民法第425条・債権
民法第425条:認容判決の効力が及ぶ者の範囲
取消しを認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対しても効力を有します。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
民法424条の7で債務者は被告にならないんだよね。じゃあ判決は債務者に関係ないの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
いや、及ぶ。民法425条じゃ。債務者及びその全ての債権者——第三目「詐害行為取消権の行使の効果」の冒頭を飾る条文じゃぞ。
条文の内容
詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 何が | 詐害行為取消請求を認容する確定判決 |
| 誰に | 債務者及びその全ての債権者に対しても |
| どうなる | その効力を有する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
訴えてない他の債権者にも効くんだ!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが要じゃ。取り戻された財産は、債務者の責任財産に戻る。ならば全ての債権者の共同の担保となる——そう読める書きぶりじゃな。
そして「認容する確定判決」に限られておる。請求を退ける判決までは広げておらぬ。
民法424条の7第2項とのつながり
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
判決の効力が及ぶのに、債務者は被告ではない。だからこそ民法424条の7第2項が訴訟告知の義務を課しておるのじゃ。
425条と424条の7第2項は、必ず一組で読む。片方だけでは片手落ちになるぞ。
取り戻した金銭の分配義務
最高裁は、取消債権者が受け取った価格賠償金について、次のように判断しました。
詐害行為取消の判決に基づき取消債権者が受益者より自己に価格賠償金の引渡を受けた場合、取消債権者は、右価格賠償金を他の債権者に分配する義務を負うものではない。 (最判昭和37年10月9日・民集第16巻10号2070頁)
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
判決の効力は全債権者に及ぶのに、お金は分けなくていいんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨は「分配する義務を負うものではない」と述べておる。判決の効力が及ぶことと、受領した金の分配義務とは別の話、ということじゃな。
なお、この判決は改正前の事案じゃ。民法424条の9が自己への支払を条文で認めたことと、あわせて読む値打ちがあるのう。
取消後の不当利得返還は代位できない
商標権の譲渡行為が詐害行為として取り消された場合に,受益者が第三者から支払を受けた当該商標権の使用許諾料相当額を不当利得として債権者が債務者に代位して返還請求をすることはできない。 (最判平成13年11月16日・集民第203号459頁)
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
取消しの効果がどこまで及ぶかを扱った判断じゃ。要旨は使用許諾料相当額の不当利得返還請求を、債務者に代位して行うことはできぬとする。
取り消したからといって、あらゆる利得が取り戻せるわけではない——射程を限った判断と読めような。
第三目の4か条
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法425条 | 認容判決の効力が及ぶ者の範囲 |
| 民法425条の2 | 債務者の受けた反対給付に関する受益者受益者詐害行為によって利益を受けた者のこと(民法424条1項ただし書)。その行為の時に債権者を害することを知らなかったときは、取消請求を受けません。用語ページを見る →の権利 |
| 民法425条の3 | 受益者の債権の回復 |
| 民法425条の4 | 取消請求を受けた転得者転得者受益者に移転した財産をさらに取得した者のこと。一定の要件を満たす場合に限り詐害行為取消請求の相手方となります(民法424条の5)。用語ページを見る →の権利 |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
425条が効力の範囲を定め、425条の2以下が受益者・転得者の救済を用意する——取り消しっぱなしにはせぬ、という構えじゃな。
資格別の演習
詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法425条がそのとおり定めています。
詐害行為取消しの判決に基づき取消債権者が受益者から自己に価格賠償金の引渡しを受けた場合、取消債権者はこれを他の債権者に分配する義務を負わない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。最判昭和37年10月9日(民集第16巻10号2070頁)の裁判要旨がそのとおり判示しています。
詐害行為取消請求に係る訴えにおいて債務者は被告とならないが、認容判決の効力は債務者にも及ぶ。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法424条の7第1項が被告を受益者又は転得者とし、民法425条が判決の効力を債務者にも及ぼしています。
一次情報を確認する
- e-Gov法令検索:民法第425条
- 最判昭和37年10月9日(民集 第16巻10号2070頁)(昭和34(オ)1084)
- 最判平成13年11月16日(集民 第203号459頁)(平成12(受)1666)