民法第265条・物権
民法第265条:地上権の内容
他人の土地に建物や木を持つために使う権利。同じ「土地を借りる」でも、物権である地上権は債権の賃借権と性質が違います。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
ここから第四章「地上権」だね。他人の土地に家を建てる権利ってこと?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
近い。民法265条をよう読むのじゃ。**建物ではなく「工作物又は竹木」**と書かれておるぞ。
条文の内容
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 誰が | 地上権者 |
| どこで | 他人の土地において |
| 何のため | 工作物工作物人が土地に手を加えて設けた物のこと。建物・橋・トンネルなどを指し、地上権の目的(民法265条)や相隣関係の条文にたびたび登場します。用語ページを見る →又は竹木竹木竹や樹木のこと。隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは切除させることができ、根が越えるときは自分で切り取れます(民法233条)。用語ページを見る →を所有するため |
| 内容 | その土地を使用する権利 |
地上権地上権他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する物権(民法265条)。同じ「借りて使う」でも、債権である賃借権とは性質が異なります。用語ページを見る →は物権物権物を直接に支配する権利のこと。特定の人に対して請求する債権と違い、誰に対しても主張できるのが特徴です。民法第二編が定めます。用語ページを見る →です。民法175条で見たとおり、法律が定めた種類の一つとして第四章に置かれています。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「工作物」は建物だけじゃないんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
橋も、トンネルも、鉄塔も入りうる。そして竹木竹木竹や樹木のこと。隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは切除させることができ、根が越えるときは自分で切り取れます(民法233条)。用語ページを見る →——木や竹を植えるためにも設定できる。条文の言葉が広いぶん、地上権の使い道も広いのじゃな。
なお条文は「所有するため」と書いておる。使うためではない。工作物や竹木を自分のものとして持つ、というのが地上権の目的じゃ。
賃借権との違い
| 地上権(民法265条) | 賃借権(民法601条) | |
|---|---|---|
| 性質 | 物権 | 債権 |
| 主張できる相手 | 誰に対しても | 契約の相手方(賃貸人) |
| 対抗要件 | 登記登記不動産の権利関係を法務局の登記簿に記録して公示する制度。不動産の物権変動は、登記をしないと第三者に主張できません。用語ページを見る →(民法177条) | 民法605条など |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
同じ「他人の土地を使う」でも、根拠が物権か債権かで力がまるで違う。民法175条の記事で触れたとおりじゃ。地上権のほうが強いぶん、土地の所有者は設定を渋る——それが現実じゃがな。
判例:地上権の設定は簡単には認められない
最判昭和47年7月18日(集民第106号475頁)
判示事項の二は「夫婦間の土地利用関係が地上権の設定とは認められないとされた事例」です。裁判要旨の二は次のとおりです。
夫がその所有の土地を無償で使用することを妻に対して許諾し、妻がその地上に建築した建物に、夫婦で同居しているなど判示の事情がある場合でも、他に特段の事情がないときは、右土地の利用関係をもつて、建物所有を目的とする地上権が設定されたものと認めることはできない。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
土地を無償で使わせて、建物まで建てさせているのに?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨は「他に特段の事情がないときは」と断りを置いたうえで、地上権の設定とは認められぬとしておる。参照法条に民法593条(使用貸借)が挙がっておるのも手がかりじゃな。
土地を使わせている事実だけからは、物権である地上権の設定までは読み取れぬ——そう受け止めておくとよい。
第四章「地上権」の5か条
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法265条 | 地上権の内容 |
| 民法266条 | 地代 |
| 民法267条 | 相隣関係の規定の準用 |
| 民法268条 | 存続期間 |
| 民法269条 | 工作物等の収去等 |
| 民法269条の2 | 地下又は空間を目的とする地上権 |
資格別の演習
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
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解答:◯
正しい記述です。民法265条がそのとおり定めています。
地上権は、他人の土地において建物を所有する場合にのみ設定することができる。
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解答:×
誤りです。民法265条は「工作物又は竹木を所有するため」としており、建物に限られません。竹木を所有するためにも設定できます。
判例によれば、夫が自己所有の土地を無償で妻に使用させ、妻がその地上に建物を建築して夫婦で同居している場合でも、他に特段の事情がないときは、建物所有を目的とする地上権が設定されたものと認めることはできない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。最判昭和47年7月18日(集民第106号475頁)の裁判要旨二がそのとおり述べています。