民法第398条の3・物権
民法第398条の3:根抵当権の被担保債権の範囲
確定した元本・利息・損害賠償の全部を、極度額を限度として担保します。2年分の制限はありません。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
普通の抵当権抵当権目的物の占有を移さずに設定できる担保物権(民法369条以下)。先取特権の効力については、その性質に反しない限り抵当権の規定が準用されます(民法341条)。用語ページを見る →は利息が「最後の2年分」だったよね(民法375条)。根抵当権根抵当権一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保する抵当権(民法398条の2)。継続的な取引から生じる債権をまとめて担保できます。用語ページを見る →もそうなの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが違うのじゃ。民法398条の3第1項をよう読め。全部について、極度額極度額根抵当権が担保する限度額のこと。根抵当権者は、確定した元本・利息・損害賠償の全部について、この額を限度に権利を行使できます(民法398条の3第1項)。用語ページを見る →を限度として——2年分という言葉は出てこぬぞ。
1項:極度額を限度に全部
根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
| 対象 | 条文の言葉 |
|---|---|
| ① | 確定した元本 |
| ② | 利息その他の定期金 |
| ③ | 債務の不履行によって生じた損害の賠償 |
| 範囲 | その全部について、極度額を限度として |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「全部」! 何年分でもいいんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおりじゃ。極度額という別のものさしがあるからのう。
民法375条が2年分に切ったのは、登記から見えぬ額が膨れるのを防ぐためじゃった。根抵当権では極度額が登記に現れ、そこが上限になる。後順位者はその額を見れば残る担保価値が分かる。制限の道具が違うのじゃな。
民法375条との対比
| 普通抵当権(民法375条) | 根抵当権(民法398条の3第1項) | |
|---|---|---|
| 利息等 | 最後の2年分のみ | 全部(極度額を限度) |
| 上限の決め方 | 期間で切る | 極度額で切る |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
どちらも上限はある。切り方が「期間」か「金額」かの違いじゃ。ここは並べて覚えるとよいぞ。
2項:手形・小切手・電子記録債権の例外
債務者との取引によらないで取得する手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権を根抵当権の担保すべき債権とした場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取得したものについてのみ、その根抵当権を行使することができる。ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては、これを行使することを妨げない。
| # | 事由 |
|---|---|
| 一 | 債務者の支払の停止 |
| 二 | 債務者についての破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立て |
| 三 | 抵当不動産に対する競売の申立て又は滞納処分による差押え |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
この3つが起きたら、それ以降に取得したものは担保されないんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
原則はそうじゃ。債務者が危うくなってから手形を買い集める——そんな振る舞いを封じておる。
ただし書も忘れるな。その事由を知らないで取得したものは、なお行使できる。知らぬ者まで巻き込まぬ——民法らしい配慮じゃな。
「確定した元本」という言葉
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
1項は「確定した元本」と書いておる。元本の確定元本の確定根抵当権が担保する元本債権が特定されること。確定前は債権の範囲や債務者を変更できますが、確定後はできなくなります(民法398条の4・398条の19以下)。用語ページを見る →を前提とした条文じゃな。
確定前と確定後で、根抵当権はまるで振る舞いが変わる。民法398条の4以下は、その多くが「元本の確定前においては」という言葉で始まっておるぞ。
資格別の演習
根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法398条の3第1項がそのとおり定めています。
根抵当権者は、利息その他の定期金については、普通抵当権と同様に満期となった最後の2年分についてのみ根抵当権を行使することができる。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法398条の3第1項は「全部について、極度額を限度として」行使できるとしており、民法375条のような2年分の制限はありません。
債務者との取引によらないで取得する手形上の請求権を根抵当権の担保すべき債権とした場合において、債務者の支払の停止があった後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては根抵当権を行使することができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法398条の3第2項ただし書がそのとおり定めています。