民法第324条・物権
民法第324条:工業労務の先取特権
最後の3か月間の賃金について、その労務によって生じた製作物から優先弁済を受けられます。動産の先取特権の最後の条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
工場で働いた人の賃金は? 農業と同じ1年?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
いや、3か月じゃ。民法324条をよう見よ。期間も目的物も、民法323条と違う。
条文の内容
工業の労務の先取特権は、その労務に従事する者の最後の三箇月間の賃金に関し、その労務によって生じた製作物について存在する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 被担保債権 | その労務に従事する者の最後の3か月間の賃金 |
| 目的物 | その労務によって生じた製作物 |
民法323条との対照
| 農業の労務(民法323条) | 工業の労務(民法324条) | |
|---|---|---|
| 期間 | 最後の1年間 | 最後の3か月間 |
| 目的物 | その労務によって生じた**果実果実物から生じる収益のこと。作物などの天然果実と、賃料などの法定果実があります(民法88条)。善意の占有者はこれを取得できます(民法189条1項)。用語ページを見る →** | その労務によって生じた製作物 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
農業は1年で果実、工業は3か月で製作物。ぜんぶ違う!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文は理由を書いておらぬ。じゃが、工業は日々ものを作り出す営みじゃからのう。収穫を1年待つ農業とは、時間の刻みが違う。その営みの周期に合わせたと読めような。
目的物も同じ理屈じゃ。田畑からは果実が、工場からは製作物が生まれる。それぞれの労務が生み出したものを、目的物に据えておる。
果実の順位には登場しない
民法330条3項は果実についての順位を定めますが、そこに現れるのは農業の労務・種苗肥料の供給者・土地の賃貸人の3者です。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
工業の労務は入っておらぬ。目的物が製作物であって果実ではないからじゃな。条文の目的物の違いが、順位の条文にまで響いておる。
動産の先取特権を締めくくる
| 号(民法311条) | 原因 | 中身 |
|---|---|---|
| 一 | 不動産の賃貸借 | 民法312条〜316条 |
| 二 | 旅館の宿泊 | 民法317条 |
| 三 | 旅客又は荷物の運輸 | 民法318条 |
| 四 | 動産の保存 | 民法320条 |
| 五 | 動産の売買 | 民法321条 |
| 六 | 種苗又は肥料の供給 | 民法322条 |
| 七 | 農業の労務 | 民法323条 |
| 八 | 工業の労務 | 民法324条 |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
第二款はここまでじゃ。次の民法325条からは第三款「不動産の先取特権」——今度は不動産不動産土地及びその定着物のこと(民法86条1項)。価値の高低ではなく、土地に定着しているかどうかで動産と区別されます。用語ページを見る →が目的物になるぞ。
資格別の演習
工業の労務の先取特権は、その労務に従事する者の最後の3か月間の賃金に関し、その労務によって生じた製作物について存在する。
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解答:◯
正しい記述です。民法324条がそのとおり定めています。
工業の労務の先取特権の目的物は、その労務によって生じた果実である。
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解答:×
誤りです。民法324条の目的物は「その労務によって生じた製作物」です。果実を目的物とするのは、農業の労務の先取特権(民法323条)です。
民法330条3項が定める果実についての順位には、工業の労務に従事する者は含まれていない。
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解答:◯
正しい記述です。同項が挙げるのは、農業の労務に従事する者、種苗又は肥料の供給者、土地の賃貸人の3者です。