刑法第229条・略取、誘拐及び人身売買の罪
刑法第229条:親告罪(略取、誘拐及び人身売買の罪)
第三十三章のうち、未成年者略取罪とその幇助目的の引渡し等だけを親告罪とします。章全体を親告罪とする232条とは対照的です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
135条は「この章の罪は」だったのに、229条はずいぶん細かく指定してる。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうじゃ。章のごく一部だけが親告罪じゃ。身の代金目的や人身売買は、告訴がなくとも起訴できる——そこに理由があるのう。
条文の内容
第二百二十四条の罪及び同条の罪を幇助する目的で犯した第二百二十七条第一項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
親告罪親告罪告訴がなければ公訴を提起することができない罪。刑法135条は、秘密を侵す罪(信書開封罪・秘密漏示罪)を親告罪としています。用語ページを見る →となる範囲
| 対象 | 親告罪 |
|---|---|
| 224条(未成年者略取及び誘拐) | ◯ |
| 224条の罪を幇助する目的で犯した227条1項の罪 | ◯ |
| 上記の未遂罪 | ◯ |
| 225条・225条の2・226条〜226条の3・226条の2 | — |
| 227条1項のうち、224条以外の罪を幇助する目的のもの | — |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
227条1項でも、助けた相手が224条の罪の場合だけなんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文が「同条の罪を幇助する目的で犯した第227条第1項の罪」と限っておるからのう。同じ227条1項でも、対象が分かれる——読み落としやすいところじゃ。
親告罪の条文を並べる
| 条文 | 対象 | 範囲 |
|---|---|---|
| 刑法135条 | 秘密を侵す罪 | 章全体 |
| 刑法209条2項 | 過失傷害罪 | 同条1項の罪 |
| 刑法229条 | 略取等の罪 | 224条とその幇助目的の227条1項のみ |
| 刑法232条 | 名誉に対する罪 | 章全体 |
| 刑法244条2項 | 窃盗等 | 一定の親族間 |
| 刑法264条 | 毀棄及び隠匿の罪 | 259条・261条・263条 |
なぜ224条だけなのか
親告罪親告罪告訴がなければ公訴を提起することができない罪。刑法135条は、秘密を侵す罪(信書開封罪・秘密漏示罪)を親告罪としています。用語ページを見る →とする理由は、訴追すること自体が本人や家族の不利益になりうる点にあります。未成年者の略取・誘拐は家庭内の事情がからむ場面があり、そこに配慮したと読めます。一方、身の代金目的略取等身の代金目的略取等近親者その他略取・誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させる目的で人を略取・誘拐すること(刑法225条の2第1項)。無期または3年以上の拘禁刑です。用語ページを見る →や人身売買人身売買刑法226条の2が定める罪。人を買い受ける行為(1項〜3項)、売り渡す行為(4項)、所在国外に移送する目的での売買(5項)を、相手の年齢や目的に応じて段階的に処罰します。用語ページを見る →は、告訴を待たずに訴追すべき類型として扱われています。
第三十三章を読み終えて
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 224条〜227条 | 略取・誘拐・人身売買の各類型 |
| 228条 | 未遂罪 |
| 228条の2 | 解放による刑の減軽解放による刑の減軽刑法225条の2または227条2項・4項の罪を犯した者が、公訴が提起される前に、略取・誘拐された者を安全な場所に解放したときは、その刑を減軽するという規定(刑法228条の2)。「減軽する」と言い切る必要的減軽です。用語ページを見る → |
| 228条の3 | 身の代金目的略取等予備 |
| 229条 | 親告罪 |
資格別の演習
未成年者略取罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法229条が224条の罪を親告罪としています。
身の代金目的略取罪(刑法225条の2第1項)は親告罪である。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。刑法229条が挙げるのは224条の罪等に限られ、225条の2は含まれていません。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
第三十三章はここまで。次の第三十四章は、人の評判を守る章じゃ。表現の自由との調整が正面から問われるぞ。