民法第201条・物権
民法第201条:占有の訴えの提起期間
3つの占有の訴えには、それぞれ違う期間制限があります。工事の場合の特則も含め、条文の数字を正確に押さえる回です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
占有の訴えって3つあったよね。いつまでに起こせばいいの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法201条が、まとめて答えておる。3つとも違うからのう。ここは条文の数字を丁寧に拾うほかない。
1項:占有保持の訴え
占有保持の訴えは、妨害の存する間又はその消滅した後一年以内に提起しなければならない。ただし、工事により占有物に損害を生じた場合において、その工事に着手した時から一年を経過し、又はその工事が完成したときは、これを提起することができない。
| 内容 | |
|---|---|
| 原則 | 妨害の存する間、またはその消滅した後1年以内 |
| 工事の場合の特則 | ① 工事に着手した時から1年を経過 ② または工事が完成したとき → 提起できない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
工事だと、完成しちゃったらもう無理なんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文がそう書いておる。完成した建物を、占有の訴えで壊させるのは酷じゃからのう。「着手から1年」と「完成」のどちらか早いほうで締め切られる、という読み方になる。
2項:占有保全の訴え
占有保全の訴えは、妨害の危険の存する間は、提起することができる。この場合において、工事により占有物に損害を生ずるおそれがあるときは、前項ただし書の規定を準用する。
| 内容 | |
|---|---|
| 原則 | 妨害の危険の存する間 |
| 工事の場合 | 1項ただし書を準用 |
こちらには「〜以内」という期間の定めがありません。危険が続いているあいだは提起できます。
3項:占有回収の訴え
占有回収の訴えは、占有を奪われた時から一年以内に提起しなければならない。
起算点は「占有を奪われた時」です。侵奪を知った時ではありません。
まとめ
| 訴え | 条文 | 提起期間 |
|---|---|---|
| 占有保持の訴え占有保持の訴え占有を妨害されたときに、妨害の停止と損害の賠償を請求する訴え(民法198条)。妨害が続いている間か、消滅した後1年以内に提起します(民法201条1項)。用語ページを見る → | 民法201条1項 | 妨害の存する間/消滅後1年以内(工事の特則あり) |
| 占有保全の訴え占有保全の訴え占有を妨害されるおそれがあるときに、妨害の予防または損害賠償の担保を請求する訴え(民法199条)。まだ妨害が起きていない段階で使えます。用語ページを見る → | 民法201条2項 | 妨害の危険の存する間(期間の定めなし) |
| 占有回収の訴え占有回収の訴え占有を奪われたときに、物の返還と損害の賠償を請求する訴え(民法200条1項)。占有を奪われた時から1年以内に提起しなければなりません(民法201条3項)。用語ページを見る → | 民法201条3項 | 占有を奪われた時から1年以内 |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
時効の期間と違うて、こちらは短いのう。占有の訴えは事実状態をすばやく元に戻すための制度じゃ。長く放っておいた者まで守る必要はない、という判断が数字に表れておる。
資格別の演習
占有回収の訴えは、占有を奪われた時から1年以内に提起しなければならない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法201条3項がそのとおり定めています。
占有保全の訴えは、妨害の危険が生じた時から1年以内に提起しなければならない。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法201条2項は「妨害の危険の存する間は、提起することができる」と定めるにとどまり、「1年以内」という期間制限は置かれていません。
工事により占有物に損害を生じた場合において、その工事に着手した時から1年を経過し、又はその工事が完成したときは、占有保持の訴えを提起することができない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法201条1項ただし書がそのとおり定めています。占有保全の訴えについては、同条2項後段がこのただし書を準用しています。