刑法第119条・出水及び水利に関する罪
刑法第119条:現住建造物等浸害
出水させて現住建造物等を浸害する罪です。放火罪の108条と対をなしますが、客体と法定刑に微妙な違いがあります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
火の章と、そっくりな並びだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおり。じゃがそっくりだからこそ、違うところが問われる。119条と108条を並べて、違いを2つ見つけてみよ。
条文の内容
出水させて、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車又は鉱坑を浸害した者は、死刑又は無期若しくは三年以上の拘禁刑に処する。
108条との対比
| 項目 | 刑法108条(現住建造物等放火) | 刑法119条(現住建造物等浸害) |
|---|---|---|
| 行為 | 放火して | 出水出水水をあふれ出させること。刑法第2編第10章「出水及び水利に関する罪」の中心となる行為で、119条・120条が浸害の結果と結びつけて処罰します。用語ページを見る →させて |
| 結果 | 焼損した | 浸害浸害出水によって目的物を水につけ、害すること。刑法119条は現住建造物等の浸害を、120条はそれ以外の物の浸害を定めます。放火罪の「焼損」に対応する結果です。用語ページを見る →した |
| 客体 | 建造物・汽車・電車・艦船・鉱坑 | 建造物・汽車・電車・鉱坑 |
| 刑 | 死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑 | 死刑または無期もしくは3年以上の拘禁刑 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
艦船がない! それに、下限が5年じゃなくて3年だ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よく見つけたな。水につかっても船は沈みにくい——そう考えれば、艦船が落ちているのも腑に落ちるじゃろう。有期拘禁刑の下限も2年違う。細部が違うのが、この2か条じゃ。
要件を分解する
| 要件 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 行為 | 出水させて |
| 客体 | 現に人が住居に使用し、または現に人がいる建造物・汽車・電車・鉱坑 |
| 結果 | 浸害した |
客体が「現住または現在」の二択である点は、108条とまったく同じ書き方です。
資格別の演習
刑法119条の客体には、現に人がいる艦船も含まれる。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。119条が挙げるのは建造物・汽車・電車・鉱坑の4つで、艦船は含まれていません。艦船を挙げるのは放火の108条・109条です。
刑法119条の有期拘禁刑の下限は3年であり、刑法108条の下限(5年)より低い。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。119条は「死刑又は無期若しくは3年以上の拘禁刑」と定めています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
次の120条は、それ以外の物を浸害した場合じゃ。放火の109条・110条にあたる部分が、1か条にまとまっておるぞ。