刑法第244条・窃盗及び強盗の罪
刑法第244条:親族間の犯罪に関する特例
いわゆる親族相盗例です。配偶者等との間では刑を免除し、その他の親族との間は親告罪とします。内縁の配偶者について判断した最高裁決定があります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
家族の間なら刑が免除されるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
1項はな。ただし免除されるのは刑であって、犯罪は成立しておる。105条で確かめたとおりじゃ。しかも3項に大事な但し書きのような定めがあるぞ。
条文の内容
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1項 | 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪またはこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する |
| 2項 | 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない |
| 3項 | 前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない |
3段階の扱い
| 関係 | 効果 |
|---|---|
| 配偶者・直系血族・同居の親族 | 刑を免除する(必要的) |
| それ以外の親族 | 親告罪 |
| 親族でない共犯 | 適用しない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
3項があるから、共犯者まで得をすることはないんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおり。この特例は身分にひもづく——だから身分のない者には及ばぬ。257条2項(盗品等に関する罪)にも同じ定めがあるぞ。
判例——内縁の配偶者
最判平成18年8月30日は、刑法244条1項は、内縁の配偶者に適用又は類推適用されないとしました。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
類推適用もダメなんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
裁判要旨がこの一文じゃ。言い切っておる。罪刑法定主義罪刑法定主義どんな行為が犯罪となり、どんな刑が科されるかは、あらかじめ法律で定められていなければならないという原則。「法律なければ刑罰なし」と表現されます。用語ページを見る →のもとでは、条文の言葉を超えて処罰を免れさせることにも慎重であるべき——そう読めるのう。
対象となる罪
| 条文 | 罪 |
|---|---|
| 235条 | 窃盗窃盗他人の財物を窃取すること(刑法235条)。10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金で、243条により未遂も罰せられます。用語ページを見る → |
| 235条の2 | 不動産侵奪不動産侵奪他人の不動産を侵奪すること(刑法235条の2)。10年以下の拘禁刑で、窃盗罪と違って罰金は選択刑に含まれていません。用語ページを見る → |
| これらの未遂罪 | 243条により処罰されるもの |
強盗(236条以下)は含まれません。
準用の広がり
| 条文 | 準用される先 |
|---|---|
| 刑法251条 | 244条を詐欺及び恐喝の罪に準用 |
| 刑法255条 | 244条を横領の罪に準用 |
親族間の犯罪に関する特例親族間の犯罪に関する特例配偶者、直系血族または同居の親族との間で窃盗罪等を犯した者は、その刑を免除するという規定(刑法244条1項)。いわゆる親族相盗例で、最高裁は内縁の配偶者には適用も類推適用もされないとしました。用語ページを見る →は、第三十六章にとどまらず、財産犯全体に広がる仕組みです。なお、盗品等に関する罪には257条という別の特例が置かれています。
「親族」の範囲
刑法は定義を置いておらず、民法725条による6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族が範囲です。
資格別の演習
同居の親族との間で窃盗罪を犯した者は、その刑を免除される。
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解答:◯
正しい記述です。刑法244条1項の定めです。犯罪の成立自体は否定されません。
親族でない共犯については、刑法244条1項・2項の規定は適用されない。
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解答:◯
正しい記述です。同条3項が明文で定めています。
刑法244条1項は、内縁の配偶者にも類推適用される。
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解答:×
誤りです。最判平成18年8月30日は、適用も類推適用もされないとしました。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
章の締めくくりは245条。たった一文じゃが、財産犯全体に効く条文じゃ。