民法第186条・物権

民法第186条:占有の態様等に関する推定

所有の意思・善意・平穏・公然は、占有していれば推定されます。取得時効を主張する側の負担を大きく軽くする条文と、2項の「継続の推定」を読みます。

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レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

時効取得の要件って「所有の意思」「平穏」「公然」……たくさんあったよね。全部を自分で証明するの? 20年前の気持ちなんて証明できないよ!

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そこを助けるのが民法186条じゃ。占有しておるだけで、まとめて推定推定すいてい一応そうであるものとして扱い、争う側に反対の証明を求めること。「みなす」と違い、反証があれば覆ります。用語ページを見る →してくれる。時効の話が現実に動くのは、この条文があるからじゃよ。

1項:態様の推定

占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。

推定される事項は4つです。

推定される事項 民法162条での位置づけ
所有の意思所有の意思しょゆうのいしその物を自分のものとして持つ意思のこと。民法162条の取得時効の要件であり、所有権以外の財産権については「自己のためにする意思」とされます(民法163条)。用語ページを見る →をもって(=自主占有自主占有じしゅせんゆう所有の意思をもってする占有のこと。取得時効(民法162条)の要件であり、民法186条1項によって所有の意思は推定されます。用語ページを見る → 1項・2項の要件
善意善意ぜんいある特定の事情や事実を『知らない』こと。道徳的な善悪とは関係ありません。用語ページを見る → 2項の要件
平穏に 1項・2項の要件
公然と 1項・2項の要件

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

じゃあ、時効取得を主張する人は何も証明しなくていいの?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そうはいかぬ。条文が推定しておるのは、この4つだけじゃ。過失過失かしつ注意すれば気づけたのに、不注意で気づかなかったこと。『善意無過失』は「知らず、かつ不注意もなかった」状態を指します。用語ページを見る →がなかったこと(無過失)は、推定の一覧に入っておらぬ。民法162条2項の10年の時効を主張するなら、そこは自分で示さねばならぬ。

それと、推定推定すいてい一応そうであるものとして扱い、争う側に反対の証明を求めること。「みなす」と違い、反証があれば覆ります。用語ページを見る →は「みなす」と違うて反証で覆る。次の判例が、まさにその場面じゃな。

推定が働かない場面

最判平成8年11月12日(民集第50巻10号2591頁)の裁判要旨一は、次のとおりです。

他主占有者の相続人が独自の占有に基づく取得時効の成立を主張する場合には、相続人において、その事実的支配が外形的客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解される事情を証明すべきである。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

参照法条には民法186条1項が挙がっておる。他主占有者の相続人が独自の占有に基づく取得時効を主張する場合という限定つきで、証明の負担が相続人の側に置かれておるのじゃ。

2項:継続の推定

前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

20年ぶんの毎日を証明しなくていいんだ!

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そこが2項のありがたみじゃ。始まりと終わりの2点さえ示せば、あいだは埋めてもらえる。20年間の日記を出せと言われては、誰も時効を主張できまい。

資格別の演習

宅建正誤問題AI生成類題

占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定される。

解答・解説を見る

解答:

正しい記述です。民法186条1項がそのとおり定めています。

行政書士正誤問題AI生成類題

民法186条1項により、占有者は無過失であることも推定される。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。同項が推定するのは「所有の意思」「善意」「平穏」「公然」の4つで、無過失は含まれていません。民法162条2項の10年の取得時効を主張する者は、占有開始時に過失がなかったことを別に示す必要があります。

司法書士正誤問題AI生成類題

前後の両時点において占有をした証拠があるときは、その間占有が継続したものと推定される。

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解答:

正しい記述です。民法186条2項がそのとおり定めています。占有の全期間を逐一立証する必要はありません。

司法試験正誤問題AI生成類題

民法186条1項の推定は「みなす」規定であり、反証によって覆すことはできない。

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解答:×

誤りです。条文は「推定する」と定めています。推定は反証により覆り得る点で、「みなす」と区別されます。

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