民法第283条・物権
民法第283条:地役権の時効取得
「継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるもの」に限って時効取得できます。判例は「継続」の要件を厳しく解しています。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
ずっと近道させてもらっている道があるの。何十年も通っていれば、地役権地役権設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利(民法280条)。通行や引水のために設定されます。用語ページを見る →を時効取得できる?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法283条じゃ。じゃが要件が2つあってな。しかも判例が「継続」を厳しく読んでおる。そう簡単ではないぞ。
条文の内容
地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
| # | 要件 | 条文の言葉 |
|---|---|---|
| ① | 継続的に行使され | 継続性 |
| ② | かつ、外形上認識することができる | 表現性 |
この2つを満たすものに限り、取得時効取得時効一定期間の占有や権利の行使によって、その権利を取得する時効のこと(民法162条・163条)。所有権なら20年、占有開始時に善意無過失なら10年です。用語ページを見る →の対象となります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「限り」って強い言葉だね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが283条の要じゃ。民法162条の取得時効は「他人の物」なら広く認められる。じゃが地役権は目に見えぬ負担を承役地に負わせるからのう。外から分かるものでなければ時効では取らせぬ、という絞りをかけたのじゃ。
判例:「継続」とは何か
最判昭和33年2月14日(民集第12巻2号268頁)
判示事項は「通行地役権時効取得における『継続』の要件」です。裁判要旨は次のとおりです。
民法第二八三条にいう「継続」の要件をみたすには、承役地たるべき土地の上に通路の開設があつただけでは足りず、その開設が要役地所有者によつてなされたことを要する。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
えっ、通路があるだけじゃダメで、要役地の所有者が作ったものじゃないといけないの!?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨はそう述べておる。これは厳しい。承役地の所有者が自分のために作った道を、ただ通らせてもらっておるだけでは——「継続」の要件を満たさぬ、ということじゃ。
好意で通らせてもらっている状態が、時効で権利に化けることを防ぐ——そう読める判断じゃな。
最判平成6年12月16日(集民第173号517頁)
判示事項は「要役地の所有者によって通路が開設されたとして通行地役権の時効取得が認められた事例」です。裁判要旨は次のとおりです。
公道に接する土地を所有する甲が、乙に対して右公道の拡幅のためにその所有地の一部を提供するよう働きかける一方、自らも所有地の一部を提供する等の負担をし、甲のこれらの行為の結果として、右公道全体が拡幅され、乙の右所有地も拡幅部分の一部として通行の用に供されるようになったなど判示の事実関係の下においては、乙の右所有地については、要役地の所有者である甲によって通路が開設されたものとして、通行地役権の時効取得が認められる。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
自分で工事したわけじゃないのに、「開設した」と認められたんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨が挙げる事実を丁寧に見るのじゃ。甲は働きかけ、自らも所有地の一部を提供する等の負担をし、その結果として拡幅が実現しておる。
昭和33年判決の「要役地所有者によってなされた」を、自ら汗をかいたと評価できる場合にまで及ぼしたもの、と読める。ただし「判示の事実関係の下においては」という限定つきじゃ。一般化してはならぬぞ。
資格別の演習
地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法283条がそのとおり定めています。2つの要件を満たすものに限られます。
判例によれば、承役地となるべき土地の上に通路が開設されていれば、その開設者が誰であるかを問わず、民法283条の「継続」の要件を満たす。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。最判昭和33年2月14日(民集第12巻2号268頁)の裁判要旨は「通路の開設があつただけでは足りず、その開設が要役地所有者によつてなされたことを要する」としています。
土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者もこれを取得する。
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解答:◯
正しい記述です。民法284条1項がそのとおり定めています。地役権の不可分性の表れです。