刑法第254条・横領の罪
刑法第254条:遺失物等横領
占有を離れた他人の物を横領する罪です。1年以下の拘禁刑等と、横領の罪のなかで最も軽い類型になっています。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
落とし物を持ち帰る、っていう場面かな。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文は「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物」と書いておる。誰の手にもない物が客体じゃ。だから窃盗にも横領にもならぬ場面を、この条文が受け止めておる。
条文の内容
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
要件を分解する
| 要件 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 客体 | 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物 |
| 行為 | 横領した |
| 刑 | 1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料科料刑法17条が定める、千円以上1万円未満の財産刑。行政上の制裁である「過料」とは別のもので、区別のため「とがりょう」と読み分けることがあります。用語ページを見る → |
条文は「遺失物、漂流物」を例示し、「その他占有を離れた他人の物」で受け皿を広げています。
235条・252条との違い
| 条文 | 占有の所在 | 刑 |
|---|---|---|
| 235条(窃盗窃盗他人の財物を窃取すること(刑法235条)。10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金で、243条により未遂も罰せられます。用語ページを見る →) | 他人が占有 | 10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 252条(横領横領自己の占有する他人の物を横領すること(刑法252条1項)。5年以下の拘禁刑で、同条2項は公務所から保管を命ぜられた自己の物を横領した場合を定めます。用語ページを見る →) | 自己が占有 | 5年以下の拘禁刑 |
| 254条(遺失物等横領遺失物等横領遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領すること(刑法254条)。1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料で、横領の罪のなかで最も軽い類型です。用語ページを見る →) | 誰も占有していない | 1年以下の拘禁刑等 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
占有が誰にあるかで、3つに分かれるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
みごとな整理じゃ。財産犯を読む鍵は占有にある——235条・252条・254条を並べれば、その骨組みが見えてくる。
第三十八章の3か条
| 条文 | 客体 | 刑 |
|---|---|---|
| 252条 | 自己の占有する他人の物 | 5年以下の拘禁刑 |
| 253条 | 業務上自己の占有する他人の物 | 10年以下の拘禁刑 |
| 254条 | 占有を離れた他人の物 | 1年以下の拘禁刑等 |
準用
第255条により、244条(親族間の犯罪に関する特例親族間の犯罪に関する特例配偶者、直系血族または同居の親族との間で窃盗罪等を犯した者は、その刑を免除するという規定(刑法244条1項)。いわゆる親族相盗例で、最高裁は内縁の配偶者には適用も類推適用もされないとしました。用語ページを見る →)が準用されます。254条も「この章の罪」に含まれます。
資格別の演習
遺失物等横領罪の法定刑には、科料が含まれる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法254条は「1年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金若しくは科料」と定めています。
刑法255条により準用される刑法244条は、遺失物等横領罪にも適用される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。255条は「この章の罪」について244条を準用しており、254条も含まれます。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
章の締めくくりは255条。251条と比べるのを忘れるでないぞ。