刑法第27条・総則
刑法第27条:刑の全部の執行猶予の猶予期間経過の効果
猶予期間を無事に経過すれば刑の言渡しは効力を失います。ただし期間内に犯した罪で公訴が提起されているときは、効力継続期間として言渡しが生き続けます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
執行猶予の期間を無事に過ごしたら、その刑はどうなるの? 「執行しなくていい」だけ?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
もっと強い。第27条1項は「刑の言渡しは、効力を失う」と言い切っておる。刑を執行しないだけでなく、言渡しそのものが無かったことになるのじゃよ。
1項——原則
刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡し刑の言渡し裁判所が判決で具体的な刑を告げること。執行猶予期間が無事に経過したとき(刑法27条1項)や刑の消滅(刑法34条の2)では、この言渡し自体が効力を失います。用語ページを見る →は効力を失います。
これにより、資格制限などの不利益からも解放されます。刑法34条の2の刑の消滅刑の消滅刑の執行を終えた者などが、一定期間さらに罰金以上の刑に処せられなかったときに、刑の言渡しが効力を失う制度(刑法34条の2)。資格制限からの回復を目的とします。用語ページを見る →と並ぶ、社会復帰のための重要な効果です。
2項——効力継続期間
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
猶予期間の終わりぎりぎりに罪を犯して、裁判が間に合わなかったら? 逃げ切り?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこを塞いだのが2項じゃ。猶予期間内に犯した罪(罰金以上の刑に当たるものに限る)について公訴が提起されているときは、刑の言渡しは、期間が経過した日から一定の間、引き続き効力を有するとされる。この間を条文は「効力継続期間」と呼んでおる。
効力継続期間の間、その刑については全部の執行猶予の言渡しがされているものとみなされます(2項後段)。
3項——効力継続期間中の扱い
2項前段にかかわらず、効力継続期間における次の規定の適用については、刑の言渡しは効力を失っているものとみなされます。
| 号 | 対象 |
|---|---|
| 1号 | 刑法25条、26条、26条の2、28条1項・3項、27条の4(3号に係る部分)、34条の2の規定 |
| 2号 | 人の資格に関する法令の規定 |
2号があるため、効力継続期間中も資格制限は復活しません。刑の言渡しを生かしておくのは、あくまで4項・5項による取消しを可能にするためです。
4項〜6項——取消しと連鎖
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 4項 | その罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、全部について執行猶予の言渡しがないときは、2項後段による執行猶予の言渡しを取り消さなければならない(ただし書に例外あり) |
| 5項 | その罪について罰金に処せられたときは、取り消すことができる |
| 6項 | 4項・5項により取り消したときは、執行猶予中の他の拘禁刑についても取り消さなければならない |
4項は必要的取消し必要的取消し条文の要件にあたれば、裁判所が必ず取り消さなければならない場合のこと。刑法26条・27条の4は「取り消さなければならない」と定めています。用語ページを見る →、5項は裁量的取消し裁量的取消し要件にあたっても、取り消すかどうかを裁判所の判断にゆだねる場合のこと。刑法26条の2・27条の5は「取り消すことができる」と定めています。用語ページを見る →という組み立てで、刑法26条・26条の2と同じ発想です。6項は26条の3にあたる連鎖規定です。
なお4項ただし書は、その罪が猶予期間の経過後に犯した罪と併合罪として処断された場合において、犯情犯情情状のうち、犯罪行為そのものの重さに関わる事情のこと(結果の大小、動機、態様など)。刑法10条3項や27条の2第1項が判断の基準として挙げています。用語ページを見る →その他の情状を考慮して相当でないと認めるときは取り消さないとしています。
資格別の演習
刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは効力を失う。
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解答:◯
正しい記述です。刑法27条1項がそのまま定めています。刑を執行しないにとどまらず、言渡し自体が効力を失います。
執行猶予の期間内に犯した罰金以上の刑に当たる罪について公訴が提起されている場合、猶予期間が経過しても、刑の言渡しは効力継続期間中は引き続き効力を有する。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法27条2項前段が定めています。同項後段により、その間は全部の執行猶予の言渡しがされているものとみなされます。
効力継続期間中は、人の資格に関する法令の規定の適用についても、刑の言渡しの効力が維持される。
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解答:×
誤りです。刑法27条3項2号は、人の資格に関する法令の規定の適用については、刑の言渡しは効力を失っているものとみなすと定めています。資格制限は復活しません。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
「無事に過ごせば言渡しは消える。ただし期間内の罪で起訴されておれば、取消しのために言渡しだけを生かしておく」。第27条はこの二段構えなのじゃ。