民法第255条・物権
民法第255条:持分の放棄及び共有者の死亡
持分を放棄した人、相続人なく亡くなった人の持分は、他の共有者に帰属します。ただし特別縁故者への財産分与が先——判例が順序を示しました。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
共有者の一人が「もう要らない」と持分持分共有者が共有物に対して有する権利の割合のこと。各共有者の持分は相等しいものと推定されます(民法250条)。用語ページを見る →を放棄したら、その分はどうなるの? 国のもの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
いや、民法255条は他の共有者に帰属するとしておる。民法239条2項の「国庫に帰属する」とは別の道じゃな。
条文の内容
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
| 場合 | 条文の言葉 |
|---|---|
| ① | 共有者の一人が、その持分を放棄したとき |
| ② | 死亡して相続人がないとき |
| 効果 | その持分は、他の共有者に帰属する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
持ち主がいなくなった持分は、残った人たちで引き受けるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
共有共有一つの物を複数人で所有すること。各共有者は共有物の全部について、その持分に応じた使用ができます(民法249条1項)。用語ページを見る →は、いわば一つの物を分け合う関係じゃ。誰かが抜ければ、残る者の取り分が増える——素直な帰結じゃな。
じゃが②については、判例が大事な順序を示しておるぞ。
判例:特別縁故者が先
最判平成元年11月24日(民集第43巻10号1220頁)
判示事項は「共有者の一人が相続人なくして死亡したときとその持分の帰すう」です。裁判要旨は次のとおりです。
共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その持分は、民法九五八条の三に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされないときに、同法二五五条により他の共有者に帰属する。 (反対意見がある。)
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
すぐに他の共有者へ行くんじゃないんだ! まず特別縁故者。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨が示す順序はこうじゃ。
- 相続人の不存在が確定し、相続債権者・受遺者への清算手続が終了する
- 特別縁故者に対する財産分与の対象となる
- その財産分与がされないときに、民法255条により他の共有者に帰属する
条文だけを読むと、②の場合はまっすぐ他の共有者へ行くように見える。じゃが判例は、そこに一段はさんだのじゃ。反対意見があるとも記されておるとおり、争いのあった論点じゃな。
最判昭和44年3月27日(民集第23巻3号619頁)
判示事項は「共有持分権の放棄と登記方法」です。裁判要旨は次のとおりです。
共有登記のなされている不動産につき、共有者の一人が持分権を放棄した場合には、他の共有者は、放棄にかかる持分権の移転登記手続を求めるべきであつて、放棄者の持分権取得登記の抹消登記手続を求めることは許されない。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
登記登記不動産の権利関係を法務局の登記簿に記録して公示する制度。不動産の物権変動は、登記をしないと第三者に主張できません。用語ページを見る →の手続まで踏み込んだ判例じゃ。抹消ではなく移転——放棄によって持分が「消える」のではなく「移る」と捉えておることが、登記の形に表れておるのう。
資格別の演習
共有者の一人がその持分を放棄したときは、その持分は他の共有者に帰属する。
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解答:◯
正しい記述です。民法255条がそのとおり定めています。
判例によれば、共有者の一人が相続人なくして死亡したときは、その持分は直ちに民法255条により他の共有者に帰属する。
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解答:×
誤りです。最判平成元年11月24日(民集第43巻10号1220頁)の裁判要旨は、まず民法958条の3に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、その財産分与がされないときに民法255条により他の共有者に帰属する、としています。
判例によれば、共有者の一人が持分権を放棄した場合、他の共有者は放棄者の持分権取得登記の抹消登記手続を求めるべきである。
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解答:×
誤りです。最判昭和44年3月27日(民集第23巻3号619頁)の裁判要旨は、放棄にかかる持分権の「移転登記手続」を求めるべきであり、抹消登記手続を求めることは許されないとしています。