民法第302条・物権
民法第302条:占有の喪失による留置権の消滅
占有を失えば留置権は消えます。ただし承諾を得て賃貸・質入れした場合は別。第七章を締めくくる条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
留置している物を、うっかり返しちゃったら?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法302条じゃ。占有を失えば、留置権は消える。留置権留置権他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置できる権利(民法295条1項)。修理代を払ってもらうまで品物を返さない、という場面が典型です。用語ページを見る →のいちばんの弱点じゃな。
条文の内容
留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって、消滅する。ただし、第二百九十八条第二項の規定により留置物を賃貸し、又は質権の目的としたときは、この限りでない。
| 内容 | |
|---|---|
| 原則 | 留置権者が留置物の占有を失うことによって消滅する |
| ただし書 | 民法298条2項の規定により留置物を賃貸し、又は質権の目的としたときは、この限りでない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
占有占有物を事実上支配していること。所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の物を占有し続けると、取得時効が成立し得ます(民法162条)。用語ページを見る →がすべてなんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおり。留置権は「返さない」という権利じゃ。手元になければ、返さぬも何もない。民法295条1項も「他人の物の占有者は」で始まっておったろう。占有が入口であり、出口でもあるのじゃ。
民法203条を思い出すとよい。占有権も「占有物の所持を失うことによって消滅する」じゃった。占有に支えられた権利は、占有とともに消える。
ただし書:承諾を得た賃貸・質入れ
民法298条2項は、債務者の承諾を得れば留置物を賃貸し、又は担保に供することができるとしていました。その場合には、物が手元を離れても留置権は消えません。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
承諾を得て貸したのなら、それは代理占有(民法181条)と見ることができよう。占有代理人を通じて占有は続いておる——そう読めば、ただし書の理屈が通る。
逆にいえば、承諾なく貸した場合はこのただし書に乗らぬ。しかも民法298条3項により消滅請求まで受ける。二重に不利じゃな。
留置権の消滅事由まとめ
| 条文 | 消滅の原因 |
|---|---|
| 民法298条3項 | 保管義務違反による消滅請求 |
| 民法300条 | (被担保債権の時効消滅を許す) |
| 民法301条 | 相当の担保の供与による消滅請求 |
| 民法302条 | 占有の喪失 |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
第七章はここまでじゃ。次の民法303条からは第八章「先取特権先取特権法律の規定に従い、債務者の財産から他の債権者に先立って弁済を受ける権利(民法303条)。当事者の契約ではなく法律によって当然に生じる担保物権です。用語ページを見る →」——法律の規定によって当然に生じる担保物権の世界に入るぞ。
資格別の演習
留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって消滅する。
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解答:◯
正しい記述です。民法302条本文がそのとおり定めています。
民法298条2項の規定により留置物を賃貸し、又は質権の目的としたときは、占有を失っても留置権は消滅しない。
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解答:◯
正しい記述です。民法302条ただし書がそのとおり定めています。
留置権者が債務者の承諾を得ずに留置物を賃貸した場合であっても、民法302条ただし書により留置権は消滅しない。
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解答:×
誤りです。同条ただし書は「第二百九十八条第二項の規定により」留置物を賃貸し、又は質権の目的としたときとしており、債務者の承諾を得た場合を指しています。承諾のない賃貸は、民法298条3項の消滅請求の対象ともなります。