民法第398条の12・物権
民法第398条の12:根抵当権の譲渡
元本確定前なら、設定者の承諾を得て根抵当権そのものを譲り渡せます。2個に分割して一方だけ譲ることもできます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
民法398条の11で根抵当権根抵当権一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保する抵当権(民法398条の2)。継続的な取引から生じる債権をまとめて担保できます。用語ページを見る →の処分はほとんど封じられてたよね。じゃあ枠ごと譲るのは?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
それはできるのじゃ。民法398条の12——根抵当権そのものを譲り渡す。398条の11が塞いだのは民法376条1項の処分じゃからのう。別の道が用意されておる。
1項:設定者の承諾を得て譲渡できる
元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| いつ | 元本の確定前 |
| 誰の承諾 | 根抵当権設定者 |
| 何を | その根抵当権を譲り渡すことができる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
設定者の承諾が要るんだ。398条の4は「承諾を得ることを要しない」だったのに。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よい対比じゃ。変えるのが枠の中身か、枠の持ち主か——そこで扱いが分かれておる。
根抵当権が他人の手に渡れば、設定者はまったく知らぬ相手と付き合うことになる。中身の入れ替えとはわけが違うのう。
2項:分割して一方を譲る
根抵当権者は、その根抵当権を二個の根抵当権に分割して、その一方を前項の規定により譲り渡すことができる。この場合において、その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅する。
| 内容 | |
|---|---|
| 前段 | 2個の根抵当権に分割して、その一方を1項により譲り渡せる |
| 後段 | その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
ひとつの枠を2つに割るんだ! 極度額極度額根抵当権が担保する限度額のこと。根抵当権者は、確定した元本・利息・損害賠償の全部について、この額を限度に権利を行使できます(民法398条の3第1項)。用語ページを見る →も分かれるのかな。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文は「2個の根抵当権に分割」としか書いておらぬ。その先は条文から読み取れる範囲を超えるゆえ、わしは言い切らぬ。
ただし後段は明確じゃ。その根抵当権を目的とする権利——転抵当などじゃな——は、譲り渡したほうについて消滅する。譲受人は、きれいな枠を受け取るということじゃ。
3項:目的とする権利を有する者の承諾
前項の規定による譲渡をするには、その根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
2項後段でその権利が消えるのじゃから、当然にその者の承諾が要る。3項は、2項後段と一組で読むのが筋じゃな。
民法387条2項でも「その抵当権を目的とする権利を有する者」の承諾が求められておった。上に乗っておる権利者を無視せぬ——民法の一貫した態度じゃ。
承諾の要否をまとめる
| 行為 | 設定者の承諾 | その他 |
|---|---|---|
| 債権の範囲・債務者の変更(398条の4) | 不要 | 第三者の承諾も不要 |
| 極度額の変更(398条の5) | — | 利害関係を有する者の承諾 |
| 根抵当権の譲渡(398条の12第1項) | 必要 | — |
| 分割譲渡(398条の12第2項) | 必要 | 目的とする権利を有する者の承諾(3項) |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
誰が損をするかで、誰の承諾が要るかが決まる。第四節を貫く物差しじゃな。
資格別の演習
元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法398条の12第1項がそのとおり定めています。
根抵当権者は、その根抵当権を2個の根抵当権に分割して、その一方を譲り渡すことができ、この場合、その根抵当権を目的とする権利は譲り渡した根抵当権について消滅する。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法398条の12第2項がそのとおり定めています。
民法398条の12第2項による分割譲渡をするには、その根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法398条の12第3項がそのとおり定めています。