刑法第199条・殺人の罪
刑法第199条:殺人
人を殺した者を死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑に処します。条文はわずか一文ですが、刑法各論の中心に位置する条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「人を殺した者は」——たった一文だ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そう。説明を要さぬからじゃな。じゃがこの短さの周りに、予備・未遂・同意殺人という条文が置かれ、章を作っておる。199条は、その中心じゃ。
条文の内容
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
要件を分解する
| 要件 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 行為 | 人を殺した |
| 刑 | 死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑 |
刑の幅
殺人殺人人を殺すこと(刑法199条)。死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑で、未遂(203条)・予備(201条)も処罰されます。用語ページを見る →罪の法定刑は、死刑から5年以上の拘禁刑までと、きわめて幅が広くなっています。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
死刑と5年、同じ条文の中なんだ……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
幅があるからこそ、酌量減軽酌量減軽犯罪の情状に酌量すべきものがあるときに、刑を減軽すること(刑法66条)。法律上刑を加重・減軽する場合でも、さらに行うことができます(67条)。用語ページを見る →(刑法66条)や刑の全部の執行猶予刑の全部の執行猶予言い渡した刑の全部について、一定期間その執行を先送りにする制度(刑法25条)。取り消されずに期間が経過すると、刑の言渡し自体が効力を失います。用語ページを見る →の判断が意味を持つ。条文は枠を示し、事案に応じて量刑が決まる——その関係がよく見える条文じゃな。
第二十六章の構成
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 199条 | 殺人 |
| 200条 | 削除 |
| 201条 | 殺人予備殺人予備刑法199条の罪を犯す目的で予備をすること(刑法201条)。2年以下の拘禁刑ですが、ただし書により情状によって刑を免除することができます。用語ページを見る → |
| 202条 | 自殺関与自殺関与人を教唆しまたは幇助して自殺させること(刑法202条前段)。同意殺人と同じ条文に置かれ、6月以上7年以下の拘禁刑です。用語ページを見る →及び同意殺人同意殺人人をその嘱託を受け、またはその承諾を得て殺すこと(刑法202条後段)。殺人罪より大幅に軽い6月以上7年以下の拘禁刑です。用語ページを見る → |
| 203条 | 未遂罪 |
未遂・予備
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 203条 | 199条および202条の罪の未遂を罰する |
| 201条 | 199条の罪を犯す目的での予備を罰する(情状により免除できる) |
放火罪(112条・113条)と同じく、未遂と予備の双方が処罰される類型です。
108条・119条との比較
死刑を選択刑に含む条文を並べると、刑法が何を最も重く見ているかが見えてきます。
| 条文 | 罪 | 刑 |
|---|---|---|
| 刑法108条 | 現住建造物等放火 | 死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑 |
| 刑法119条 | 現住建造物等浸害 | 死刑または無期もしくは3年以上の拘禁刑 |
| 刑法126条3項 | 汽車転覆等致死 | 死刑または無期拘禁刑 |
| 刑法146条後段 | 水道毒物等混入致死 | 死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑 |
| 刑法199条 | 殺人 | 死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑 |
資格別の演習
殺人罪の法定刑の下限は、5年以上の拘禁刑である。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法199条は「死刑又は無期若しくは5年以上の拘禁刑」と定めています。
殺人罪については、未遂だけでなく予備も処罰される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。未遂は刑法203条、予備は刑法201条が定めています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
次の200条は「削除」じゃ。この空欄には、憲法とかかわる歴史があるぞ。