条だけは「中断」です。
| 語 | 使われている条文 | 意味(条文の言葉) |
|---|---|---|
| 完成猶予完成猶予一定の事由がある間、時効が完成しないこと(民法147条以下)。それまで経過した期間はそのまま残る点で、振り出しに戻る更新と異なります。用語ページを見る → | 民法147条〜151条、158条〜161条 | 時効は、完成しない |
| 更新更新時効が新たにその進行を始めること(民法147条2項・148条2項・152条1項)。それまで経過した期間はリセットされます。用語ページを見る → | 民法147条2項、148条2項、152条 | 新たにその進行を始める |
| 中断 | 民法164条(165条で準用) | 中断する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
混ざりそう……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
区別の手がかりは場面じゃ。147条以下の完成猶予・更新は、権利者の側が働きかけるもの——裁判を起こす、執行をかける、催告する。
一方164条は、占有そのものが途切れたという事実じゃ。誰かが手続をしたわけではない。取得時効に固有の事情でな。だから別の語が当てられておる、と読める。
165条による準用
民法165条 前条の規定は、第百六十三条の場合について準用する。
民法163条(所有権以外の財産権の取得時効)についても、164条が準用されます。
| 条文 | 対象 |
|---|---|
| 民法164条 | 民法162条による時効(所有権) |
| 民法165条 | 民法163条の場合(所有権以外の財産権)に164条を準用 |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
162条・163条で取得の要件を定め、164条・165条でそれが崩れる場合を定める。第二節はこの4か条で、取得時効の始まりと終わりを一通り押さえておるのじゃ。
資格別の演習
民法162条の規定による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは、中断する。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法164条がそのとおり定めています。自ら占有を中止した場合と、他人に奪われた場合の双方が挙げられています。
民法164条は、占有の中止等があった場合に時効の完成が猶予される旨を定めている。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法164条の文言は「中断する」であり、完成猶予完成猶予一定の事由がある間、時効が完成しないこと(民法147条以下)。それまで経過した期間はそのまま残る点で、振り出しに戻る更新と異なります。用語ページを見る →ではありません。完成猶予を定めるのは民法147条から151条まで、158条から161条までの規定です。
民法164条は、民法165条により、所有権以外の財産権の取得時効についても準用される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法165条が「前条の規定は、第百六十三条の場合について準用する」と定めています。