民法第2条・総則
民法第2条:解釈の基準
民法は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として解釈しなければなりません。条文の読み方そのものを縛る、たった一文の条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
2条って一文しかないんだね。「解釈しなければならない」って、だれに言ってるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文を読む者すべて——裁判官も、役所も、わしらのような学習者もじゃ。条文そのものではなく、条文の読み方を定めた、めずらしい条文なんじゃよ。
条文の内容
民法2条は、次の一文だけです。
この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。
分解すると、2つの柱があります。
| 柱 | 意味するところ |
|---|---|
| 個人の尊厳 | ひとりひとりを、他の目的のための手段ではなく、それ自体として尊重すること |
| 両性の本質的平等 | 男女を、形式的にではなく実質において対等に扱うこと |
そして、この2つを「旨として」——つまり基本の趣旨として——解釈しなければならない、と命じています。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
1条と2条って、似てるようで違うんだ?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこは押さえどころじゃ。1条は権利の使い方を縛る。2条は条文の読み方を縛る。向いている先が違うのじゃよ。
| 条文 | 縛る対象 | 条文の言葉 |
|---|---|---|
| 民法1条 | 私権のあり方・権利行使・義務の履行 | 公共の福祉/信義に従い誠実に/権利の濫用は許さない |
| 民法2条 | この法律の解釈 | 個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として |
「解釈の基準」が効いてくる場面
条文の文言がひとつの意味に決まりきらないとき、複数の読み方のうちどれを採るかが問題になります。民法2条は、そのときに個人の尊厳と両性の本質的平等に沿う読み方を選べと指示しているわけです。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
たとえば家族に関するルールは、民法が作られた当時と今とでは、社会のありようがまるで違う。条文の文言は変わらずとも、その読み方が問われ続けるのはそのためじゃな。
なお、民法2条は、どの条文をどう読むべきかという具体的な結論までは書いていません。あくまで方向づけをする条文です。個別の場面での帰結は、その場面を規律する条文と、それに関する裁判所の判断によります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
1条も2条も、単独で「これが答え」とはならないタイプなんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
うむ。じゃが、この2か条があるからこそ、残りの条文が同じ方角を向いていられる。地味じゃが、抜くと全体が傾く土台じゃよ。
資格別の演習
民法は、この法律を個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として解釈しなければならない旨を定めている。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法2条がそのまま定めている内容です。「個人の尊厳」「両性の本質的平等」という2つの語句と、それが解釈の基準として置かれている点をセットで覚えてください。
民法2条は、権利の行使及び義務の履行は信義に従い誠実に行わなければならないという原則を定めたものである。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。信義則信義則権利を使うときも義務を果たすときも、相手の信頼を裏切らないよう誠実に行動しなければならないという原則(民法1条2項)。「信義誠実の原則」の略です。用語ページを見る →を定めているのは民法1条2項です。民法2条は「この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない」という、解釈の基準を定めた条文です。
民法2条は解釈の基準を定めた規定であるから、同条を根拠として、個別の条文の適用結果とは無関係に、直接に具体的な権利義務を導くことができる。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法2条は「解釈しなければならない」と定めるにとどまり、具体的な権利義務の内容までを定めた条文ではありません。まず問題となる場面を規律する条文を探し、その文言の読み方が一義的に定まらない場面で、個人の尊厳と両性の本質的平等に沿う解釈を選ぶ——という順序で働きます。