刑法第35条・総則

刑法第35条:正当行為

法令による行為・正当な業務による行為は罰しません。外形が犯罪にあたっても違法性がないと評価される、違法性阻却事由の出発点です。

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レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

お医者さんが手術でメスを入れるのって、傷害罪にならないの? 人の体を傷つけてるよね。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

よい着眼じゃ。外から見れば確かに傷害の型に当てはまる。それでも罰せられんのは、第35条があるからじゃよ。「正当な業務による行為は、罰しない」——たった一文で、その筋道を通しておるのじゃ。

条文の内容

刑法35条は次のとおりです。

法令又は正当な業務による行為は、罰しない。

正当行為正当行為せいとうこうい刑法35条により罰せられない、法令による行為または正当な業務による行為のこと。外形は犯罪にあたっても、違法性がないものとして扱われます。用語ページを見る →には2つの類型があります。

類型 内容
法令による行為 法令が認めている行為(現行犯逮捕、親権者の懲戒に関する行為など)
正当な業務による行為 業務として社会的に正当と認められる行為(医師の治療行為、報道機関の取材など)

犯罪の成立と違法性阻却

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

「罰しない」って、犯罪じゃないってこと?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そうじゃ。犯罪の型(構成要件)には当てはまっておるが、違法ではないと評価される。こういう事情を違法性阻却事由違法性阻却事由いほうせいそきゃくじゆう犯罪の型(構成要件)にあてはまる行為であっても、例外的に違法でないと評価させる事情のこと。刑法35条の正当行為、36条の正当防衛、37条の緊急避難がその代表です。用語ページを見る →というのじゃよ。刑法は35条から37条まで、3つの型を並べておる。

条文 事由 効果
35条 正当行為 罰しない
36条1項 正当防衛正当防衛せいとうぼうえい急迫不正の侵害に対し、自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為のこと(刑法36条1項)。要件を満たせば罰せられません。用語ページを見る → 罰しない
37条1項本文 緊急避難 罰しない

判例——「業務」であれば当然に正当とはいえない

最決平成17年12月6日は、母の監護下にある2歳の子を有形力を用いて連れ去った略取行為について、別居中の共同親権者である父が行ったとしても、監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情が認められず、行為態様が粗暴で強引なものであるなどの事情の下では、違法性が阻却されるものではないと判示しました(補足意見および反対意見があります)。

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

親なのに違法になっちゃうんだ……。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

「親権者だから」「業務だから」という肩書きだけで正当化されるわけではない、ということじゃな。必要性や行為のやり方まで含めて判断されるのじゃよ。

刑法8条との関係

刑法8条により、刑法総則は他の法令の罪にも適用されます。したがって第35条は、特別刑法特別刑法とくべつけいほう刑法典以外の法律に置かれた刑罰規定のこと(道路交通法や覚醒剤取締法の罰則など)。刑法8条により、特別の規定がない限り刑法総則が適用されます。用語ページを見る →の罰則についても働きます。

資格別の演習

司法書士正誤問題AI生成類題

法令による行為は、刑法35条により罰せられない。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。刑法35条は「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」と定めています。

司法試験正誤問題AI生成類題

別居中の共同親権者である父が、母の監護下にある子を有形力を用いて連れ去った場合、親権者による行為である以上、常に違法性が阻却される。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。最決平成17年12月6日は、監護養育上現に必要とされる特段の事情が認められず、行為態様が粗暴で強引であるなどの事情の下では、共同親権者である父の行為であっても違法性は阻却されないと判示しています。

司法試験正誤問題AI生成類題

刑法35条は、刑法8条により、刑法典以外の法令に定められた罪についても適用される。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。刑法8条本文は、総則の規定を他の法令の罪についても適用するとしています。その法令に特別の規定があるときは、そちらが優先します。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

「型に当てはまっても、違法とは限らぬ」。第35条は、その扉を開く条文なのじゃ。次の第36条では、より切迫した場面を見ていくぞ。

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