刑法第27条の4・総則
刑法第27条の4:刑の一部の執行猶予の必要的取消し
一部執行猶予を取り消さなければならない3つの場合です。全部執行猶予の26条と似ていますが、「執行猶予の言渡しがない」という限定の有無が違います。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
一部執行猶予にも、取消しの条文があるんだね。26条と同じ?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
似ておるが、同じではない。実はこちらのほうが厳しいのじゃ。並べて読むと、その差がはっきり見えるぞ。
条文の内容
刑法27条の4は、次に掲げる場合においては、刑の一部の執行猶予刑の一部の執行猶予拘禁刑の一部だけを実際に執行し、残りの部分の執行を猶予する制度(刑法27条の2)。猶予期間は、執行された部分を終えた日から起算されます。用語ページを見る →の言渡しを取り消さなければならないと定めます。
| 号 | 場合 |
|---|---|
| 1号 | 猶予の言渡し後にさらに罪を犯し、拘禁刑以上の刑に処せられたとき |
| 2号 | 猶予の言渡し前に犯した他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたとき |
| 3号 | 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないことが発覚したとき |
ただし書により、3号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が刑法27条の2第1項3号に掲げる者であるときは、取消しをしません。
26条との違い
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
1号と2号、26条と何が違うの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
26条の1号・2号には「その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき」という限定が付いておった。27条の4の1号・2号には、それが無い。つまり、新たな刑に執行猶予が付いていても取り消されるのじゃ。
| 26条(全部執行猶予の取消し) | 27条の4(一部執行猶予の取消し) | |
|---|---|---|
| 1号 | 拘禁刑以上+全部について執行猶予の言渡しがない | 拘禁刑以上に処せられた(限定なし) |
| 2号 | 拘禁刑以上+全部について執行猶予の言渡しがない | 拘禁刑以上に処せられた(限定なし) |
| 3号 | 拘禁刑以上に処せられたことが発覚 | 拘禁刑以上+全部について執行猶予の言渡しがないことが発覚 |
すでに実刑部分を執行された者に与えられた猶予である以上、取消しの要件が厳しくなる——そう理解すると筋が通ります。
「言渡し後」と「言渡し前」
1号は猶予の言渡し後に犯した罪、2号・3号は言渡し前の罪です。26条1号が「猶予の期間内に更に罪を犯して」としていたのに対し、27条の4第1号は「猶予の言渡し後に更に罪を犯し」となっている点も、読み比べておきたいところです。
資格別の演習
刑の一部の執行猶予の言渡し後にさらに罪を犯して拘禁刑に処せられたときは、その刑に執行猶予が付されていても、一部執行猶予の言渡しは取り消さなければならない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法27条の4第1号は「拘禁刑以上の刑に処せられたとき」とのみ定めており、全部執行猶予の取消しに関する刑法26条1号のような「その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき」という限定がありません。
猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないことが発覚したときは、一部執行猶予は必要的に取り消される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法27条の4第3号が定めています。ただし、猶予の言渡しを受けた者が刑法27条の2第1項3号に掲げる者であるときは、同条ただし書により取り消されません。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
「一部執行猶予の取消しは、全部より緩やかな要件で働く」。26条と並べて差分だけを覚えるのが効率的じゃよ。