刑法第21条・総則
刑法第21条:未決勾留日数の本刑算入
判決前に身柄を拘束されていた日数を、言い渡した刑に組み入れることができる規定です。「できる」と書かれた裁量的な算入である点を確認します。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
判決が出るまで何か月も身柄を拘束されていた人は、そのぶん損しちゃうの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこを埋めるのが第21条じゃ。判決前に拘束されていた日数を、言い渡した刑の中に組み入れることができる。たった一文の短い条文じゃがな。
条文の内容
刑法21条は次のとおりです。
未決勾留の日数は、その全部又は一部を本刑に算入することができる。
要素は3つです。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 未決勾留未決勾留裁判が確定する前に、被疑者・被告人の身柄を拘束しておくこと。刑法21条により、その日数は全部または一部を本刑に算入することができます。用語ページを見る →の日数 |
| 範囲 | その全部または一部 |
| 効果 | 本刑に算入することができる |
「できる」と書かれていること
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
拘束されていたぶん、全部差し引いてもらえるんじゃないの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文は「算入することができる」じゃ。全部か、一部か、それとも算入しないか——裁判所の判断にゆだねられておる。第5条ただし書の「減軽し、又は免除する」と読み比べてみるとよい。「する」と「できる」の違いが効いてくるのじゃよ。
| 条文 | 文末 | 性質 |
|---|---|---|
| 5条ただし書 | 減軽し、又は免除する | 必要的 |
| 21条 | 算入することができる | 裁量的 |
| 19条1項 | 没収することができる | 裁量的 |
刑期の計算とのつながり
刑法23条1項は刑期刑期拘禁刑や拘留の執行が続く期間のこと。刑法23条により裁判が確定した日から起算し、拘禁されていない日数は算入されません。用語ページを見る →を「裁判が確定した日から起算する」と定めています。つまり判決前の拘束は、そのままでは刑期に入りません。第21条は、この原則に対して裁判所が調整をかけるための道具というわけです。
なお、刑法16条の拘留拘留刑法16条が定める、1日以上30日未満の期間、刑事施設に拘置する刑。刑事訴訟法上の身柄拘束である「勾留」とは別のものです。用語ページを見る →(刑罰)と、判決前の身柄拘束である「勾留」は別の制度です。漢字の違いに注意してください。
資格別の演習
未決勾留の日数は、その一部のみを本刑に算入することもできる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法21条は「その全部又は一部を本刑に算入することができる」と定めており、全部・一部のいずれも可能です。
未決勾留の日数は、その全部を本刑に算入しなければならない。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。刑法21条は「算入することができる」と定める裁量的な規定であり、必ず全部を算入しなければならないわけではありません。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
「できる」か「しなければならない」か。刑法を読むときは、いつも文末を確かめる癖をつけるとよいぞ。