民法第460条・債権

民法第460条:委託を受けた保証人の事前の求償権

破産・弁済期の到来・裁判の言渡しの3つの場合に、あらかじめ求償権を行使できます。

  • 行政書士
  • 司法書士
  • 司法試験

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

払う前に「これから払うことになりそうだから、先にちょうだい」って言える?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

言える場合がある。民法460条の**事前の求償権事前の求償権じぜんのきゅうしょうけん委託を受けた保証人が、弁済する前にあらかじめ主たる債務者に求償できる権利(民法460条)。用語ページを見る →じゃ。ただし3つの場合に限られる**ぞ。

条文の内容

保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。

# 事前求償ができるとき
一 主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき
二 債務が弁済期にあるとき(ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗できない)
三 保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

1号は「かつ」で2つの条件だ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

よう読んだのう。破産しただけでは足りぬ。債権者が配当に加入しないことまで要る。

債権者が配当に加入すれば、そちらで回収が図られる。保証人が先回りする必要がない——そういう線引きじゃな。

2号のただし書

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

「保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない」——後から延ばされても、保証人には効かぬ。

民法448条2項が「主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない」としておったのう。保証人の頭越しに条件を動かさせぬ——同じ思想じゃな。

「委託を受けて保証をした場合」

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

ここでも委託が条件なんだ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そこが要じゃ。事前の求償権は、委託を受けた保証人だけのもの。

民法462条を見よ——委託を受けない保証人については、民法459条の2第1項を準用するにとどまり、460条は準用されておらぬ。頼まれてもおらぬのに、払う前から金を要求はできぬというわけじゃな。

物上保証人には事前求償権がない

最高裁は、物上保証人について次のように判断しました。

物上保証人は、被担保債権の弁済期が到来しても、あらかじめ求償権を行使することはできない。 (最判平成2年12月18日・民集第44巻9号1686頁)

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

物上保証人物上保証人ぶつじょうほしょうにん他人の債務を担保するため自分の財産に担保権を設定した者のこと。債務を弁済し又は質物の所有権を失ったときは、債務者に求償権を有します(民法351条)。用語ページを見る →はダメなんだ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

要旨は端的に「あらかじめ求償権を行使することはできない」と述べておる。参照法条には民法351条・372条・460条が挙がっておるのう。

保証人は債務そのものを負う。じゃが物上保証人は特定の財産で責任を負うにとどまる——立場が違うということじゃな。

民法461条へ

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

事前に求償を受ける主たる債務者にも、守りが要る。それが民法461条じゃ。

「主たる債務者は、保証人に担保を供させ、又は保証人に対して自己に免責を得させることを請求することができる」(1項)、「供託をし、担保を供し、又は保証人に免責を得させて、その償還の義務を免れることができる」(2項)——払ったのに債務が消えぬ、という事態を防ぐ仕組みじゃな。

資格別の演習

行政書士正誤問題AI生成類題

委託を受けた保証人は、債務が弁済期にあるときは、主たる債務者に対してあらかじめ求償権を行使することができる。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。民法460条2号がそのとおり定めています。

司法書士正誤問題AI生成類題

主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたときは、それだけで委託を受けた保証人はあらかじめ求償権を行使することができる。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。民法460条1号は破産手続開始の決定に加えて「かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき」を要件としています。

司法試験正誤問題判例(最判平成2年12月18日)

物上保証人は、被担保債権の弁済期が到来しても、あらかじめ求償権を行使することはできない。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。最判平成2年12月18日(民集第44巻9号1686頁)の裁判要旨がそのとおり判示しています。

一次情報を確認する