民法第714条・債権

民法第714条:責任無能力者の監督義務者等の責任

責任無能力者が責任を負わない場合、その監督義務者は損害を賠償する責任を負いますが、義務を怠らなかったとき等は免責されます。監督義務者に代わって監督する者も同じ責任を負います。

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レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

子どもが責任を負わないなら、被害を受けた人は誰に言えばいいの?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

監督義務者じゃ。 民法714条——民法712条・713条を受けて、責任の行き先を作っておる。

条文

1 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。

項 内容
1項本文 前二条により責任無能力者責任無能力者せきにんむのうりょくしゃ責任能力を欠くために不法行為責任を負わない者のこと。代わりに監督義務者が責任を負うことがあります(民法714条)。用語ページを見る →が責任を負わない場合、監督する法定の義務を負う者が賠償責任を負う
1項ただし書 義務を怠らなかったとき、又は怠らなくても損害が生ずべきであったとき
2項 監督義務者に代わって監督する者も同じ責任を負う

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

ただし書があるってことは、免れる道もあるんだね。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

ある。だが向きに注意せよ。 本文が責任を負わせ、ただし書が例外を置く形じゃ。

民法709条のように被害者が過失を立証する形とは、条文の作りが逆さまなのじゃよ。

判例①——義務を怠らなかったとされた事例

最判平成27年4月9日(民集第69巻3号455頁/平成24(受)1948)は、 責任を弁識する能力のない未成年者の蹴ったサッカーボールが校庭から道路に転がり出て、 これを避けようとした自動二輪車の運転者が転倒して負傷し、その後死亡した場合について、 次の事情のもとでは当該未成年者の親権者は民法714条1項の監督義務者としての義務を怠らなかったと判断しました。

  • 未成年者は、放課後、児童らのために開放されていた小学校の校庭において、使用可能な状態で設置されていたサッカーゴールに向けてフリーキックの練習をしていたのであり、殊更に道路に向けてボールを蹴ったなどの事情もうかがわれない
  • サッカーゴールに向けてボールを蹴ったとしても、ボールが道路上に出ることが常態であったものとはみられない
  • 親権者である父母は、危険な行為に及ばないよう日頃から通常のしつけをしており、当該行為について具体的に予見可能であったなどの特別の事情があったこともうかがわれない

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

ただし書が実際に働いた例じゃ。 「通常のしつけ」と「具体的な予見可能性」——要旨が挙げておるのはそこじゃな。

判例②——法定の監督義務者に準ずべき者

最判平成28年3月1日(民集第70巻3号681頁/平成26(受)1434)は、 精神障害者と同居する配偶者であるからといって、その者が民法714条1項にいう 「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできないとしたうえで、 次のように判断しました。

法定の監督義務者に該当しない者であっても、責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし、 第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなど その監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には、法定の監督義務者に準ずべき者として、 民法714条1項が類推適用される。

そのうえで同判決は、認知症により責任を弁識する能力のない者が線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた事案において、 当時85歳で左右下肢に麻ひ拘縮があり要介護1の認定を受けていた妻も、 20年以上同居しておらず事故直前の時期も1箇月に3回程度週末に訪ねていたにすぎない長男も、 判示の事情の下では法定の監督義務者に準ずべき者に当たらないとしています。

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

同居しているだけでは「法定の義務を負う者」にはならないんだ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

要旨はそこまでを言うておる。 「監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情」——この言葉が判断の中心じゃ。

要旨に無いことを足して覚えるでないぞ。

資格別の演習

行政書士正誤問題AI生成類題

責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その義務を怠らなかったことを証明したときは、責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。

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解答:◯

正しい記述です。民法714条1項ただし書がそのとおり定めています。

司法書士正誤問題AI生成類題

監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、民法714条1項の責任を負う。

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解答:◯

正しい記述です。民法714条2項がそのとおり定めています。

司法試験正誤問題AI生成類題

精神障害者と同居する配偶者は、そのことだけで民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとするのが判例である。

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解答:×

誤りです。最判平成28年3月1日は、精神障害者と同居する配偶者であるからといって同項の法定の監督義務者に当たるとすることはできない、としました。

司法試験正誤問題AI生成類題

法定の監督義務者に該当しない者であっても、その監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には、法定の監督義務者に準ずべき者として民法714条1項が類推適用されるとした判例がある。

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解答:◯

正しい記述です。最判平成28年3月1日がそのとおり判断しています。

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