民法第12条・総則
民法第12条:被保佐人及び保佐人
保佐開始の審判を受けた者は被保佐人となり、これに保佐人が付されます。民法8条と同じ形の、呼び名と保護者を決める一文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
あれ、この条文……8条とそっくりじゃない?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よう気づいたのう。民法は同じ形をくり返すことで、3つの制度を並べておる。形が同じなら、違うところだけを覚えればよい。楽ができるというものじゃ。
条文の内容
保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。
| 決めていること | 内容 |
|---|---|
| 呼び名 | 保佐開始の審判保佐開始の審判精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である人について、家庭裁判所が保佐を開始すると決める裁判(民法11条)。用語ページを見る →(民法11条)を受けた者は被保佐人被保佐人事理を弁識する能力が著しく不十分だとして、保佐開始の審判を受けた人(民法12条)。民法13条1項が列挙する重要な行為をするには、保佐人の同意が必要です。用語ページを見る →となる |
| 保護者 | その者に保佐人保佐人被保佐人に付される保護者(民法12条)。家庭裁判所が保佐開始の審判をするときに、職権で選任します(民法876条の2第1項)。用語ページを見る →を付する |
8条・12条・16条を並べる
3つの制度の「呼び名と保護者を決める条文」は、同じ形で書かれています。
| 制度 | 条文 | 審判を受けた者 | 付される保護者 |
|---|---|---|---|
| 後見 | 民法8条 | 成年被後見人成年被後見人後見開始の審判を受けた人のこと(民法8条)。その法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除いて取り消すことができます。用語ページを見る → | 成年後見人成年後見人成年被後見人に付される保護者(民法8条)。家庭裁判所が後見開始の審判をするときに、職権で選任します(民法843条1項)。用語ページを見る → |
| 保佐 | 民法12条 | 被保佐人被保佐人事理を弁識する能力が著しく不十分だとして、保佐開始の審判を受けた人(民法12条)。民法13条1項が列挙する重要な行為をするには、保佐人の同意が必要です。用語ページを見る → | 保佐人保佐人被保佐人に付される保護者(民法12条)。家庭裁判所が保佐開始の審判をするときに、職権で選任します(民法876条の2第1項)。用語ページを見る → |
| 補助 | 民法16条 | 被補助人被補助人事理を弁識する能力が不十分だとして、補助開始の審判を受けた人(民法16条)。同意が必要になるのは、審判で個別に定められた特定の法律行為だけです。用語ページを見る → | 補助人補助人被補助人に付される保護者(民法16条)。家庭裁判所が補助開始の審判をするときに、職権で選任します(民法876条の7第1項)。用語ページを見る → |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「被」がついているほうが守られる側、だったよね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおりじゃ。あとは後見/保佐/補助という3つの言葉を、重い順に並べて覚えるだけでよい。
保佐人はどう決まり、何を求められるのか
民法12条は「付する」とだけ書きます。具体的な仕組みは、第四編(親族)に置かれています。
開始と選任
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法876条 | 保佐は、保佐開始の審判保佐開始の審判精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である人について、家庭裁判所が保佐を開始すると決める裁判(民法11条)。用語ページを見る →によって開始する |
| 民法876条の2第1項 | 家庭裁判所家庭裁判所家庭に関する事件などを扱う裁判所。後見・保佐・補助を開始する審判と、その取消しの審判はここが行います。用語ページを見る →は、保佐開始の審判をするときは、職権で保佐人を選任する |
| 民法876条の2第2項 | 民法843条2項から4項まで、及び民法844条から民法847条までの規定を保佐人について準用する |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
選任のしかたは、成年後見人の民法843条を準用しておる。だから「欠けたときの選任」「複数選任」「選任にあたって考慮すべき一切の事情」といった話は、保佐にもそのまま通じるのじゃ。
保佐監督人
民法876条の3第1項は、家庭裁判所家庭裁判所家庭に関する事件などを扱う裁判所。後見・保佐・補助を開始する審判と、その取消しの審判はここが行います。用語ページを見る →は、必要があると認めるときは、被保佐人被保佐人事理を弁識する能力が著しく不十分だとして、保佐開始の審判を受けた人(民法12条)。民法13条1項が列挙する重要な行為をするには、保佐人の同意が必要です。用語ページを見る →、その親族若しくは保佐人保佐人被保佐人に付される保護者(民法12条)。家庭裁判所が保佐開始の審判をするときに、職権で選任します(民法876条の2第1項)。用語ページを見る →の請求により又は職権で、保佐監督人を選任することができると定めています。
利益が相反するとき
民法876条の2第3項は、保佐人保佐人被保佐人に付される保護者(民法12条)。家庭裁判所が保佐開始の審判をするときに、職権で選任します(民法876条の2第1項)。用語ページを見る →又はその代表する者と被保佐人被保佐人事理を弁識する能力が著しく不十分だとして、保佐開始の審判を受けた人(民法12条)。民法13条1項が列挙する重要な行為をするには、保佐人の同意が必要です。用語ページを見る →との利益が相反する行為については、保佐人は臨時保佐人の選任を家庭裁判所家庭裁判所家庭に関する事件などを扱う裁判所。後見・保佐・補助を開始する審判と、その取消しの審判はここが行います。用語ページを見る →に請求しなければならないと定めています。ただし、保佐監督人がある場合は、この限りでありません。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
守る人と守られる人の利害がぶつかったら、別の人を立てるんだ。
意思の尊重と身上への配慮
民法876条の5第1項は、次のように定めます。
保佐人は、保佐の事務を行うに当たっては、被保佐人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
成年後見人成年後見人成年被後見人に付される保護者(民法8条)。家庭裁判所が後見開始の審判をするときに、職権で選任します(民法843条1項)。用語ページを見る →について同じことを定めた民法858条と、そろえて置かれた規定です。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
制度が守ろうとしておるのは、財産だけではない。その人の暮らしと意思じゃ。ここは後見も保佐も補助も変わらんぞ。
資格別の演習
保佐開始の審判を受けた者は被保佐人とされ、これに保佐人が付される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法12条がそのとおり定めています。後見について民法8条が、補助について民法16条が、それぞれ同じ形で呼び名と保護者を定めています。
家庭裁判所は、保佐開始の審判をする場合、被保佐人となるべき者又はその親族の請求があったときに限り、保佐人を選任する。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法876条の2第1項は「家庭裁判所は、保佐開始の審判をするときは、職権で、保佐人を選任する」と定めています。成年後見人について定めた民法843条1項と同じ組み立てです。
保佐人と被保佐人との利益が相反する行為については、保佐監督人がある場合であっても、保佐人は臨時保佐人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法876条の2第3項本文は臨時保佐人の選任の請求を義務づけていますが、同項ただし書は「保佐監督人がある場合は、この限りでない」と定めています。すでに監督する立場の者がいる以上、重ねて臨時保佐人を立てる必要がないためです。