民法第369条・物権
民法第369条:抵当権の内容
占有を移さずに担保にできる——それが抵当権です。住み続けながら家を担保にできる、もっとも使われている担保物権です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
家を担保にお金を借りたら、その家から出ていかないといけないの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
質権質権債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、その物について他の債権者に先立って弁済を受ける権利(民法342条)。設定には目的物の引渡しが必要です(民法344条)。用語ページを見る →ならそうなる(民法344条)。じゃが**抵当権抵当権目的物の占有を移さずに設定できる担保物権(民法369条以下)。先取特権の効力については、その性質に反しない限り抵当権の規定が準用されます(民法341条)。用語ページを見る →なら住み続けられる**。民法369条をよう見よ。「占有を移転しないで」——この一句がすべてじゃ。
1項:占有を移さない担保
抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 誰が供する | 債務者又は第三者 |
| どのように | 占有を移転しないで |
| 対象 | 不動産 |
| 効果 | 他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
住みながら担保にできる。だからみんな抵当権を使うんだ!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが抵当権が世に広まった理由じゃな。担保に入れても、暮らしも商売も止まらぬ。
そのかわり、外から見ても分からぬ。だから登記登記不動産の権利関係を法務局の登記簿に記録して公示する制度。不動産の物権変動は、登記をしないと第三者に主張できません。用語ページを見る →が要る。民法373条は「その抵当権の順位は、登記の前後による」と定めておる。占有のかわりに登記が公示を担うのじゃ。
「第三者」=物上保証人
条文は「債務者又は第三者」としています。他人の債務のために自分の不動産を差し出す者が物上保証人物上保証人他人の債務を担保するため自分の財産に担保権を設定した者のこと。債務を弁済し又は質物の所有権を失ったときは、債務者に求償権を有します(民法351条)。用語ページを見る →です。民法372条により民法351条が準用され、その者は求償権求償権他人のために出捐した者が、その負担すべき者に対して返還を求める権利のこと。物上保証人は、保証債務に関する規定に従い債務者に求償できます(民法351条)。用語ページを見る →を持ちます。
2項:地上権・永小作権も目的にできる
地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 対象 | 地上権地上権他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する物権(民法265条)。同じ「借りて使う」でも、債権である賃借権とは性質が異なります。用語ページを見る →及び永小作権永小作権小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利(民法270条)。存続期間は20年以上50年以下とされます(民法278条1項)。用語ページを見る → |
| 効果 | 抵当権の目的とすることができる |
| 準用 | この場合においては、この章の規定を準用する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
不動産そのものじゃなくて、その上の権利も担保にできるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
地上権も永小作権も登記できる物権じゃからのう。公示ができるなら、抵当権の目的にできる。
そして民法398条を思い出すのじゃ。「地上権又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない」——放棄で抵当権を消させぬ手当てがしてある。
4つの担保物権のなかで
| 担保物権 | 発生原因 | 占有 | 目的物 |
|---|---|---|---|
| 留置権(民法295条) | 法律 | 移す | 物 |
| 先取特権(民法303条) | 法律 | 移さない | 財産・動産・不動産 |
| 質権(民法342条) | 契約 | 移す | 物・財産権 |
| 抵当権(民法369条) | 契約 | 移さない | 不動産・地上権・永小作権 |
資格別の演習
抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
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解答:◯
正しい記述です。民法369条1項がそのとおり定めています。
地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法369条2項がそのとおり定めています。この場合には抵当権の章の規定が準用されます。
抵当権は、債務者以外の第三者が自己の不動産を担保に供することによっても設定することができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法369条1項は「債務者又は第三者が」としています。この第三者を物上保証人といい、民法372条により民法351条(求償権)が準用されます。