刑法第216条・堕胎の罪
刑法第216条:不同意堕胎致死傷
不同意堕胎罪を犯して女子を死傷させた場合の規定です。213条・214条が条文の中に致死傷を書き込んでいたのと、置き場所が異なります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
213条と214条は同じ条文の中に致死傷を書いてたのに、215条だけ別の条文なんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よい比べ方じゃ。刑の定め方が違うから、置き場所も変わる。213条・214条は具体的な数字を書けたが、216条は「傷害の罪と比較して」じゃからのう。
条文の内容
前条の罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
「前条の罪」
不同意堕胎不同意堕胎女子の嘱託を受けないで、またはその承諾を得ないで堕胎させること(刑法215条1項)。6月以上7年以下の拘禁刑で、同条2項により未遂も罰せられます。用語ページを見る →(刑法215条)が対象です。1項の既遂だけでなく、2項の未遂も条文上「前条の罪」に含まれます。
致死傷の定め方を比べる
| 条文 | 対象 | 致死傷の刑 |
|---|---|---|
| 213条後段 | 同意堕胎 | 3月以上5年以下の拘禁刑 |
| 214条後段 | 業務上堕胎業務上堕胎医師、助産師、薬剤師または医薬品販売業者が女子の嘱託を受け、またはその承諾を得て堕胎させること(刑法214条)。同意堕胎罪より重い3月以上5年以下の拘禁刑です。用語ページを見る → | 6月以上7年以下の拘禁刑 |
| 216条 | 不同意堕胎 | 傷害の罪と比較して、重い刑により処断 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
216条だけ、刑が数字で書いてない。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこじゃ。傷害罪(15年以下)や傷害致死罪(3年以上)と比べるのじゃから、結果として最も重くなりうる。同意のない堕胎で死傷が生じた場合を、条文は最も重く扱っておるのじゃな。
「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」
この言い回しが現れる条文は、これで6つめです。
| 条文 | 前提となる罪 |
|---|---|
| 刑法118条2項 | ガス漏出等 |
| 刑法124条2項 | 往来妨害 |
| 刑法145条 | 浄水汚染等 |
| 刑法196条 | 特別公務員職権濫用等 |
| 刑法216条 | 不同意堕胎 |
| 刑法219条 | 遺棄等 |
| 刑法221条 | 逮捕及び監禁 |
第二十九章を読み終えて
| 条文 | 主体 | 同意 | 刑 |
|---|---|---|---|
| 212条 | 妊娠中の女子自身 | — | 1年以下の拘禁刑 |
| 213条 | 他人 | あり | 2年以下/致死傷は3月以上5年以下 |
| 214条 | 医師等 | あり | 3月以上5年以下/致死傷は6月以上7年以下 |
| 215条 | 他人 | なし | 6月以上7年以下(未遂も処罰) |
| 216条 | 他人 | なし+死傷 | 傷害の罪と比較して重い刑 |
資格別の演習
不同意堕胎罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、傷害の罪と比較して重い刑により処断される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法216条の定めです。
刑法216条は、同意堕胎罪(213条)を犯して女子を死傷させた場合にも適用される。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。同条がいう「前条の罪」は215条であり、213条の致死傷は同条後段が定めています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
第二十九章はここまで。次の第三十章は、助けを必要とする人を置き去りにする罪じゃ。