刑法第14条・総則
刑法第14条:有期拘禁刑の加減の限度
有期拘禁刑の「1月以上20年以下」という枠は、加重や減軽で動きます。上は30年まで、下は1月未満まで——その限度を定めた条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
ニュースで「懲役30年」って聞いたことある気がするんだけど、有期は20年までじゃなかったの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よく覚えておったな。その答えがこの第14条じゃ。20年という枠は動かないものではない。加重や減軽が入ると、上は30年まで伸びるのじゃよ。
条文の内容
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1項 | 死刑死刑刑法11条により、刑事施設内において絞首して執行される刑。言渡しを受けた者は、執行に至るまで刑事施設に拘置されます。用語ページを見る →または無期拘禁刑を減軽して有期拘禁刑とする場合は、その長期を30年とする |
| 2項 | 有期拘禁刑を加重する場合は30年まで上げることができ、減軽する場合は1月未満に下げることができる |
法定刑・処断刑・宣告刑
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
加重とか減軽って、どの段階の話をしてるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
刑が決まるまでには3つの段階があってな。第14条が扱っておるのは真ん中じゃ。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① 法定刑法定刑個々の犯罪について、条文があらかじめ定めている刑の種類と範囲のこと(「〇年以下の拘禁刑」など)。ここを出発点に、加重・減軽を経て実際の刑が決まります。用語ページを見る → | 各条文が定めている刑の枠(例:「5年以下の拘禁刑」) |
| ② 処断刑処断刑法定刑に、法律上の加重や減軽を加えて作られる、裁判所が刑を選ぶ枠のこと。刑法14条は、この枠を作るときの上限・下限を定めています。用語ページを見る → | 法定刑に加重・減軽減軽刑を法律上または裁判上、軽い方向に修正すること。刑法14条は、死刑・無期拘禁刑を減軽して有期拘禁刑にする場合の長期を30年とするなど、その限度を定めています。用語ページを見る →を加えて作る、裁判所が刑を選ぶ枠 |
| ③ 宣告刑宣告刑処断刑の枠の中から、裁判所が具体的に言い渡す刑のこと(「拘禁刑2年」など)。執行猶予を付けるかどうかは、この宣告刑を前提に判断されます。用語ページを見る → | その枠の中から実際に言い渡す刑(例:「拘禁刑2年」) |
第14条は、②の枠を作るときの上限と下限を示す条文です。
1項と2項の違い
- 1項は、死刑・無期拘禁刑という「期間のない刑」を有期にするときの話です。もとの刑に長期がないため、30年という長期を新たに与えるという書き方になっています。
- 2項は、もともと有期拘禁刑であるものを動かす場合です。加重なら30年まで、減軽なら1月未満まで。
刑法12条1項の「1月以上20年以下」と合わせると、有期拘禁刑が取りうる幅は次のようになります。
| 状況 | 長期 | 短期 |
|---|---|---|
| 加重・減軽なし | 20年まで | 1月以上 |
| 加重あり | 30年まで | 1月以上 |
| 減軽あり | — | 1月未満もありうる |
資格別の演習
無期拘禁刑を減軽して有期拘禁刑とする場合、その長期は30年となる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法14条1項が「死刑又は無期拘禁刑を減軽して有期拘禁刑とする場合においては、その長期を30年とする」と定めています。
有期拘禁刑を減軽する場合には、1月未満に下げることができる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法14条2項後段が定めています。刑法12条1項の下限である「1月以上」は、減軽の場面では突き抜けることができます。
有期拘禁刑を加重する場合であっても、刑法12条1項により長期は20年を超えることができない。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。刑法14条2項前段は、有期拘禁刑を加重する場合に30年まで上げることができると定めています。12条1項の20年は加重・減軽のない場合の枠にすぎません。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
「上は30年、下は1月未満」。第12条とセットで覚えれば、有期拘禁刑の全体像がつかめるぞ。