刑法第4条の2・総則
刑法第4条の2:条約による国外犯(世界主義)
条約が「国外で犯しても処罰せよ」と求める罪について、犯人の国籍も被害者の国籍も問わずに刑法を適用する受け皿の条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
2条・3条・3条の2・4条……国外犯の条文、まだあるの!?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
これが最後じゃ。しかも、いちいち罪名を列挙せんという点で、いままでの条文とはつくりが違うのじゃよ。
条文の内容
刑法4条の2は、刑法2条から4条までに規定するもののほか、日本国外において、第二編の罪であって条約により日本国外において犯したときであっても罰すべきものとされているものを犯したすべての者に刑法を適用する、と定めます。
この考え方を世界主義世界主義国際社会が共通して取り締まるべき犯罪について、犯行地や犯人の国籍を問わず自国の刑法を適用する考え方。刑法4条の2(条約による国外犯)がこれにあたります。用語ページを見る →といいます。犯行地も、犯人の国籍も、被害者の国籍も問いません。
なぜ罪名が書かれていないのか
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
他の条文みたいに「何条の罪」って書いてないね。手抜き?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
逆じゃよ。日本が新しい条約を結ぶたびに刑法を書き換えるのでは追いつかん。そこで「条約が求めているもの」と書いておけば、条約を結んだ時点で自動的に対象が広がる。受け皿として作られた規定なのじゃ。
条文が対象を「第二編の罪」に限っている点も重要です。第二編は刑法の各則(77条以下の個別の犯罪)であり、刑法以外の法律の罰則は含まれません。
4つの原理の整理
| 原理 | 手がかり | 条文 |
|---|---|---|
| 属地主義属地主義犯罪が行われた「場所」を基準に自国の刑法を適用する考え方。刑法1条1項が、日本国内で罪を犯したすべての者に刑法を適用するとしているのがこれにあたります。用語ページを見る → | 犯罪地 | 1条 |
| 保護主義保護主義犯人の国籍や犯行地を問わず、自国や自国民の利益が侵害された場合に自国の刑法を適用する考え方。刑法2条(すべての者の国外犯)や3条の2(国民以外の者の国外犯)がこれにあたります。用語ページを見る → | 保護される法益・被害者 | 2条・3条の2 |
| 属人主義属人主義犯人の「国籍」を基準に自国の刑法を適用する考え方。刑法3条が、日本国外で一定の罪を犯した日本国民に刑法を適用するとしているのがこれにあたります。用語ページを見る → | 犯人の国籍 | 3条・4条 |
| 世界主義世界主義国際社会が共通して取り締まるべき犯罪について、犯行地や犯人の国籍を問わず自国の刑法を適用する考え方。刑法4条の2(条約による国外犯)がこれにあたります。用語ページを見る → | 条約上の義務 | 4条の2 |
刑法1条から4条の2までは、この4つの原理の組み合わせで国内犯国内犯日本国内で犯された罪のこと。刑法1条2項により、日本国外にある日本船舶・日本航空機の中で犯された罪も国内犯と同じ扱いになります。用語ページを見る →と国外犯国外犯日本国外で犯された罪のうち、刑法2条から4条の2までが列挙するものに限って日本の刑法が適用されるもの。国外での行為すべてが処罰されるわけではありません。用語ページを見る →の範囲を決めている、と整理すると全体像がつかめます。
資格別の演習
刑法4条の2は、犯人の国籍および被害者の国籍を問わずに適用される。
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解答:◯
正しい記述です。刑法4条の2は「すべての者に適用する」と定めており、犯人・被害者の国籍を要件としていません(世界主義世界主義国際社会が共通して取り締まるべき犯罪について、犯行地や犯人の国籍を問わず自国の刑法を適用する考え方。刑法4条の2(条約による国外犯)がこれにあたります。用語ページを見る →)。
刑法4条の2は、条約により国外犯の処罰が求められている罪であれば、刑法以外の法律に定められた罪にも適用される。
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解答:×
誤りです。刑法4条の2の対象は「第二編の罪」に限られます。刑法典以外の法律に置かれた罰則については、それぞれの法律に国外犯処罰規定が置かれているかどうかによります。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
第1条から第4条の2までで「日本の刑法はどこまで届くか」の話は終わりじゃ。次の第5条からは、外国で裁判を受けた場合の扱いに移るぞ。