民法第423条・債権
民法第423条:債権者代位権の要件
自己の債権を保全するため必要があるとき、債務者の権利を代わりに行使できます。一身専属権などは除かれます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
お金を貸した相手が、自分の債権を取り立てようとしない……。こっちから催促できないの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
できる。それが**債権者代位権債権者代位権債権者が自己の債権を保全するため必要があるときに、債務者に属する権利を代わりに行使できる制度(民法423条1項)。用語ページを見る →**じゃ。民法423条から423条の7までの7か条——平成29年改正で大きく整えられた制度じゃぞ。
1項:要件と除かれる権利
債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
| 内容 | |
|---|---|
| 要件 | 自己の債権を保全するため必要があるとき |
| 対象 | 債務者に属する権利(=被代位権利被代位権利債権者代位権によって行使される、債務者に属する権利のこと(民法423条1項)。債務者の一身に専属する権利と差押えを禁じられた権利は除かれます。用語ページを見る →) |
| 除かれる権利 | ① 債務者の一身に専属する権利 ② 差押えを禁じられた権利 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「被代位権利」って条文が定義してるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうじゃ。かっこ書きの定義じゃな。以下この款で使う言葉を、最初に決めておる。民法398条の13が「一部譲渡」を定義したのと同じ手つきじゃ。
2項・3項:さらに2つの制限
債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。(2項)
債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、被代位権利を行使することができない。(3項)
| 項 | 制限 | 例外 |
|---|---|---|
| 2項 | 期限が到来しない間は行使できない | **保存行為保存行為財産の現状を維持するための行為。権限の定めのない代理人でもすることができる行為として、民法103条1号が挙げています。用語ページを見る →**は可 |
| 3項 | 債権が強制執行により実現できないものなら行使できない | なし |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
3項は平成29年改正で加わった。強制執行できぬ債権のために、他人の権利を動かすことは許さぬ——筋の通った制限じゃな。
一身専属権と代位
遺留分減殺請求権について、最高裁は次のように判断しました。
遺留分減殺請求権は,遺留分権利者が,これを第三者に譲渡するなど,権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き,債権者代位の目的とすることができない。 (最判平成13年11月22日・民集第55巻6号1033頁)
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
原則ダメ、でも例外があるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨は「権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き」と述べておる。本人が使う気を示したなら別、というわけじゃな。
なお、この判決が扱った遺留分減殺請求権は、その後の相続法改正で制度が改められておる。判決はそのときの条文で読む——くり返しになるが、大事な作法じゃ。
債務者が無資力でなくても代位できる場合
買主に対する土地所有権移転登記手続義務を相続した共同相続人の一部の者が右義務の履行を拒絶しているため、買主が相続人全員による登記手続義務の履行の提供があるまで代金全額について弁済を拒絶する旨の同時履行の抗弁権を行使している場合には、他の相続人は、自己の相続した代金債権を保全するため、右買主が無資力でなくても、これに代位して、登記手続義務の履行を拒絶している相続人に対し買主の所有権移転登記手続請求権を行使することができる。 (最判昭和50年3月6日・民集第29巻3号203頁)
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨は「右買主が無資力でなくても」と明言しておる。債務者の無資力を要しない場面があるということじゃな。
条文が定める要件は「自己の債権を保全するため必要があるとき」じゃ。無資力とは書かれておらぬ。条文の言葉に立ち返れば、この判断も読み取れよう。
抵当権者による妨害排除請求権の代位行使
第三者が抵当不動産を不法占有することにより、競売手続の進行が害され適正な価額よりも売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対して有する右状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を保全するため、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができる。 (最大判平成11年11月24日・民集第53巻8号1899頁)
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
抵当権抵当権目的物の占有を移さずに設定できる担保物権(民法369条以下)。先取特権の効力については、その性質に反しない限り抵当権の規定が準用されます(民法341条)。用語ページを見る →の話とつながった!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
大法廷の判断じゃ。保全される債権として、要旨は「抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権」を挙げておる。金銭債権とは限らぬ、というわけじゃな。
そして同判決は、直接抵当権者に建物を明け渡すよう求めることができるとした事例判断も示しておる。民法423条の3が「自己に対してすることを求めることができる」と条文にしたのと、響き合うのう。
資格別の演習
債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
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解答:◯
正しい記述です。民法423条1項がそのとおり定めています。
債権者は、その債権の期限が到来しない間は被代位権利を行使することができないが、保存行為はこの限りでない。
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解答:◯
正しい記述です。民法423条2項がそのとおり定めています。
債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、被代位権利を行使することができない。
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解答:◯
正しい記述です。民法423条3項がそのとおり定めています。
遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができない。
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解答:◯
正しい記述です。最判平成13年11月22日(民集第55巻6号1033頁)の裁判要旨がそのとおり判示しています。
一次情報を確認する
- e-Gov法令検索:民法第423条
- 最大判平成11年11月24日(民集 第53巻8号1899頁)(平成8(オ)1697)
- 最判平成13年11月22日(民集 第55巻6号1033頁)(平成10(オ)989)
- 最判昭和50年3月6日(民集 第29巻3号203頁)(昭和48(オ)369)