民法第264条の9・物権
民法第264条の9:管理不全土地管理命令
所有者は分かっているのに、管理がひどくて隣に迷惑がかかっている。そんな土地にも管理人を置けます。第五節の入口です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
隣の土地、持ち主は分かってるの。でも何年も放置されていて、崖が崩れそう……。持ち主が分かっていたら、管理人は置けないの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
置けるとも。ここから第五節じゃ。民法264条の9、管理不全土地管理命令管理不全土地管理命令所有者による土地の管理が不適当なために他人の権利等が侵害され、又はそのおそれがある場合に、裁判所が管理人による管理を命ずる処分(民法264条の9第1項)。所有者は分かっている点で所有者不明土地管理命令と異なります。用語ページを見る →。第四節と何が違うか、そこを掴むのが要じゃぞ。
1項:管理不全土地管理命令
裁判所は、所有者による土地の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該土地を対象として、管理不全土地管理人(第三項に規定する管理不全土地管理人をいう。以下同じ。)による管理を命ずる処分(以下「管理不全土地管理命令」という。)をすることができる。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 前提 | 所有者による土地の管理が不適当であること |
| 結果 | 他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある |
| 要件 | 必要があると認めるとき |
| 誰の請求 | **利害関係人利害関係人その処分がされるかどうかによって、自分の法律上の立場が左右される人。民法25条や30条で、家庭裁判所へ請求できる者として挙げられています。用語ページを見る →**の請求 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「侵害されるおそれ」でもいいんだ。実際に被害が出る前に動ける。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法199条の占有保全の訴え占有保全の訴え占有を妨害されるおそれがあるときに、妨害の予防または損害賠償の担保を請求する訴え(民法199条)。まだ妨害が起きていない段階で使えます。用語ページを見る →や216条の予防工事と同じでな。取り返しのつかぬことになる前に手を打つという民法の構えじゃ。
第四節との違い
| 第四節(民法264条の2〜264条の8) | 第五節(民法264条の9〜264条の14) | |
|---|---|---|
| 所有者 | 知ることができない/所在不明 | 分かっている |
| 問題 | 誰も管理できない | 管理が不適当 |
| 対象 | 土地・共有持分/建物 | 当該土地/建物 |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
ここが二つの節の分かれ目じゃ。第四節は持ち主がつかまらぬ土地、第五節は持ち主はいるが放っておる土地。同じ管理人でも、生まれた理由が違うのじゃな。
そしてこの違いは、権限の中身にも表れておる。民法264条の10第3項が、処分には所有者の同意を求めておるのがそれじゃ。所有者がおる以上、勝手に売ることはできぬ。
2項:動産にも及ぶ
管理不全土地管理命令の効力は、当該管理不全土地管理命令の対象とされた土地にある動産(当該管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)に及ぶ。
3項:管理人の選任
裁判所は、管理不全土地管理命令をする場合には、当該管理不全土地管理命令において、管理不全土地管理人を選任しなければならない。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法264条の2では管理人の選任が4項じゃったが、こちらは3項じゃ。条文の項数まで丁寧に見るとよい。第五節は、共有持分を対象とする定めが無いぶん、一項少ないのじゃな。
資格別の演習
裁判所は、所有者による土地の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、管理不全土地管理命令をすることができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法264条の9第1項がそのとおり定めています。
管理不全土地管理命令は、土地の所有者を知ることができない場合に限って発することができる。
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解答:×
誤りです。所有者を知ることができない場合を扱うのは民法264条の2の所有者不明土地管理命令です。民法264条の9は、所有者による管理が不適当である場合を対象としています。
管理不全土地管理命令は、他人の権利又は法律上保護される利益が侵害されるおそれがある場合にも発することができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法264条の9第1項は「侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において」としています。