民法第205条・物権
民法第205条:準占有
物を持っていなくても、財産権を行使していれば占有権の規定が準用されます。債権や知的財産権にまで占有のルールを届かせる、たった一文の条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
占有って「物を所持する」ことだったよね。じゃあ、目に見えない権利には関係ないの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこを一文で埋めるのが民法205条じゃ。第二章「占有権」の最後、第四節「準占有準占有自己のためにする意思をもって財産権を行使する場合のこと(民法205条)。物の所持がなくても、占有権の規定が準用されます。用語ページを見る →」にただ1本だけ置かれておる条文でな。
条文の内容
この章の規定は、自己のためにする意思をもって財産権の行使をする場合について準用する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 準用されるもの | この章の規定(=第二章「占有権」=民法180条〜204条) |
| 準用される場面 | 自己のためにする意思をもって財産権の行使をする場合 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
民法180条とよく似た言い回しだ。「物を所持する」が「財産権の行使をする」に変わってる!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが読みどころじゃ。主観の要件はそのまま「自己のためにする意思」。客観の要件だけが、所持から財産権の行使に置き換わっておる。
すると、民法186条の推定も、民法197条の占有の訴えも、財産権の行使について働きうることになる。たった一文で、章まるごとを別の世界へ持ち込む——民法らしい技じゃな。
判例:賃借権の時効取得
最判昭和44年9月30日(集民第96号657頁)
判示事項は「使用貸借契約により占有を始めた者が賃借権の時効取得を援用するための要件」です。裁判要旨は次のとおりです。
使用貸借契約により占有を始めた者は、民法二〇五条・一八五条の定めるところに従つて賃借権を行使する意思をもつてする占有に変更されたのちに取得時効に必要な期間を経過した旨を主張立証しないかぎり、賃借権の時効取得を援用することはできない。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
民法205条と185条が並んで出てくる!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが準占有の働き方じゃ。賃借権という財産権の行使が問題になっておる。そこへ205条が第二章を持ち込み、なかでも民法185条(占有の性質の変更)が効いてくる。
ただで借りておった者が、いつのまにか「賃借権を行使する意思」に変わっておった——それを主張立証せよ、というのが要旨の結論じゃ。タダで借りておることと、賃借権を持っておることは別なのじゃな。
資格別の演習
民法第二編第二章「占有権」の規定は、自己のためにする意思をもって財産権の行使をする場合について準用される。
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解答:◯
正しい記述です。民法205条がそのとおり定めています。これを準占有といいます。
民法205条の準占有が認められるには、その財産権の目的物を現に所持していることが必要である。
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解答:×
誤りです。条文は「財産権の行使をする場合」としており、物の所持を要件としていません。物の所持を要件とするのは民法180条の占有権です。
判例によれば、使用貸借契約により占有を始めた者は、民法205条・185条の定めるところに従って賃借権を行使する意思をもってする占有に変更されたのちに取得時効に必要な期間を経過した旨を主張立証しない限り、賃借権の時効取得を援用することはできない。
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解答:◯
正しい記述です。最判昭和44年9月30日(集民第96号657頁)の裁判要旨がそのとおり述べています。