民法第200条・物権

民法第200条:占有回収の訴え

占有を奪われたら、返還と損害賠償を請求できます。ただし、奪った者から買った人には原則として請求できません——2項の「特定承継人」がポイントです。

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レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

留守のあいだに、勝手に鍵を替えられて家に入れなくなっちゃった! 力ずくで取り返しに行っていい?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

いかん。それを止めるためにあるのが民法200条じゃ。奪われたら奪い返すのではなく、訴えるのじゃよ。

1項:返還と損害賠償

占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。

要素 条文の言葉
場面 占有を奪われたとき
請求できること ① その物の返還
② 損害の賠償

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

「奪われた」って書いてある。うっかり落としたときは?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

条文の言葉は「奪われた」じゃ。自ら手放した場合や、置き忘れた場合までは読み込めぬのう。条文の書き出しに忠実であることが、3つの訴えを見分けるコツじゃ。

2項:特定承継人には原則として請求できない

占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。

内容
原則 侵奪した者の特定承継人特定承継人とくていしょうけいにん売買や贈与のように、個々の権利を個別に受け継いだ人のこと。占有回収の訴えは、原則としてこの特定承継人に対しては提起できません(民法200条2項)。用語ページを見る →に対しては提起できない
ただし書 その承継人が侵奪の事実を知っていたとき(=悪意悪意あくいある特定の事情や事実を『知っている』こと。いじわるな心という意味ではありません。用語ページを見る →)は提起できる

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

奪った人から買った人が善意なら、もう取り返せないんだ……。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

占有の訴えとしてはな。じゃが忘れてはならぬ。本権の訴え本権の訴えほんけんのうったえ所有権などの本権を根拠として物の返還等を求める訴え。占有の訴えとは互いに妨げず、占有の訴えについて本権に関する理由で裁判することはできません(民法202条)。用語ページを見る →は別じゃ(民法202条1項)。所有者であるなら、所有権に基づく返還請求という道が残っておる。占有の訴えで負けたからといって、すべてが終わるわけではないのじゃよ。

提起できる期間

民法201条3項は「占有回収の訴えは、占有を奪われた時から一年以内に提起しなければならない」と定めます。起算点は占有を奪われた時です。

判例:「所持」を誰のためにしていたか

最判平成12年1月31日(集民第196号427頁)

判示事項は「宗教法人の代表者(住職)として寺院の土地建物の所持を開始した後に僧籍はく奪の処分を受けた者が右土地建物の所持を奪った右法人に対して占有回収の訴えによりその返還を求めることができるとされた事例」です。

裁判要旨は、擯斥処分を受けた後も処分の効力を争いつつ土地建物の管理を続け、建物撤去についての話合いの際にも撤去後の土地の占有継続を主張していたなど判示の事実関係のもとでは、個人のためにも右土地建物を所持していたものと認めるべき特別の事情があるといえ、占有回収の訴えによりその返還を求めることができる、としています。

最判平成10年3月10日(集民第187号269頁)

同じ枠組みで、寺院建物について「個人のためにも右建物を所持していたものと認めるべき特別の事情がある」とされた事例です。

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

法人の代表者として持っていたのか、自分のためにも持っていたのか……。そこが分かれ目なんだ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そのとおり。民法180条の「自己のためにする意思をもって物を所持所持しょじ物を事実上支配している状態のこと。占有権は、自己のためにする意思をもってこの所持をすることで取得されます(民法180条)。用語ページを見る →する」に戻る話じゃな。どちらの要旨も「特別の事情」を挙げたうえで結論を出しておる。事実関係を抜きに一般化してはならぬぞ。

資格別の演習

行政書士正誤問題AI生成類題

占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。

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解答:

正しい記述です。民法200条1項がそのとおり定めています。

司法書士正誤問題AI生成類題

占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対しても、常に提起することができる。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。民法200条2項は原則として提起できないとし、「その承継人が侵奪の事実を知っていたとき」を例外としています。

司法試験正誤問題AI生成類題

占有回収の訴えは、占有を奪われた時から1年以内に提起しなければならない。

解答・解説を見る

解答:

正しい記述です。民法201条3項がそのとおり定めています。起算点は判決時や侵奪を知った時ではなく、占有を奪われた時です。

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