民法第119条・総則
民法第119条:無効な行為の追認
無効な行為は追認しても効力を生じません。ただし無効と知って追認したときは、新たな行為をしたものとみなされます。第四節「無効及び取消し」の入口です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
無効な契約でも、あとから「やっぱりこれでいい」と認めれば有効になるんじゃないの? 無権代理は追認で有効になったよね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが違うのじゃ。民法119条本文は「無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない」と言い切っておる。無効無効はじめから法律効果が生じないこと。取消しと違い、誰かが主張しなくても効力はありません。用語ページを見る →は、追認では生き返らぬ。
条文の内容
無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。
本文:追認によっても効力を生じない
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 無効な行為 |
| 効果 | 追認追認取り消すことができる行為を、あとから「これでよい」と認めて、もう取り消せないものとして確定させること(民法122条)。用語ページを見る →によっても、その効力を生じない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
無権代理の追認(民法116条)とは全然違うんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よう並べたのう。ここは対比が命じゃ。
無権代理無権代理代理権を有しない者が他人の代理人としてする行為のこと。本人が追認しなければ本人に効力を生じません(民法113条1項)。用語ページを見る →の場合、行為そのものは成立しておる。ただ効果が本人に帰属しておらぬだけでな。だから追認で帰属先を確定できる。
じゃが無効な行為には、そもそも効力が無い。無いものを認めても、無いままじゃ。
ただし書:新たな行為をしたものとみなす
ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 主観 | 当事者がその行為の無効であることを知って |
| 行為 | 追認をした |
| 効果 | 新たな行為をしたものとみなす |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「新たな行為」って、最初からやり直したことになるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文が言うておるのは「新たな行為をしたものとみなす」まででな。もとの行為がさかのぼって有効になるとは書いておらぬ。追認の時点で、新しく行為をしたという扱いじゃ。
民法116条の追認が「契約の時にさかのぼる」のと、まるで向きが違うじゃろう。
追認の3つの顔
民法には「追認」という語が何度も出てきますが、働き方が違います。
| 条文 | 対象 | 効果 |
|---|---|---|
| 民法119条ただし書 | 無効な行為 | 新たな行為をしたものとみなす(さかのぼらない) |
| 民法116条 | 無権代理行為 | 契約の時にさかのぼって効力を生ずる |
| 民法122条 | 取り消すことができる行為 | 以後、取り消すことができない |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
同じ「追認」でも、無効・無権代理・取消し可能という3つの状態それぞれに、違う効き方をしておる。まとめて覚えると必ず混ざるゆえ、どの状態の話かを先に確かめる癖をつけるのじゃぞ。
第四節「無効及び取消し」の見取り図
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法119条 | 無効な行為の追認 |
| 民法120条 | 取消権者 |
| 民法121条 | 取消しの効果(初めから無効であったものとみなす) |
| 民法121条の2 | 原状回復の義務 |
| 民法122条 | 取り消すことができる行為の追認 |
| 民法123条 | 取消し及び追認の方法 |
| 民法124条 | 追認の要件 |
| 民法125条 | 法定追認法定追認追認をすることができる時以後に、履行や履行の請求など民法125条が列挙する6つの事実があったときに、追認をしたものとみなされること。異議をとどめれば別です。用語ページを見る → |
| 民法126条 | 取消権の期間の制限 |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
119条だけが無効の話で、120条から126条までは取消しの話じゃ。節の名が「無効及び取消し」となっておるとおりでな。入口の一条だけが無効を扱っておる、と覚えるとよい。
資格別の演習
無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。
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解答:◯
正しい記述です。民法119条本文がそのとおり定めています。ただし書により、当事者が無効であることを知って追認したときは、新たな行為をしたものとみなされます。
当事者が行為の無効であることを知って追認をしたときは、その行為は初めから有効であったものとみなされる。
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解答:×
誤りです。民法119条ただし書は「新たな行為をしたものとみなす」と定めており、もとの行為がさかのぼって有効になるとはしていません。契約の時にさかのぼるのは、民法116条本文の無権代理行為の追認です。
無効であることを知らずに追認をした場合であっても、民法119条ただし書により、新たな行為をしたものとみなされる。
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解答:×
誤りです。民法119条ただし書は「当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたとき」を要件としています。無効であることを知らずにした追認には、同ただし書は適用されません。