民法第518条・債権
民法第518条:更改後の債務への担保の移転
更改前の債務の目的の限度で質権・抵当権を新債務に移せます。第三者が設定した場合は承諾が必要です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
更改で債務が消えたら、抵当権も消えちゃうよね?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
放っておけば消える。 じゃが民法518条が移す道を用意しておる。民法472条の4とよく似た構えじゃぞ。
1項:質権・抵当権を移せる
債権者(債権者の交替による更改にあっては、更改前の債権者)は、更改前の債務の目的の限度において、その債務の担保として設定された質権又は抵当権を更改後の債務に移すことができる。ただし、第三者がこれを設定した場合には、その承諾を得なければならない。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 誰が | 債権者(債権者の交替による更改では更改前の債権者) |
| 何を | その債務の担保として設定された**質権質権債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、その物について他の債権者に先立って弁済を受ける権利(民法342条)。設定には目的物の引渡しが必要です(民法344条)。用語ページを見る →又は抵当権抵当権目的物の占有を移さずに設定できる担保物権(民法369条以下)。先取特権の効力については、その性質に反しない限り抵当権の規定が準用されます(民法341条)。用語ページを見る →** |
| どこへ | 更改後の債務に移すことができる |
| 限度 | 更改前の債務の目的の限度において |
| ただし書 | 第三者がこれを設定した場合には、その承諾を得なければならない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
質権と抵当権だけ?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文がそう限定しておる。 民法472条の4が「担保として設定された担保権」と広く書いておったのと違うのう。条文の言葉を比べるのが確かじゃ。
そして**「更改前の債務の目的の限度において」——新債務が大きくなっても、担保は元の大きさまで。物上保証人物上保証人他人の債務を担保するため自分の財産に担保権を設定した者のこと。債務を弁済し又は質物の所有権を失ったときは、債務者に求償権を有します(民法351条)。用語ページを見る →や後順位者が不意に不利になることを防ぐ**、と読める書きぶりじゃな。
2項:移転の方法
前項の質権又は抵当権の移転は、あらかじめ又は同時に更改の相手方(債権者の交替による更改にあっては、債務者)に対してする意思表示によってしなければならない。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 時期 | あらかじめ又は同時に |
| 相手 | 更改の相手方(債権者の交替による更改では債務者) |
| 方法 | 意思表示意思表示契約を結ぶなど、一定の法律効果を発生させようとする意思を外部に表明する行為。用語ページを見る →によって |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「あらかじめ又は同時に」——後からじゃだめなんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法472条の4第2項と同じ言い回しじゃな。 理由も同じと読める。
更改の効力が生じた瞬間、従前の債務は消える(民法513条)。債務が消えれば、それに付いていた担保も行き場を失う——**付従性付従性ある権利が他の権利にくっついて動く性質のこと。地役権は要役地の所有権とともに移転し、要役地から分離して譲り渡すことができません(民法281条)。用語ページを見る →じゃ。
消える前に、移す意思表示をしておけ——時間の順序が実体を決めるのじゃ。
民法472条の4と並べる
| 更改更改従前の債務に代えて新たな債務を発生させる契約。従前の債務は消滅します(民法513条)。連帯債務では全員のために債権が消滅します(民法438条)。用語ページを見る →(民法518条) | 免責的債務引受免責的債務引受引受人が債務者と同一の内容の債務を負担し、債務者が自己の債務を免れること(民法472条1項)。用語ページを見る →(民法472条の4) | |
|---|---|---|
| 移せる担保 | 質権又は抵当権 | 担保として設定された担保権 |
| 限度 | 更改前の債務の目的の限度 | 条文に明示なし |
| 第三者設定の場合 | 承諾が必要 | 承諾が必要(引受人以外の者) |
| 時期 | あらかじめ又は同時に | あらかじめ又は同時に |
| 保証への準用 | 条文に定めなし | あり(3項〜5項。承諾は書面) |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
更改には保証の規定がない!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法472条の4第3項にあたる規定が、民法518条にはない——条文を突き合わせてはじめて見えるのう。
条文にないものを、あるかのように語らぬ。 民法518条が扱うのは質権と抵当権じゃ。
資格別の演習
債権者は、更改前の債務の目的の限度において、その債務の担保として設定された質権又は抵当権を更改後の債務に移すことができるが、第三者がこれを設定した場合にはその承諾を得なければならない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法518条1項がそのとおり定めています。
民法518条1項の質権又は抵当権の移転は、あらかじめ又は同時に更改の相手方に対してする意思表示によってしなければならない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法518条2項がそのとおり定めています。