刑法第10条・総則
刑法第10条:刑の軽重
どちらの刑が重いかを決める物差しです。主刑の種類・長期/多額・短期/寡額・犯情という4段階の比べ方を確認します。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「5年以下の拘禁刑」と「1年以上10年以下の拘禁刑」、どっちが重いの? 見比べてもよく分からないよ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そういう迷いを断ち切るために、第10条が比べ方の順番を決めておるのじゃ。上から順に当てはめていけば、必ず答えが出るようになっておる。
条文の内容
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1項 | 主刑主刑それだけで独立して言い渡すことができる刑のこと。刑法9条は、死刑・拘禁刑・罰金・拘留・科料の5種類を主刑としています。用語ページを見る →の軽重は、前条(9条)に規定する順序による |
| 2項 | 同種の刑は、長期の長いもの/多額の多いものを重い刑とし、長期・多額が同じなら短期の長いもの/寡額の多いものを重い刑とする |
| 3項 | 2個以上の死刑、または長期・多額および短期・寡額が同じである同種の刑は、犯情によって軽重を定める |
比べる順番
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
上から順に、って言ったよね。順番に整理して!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よかろう。こうなるのじゃ。
- 刑の種類が違うなら、刑法9条の順序(死刑>拘禁刑>罰金>拘留>科料)で決める(1項)
- 同じ種類なら、上限(長期・多額)が大きいほうが重い(2項前段)
- 上限が同じなら、下限(短期・寡額)が大きいほうが重い(2項後段)
- 上限も下限も同じなら、犯情犯情情状のうち、犯罪行為そのものの重さに関わる事情のこと(結果の大小、動機、態様など)。刑法10条3項や27条の2第1項が判断の基準として挙げています。用語ページを見る →によって決める(3項)
冒頭の疑問に当てはめてみましょう。「5年以下の拘禁刑」と「1年以上10年以下の拘禁刑」はどちらも拘禁刑なので、まず長期を比べます。10年>5年ですから、後者が重いという結論になります。
2項の「長期・短期」と「多額・寡額」
自由刑では期間を「長期/短期」、財産刑では金額を「多額/寡額」と呼び分けます。条文が両方を併記しているのは、拘禁刑にも罰金にも同じ物差しを使えるようにするためです。
この条文が働く場面
刑の軽重の比較は、刑法のあちこちで前提となります。
| 場面 | 条文 |
|---|---|
| 犯罪後の法律による刑の変更でどちらが軽いか | 6条 |
| 併合罪で「最も重い罪」がどれか | 47条 |
| 1個の行為が2個以上の罪名に触れるときの処断 | 54条 |
資格別の演習
拘禁刑と罰金とでは、常に拘禁刑が重い刑である。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法10条1項により主刑の軽重は刑法9条の順序によります。9条は「死刑、拘禁刑、罰金、拘留及び科料」の順に並べているため、拘禁刑は罰金より重い刑となります。
同種の刑について長期が同じである場合には、短期の長いほうが重い刑となる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法10条2項後段が「長期又は多額が同じであるときは、短期の長いもの又は寡額の多いものを重い刑とする」と定めています。
長期・短期がいずれも同じ2個の拘禁刑については、犯情によってその軽重を定める。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法10条3項は、2個以上の死刑や、長期・多額および短期・寡額が同じである同種の刑について、犯情によって軽重を定めるとしています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
種類 → 上限 → 下限 → 犯情。この4段階を覚えておけば、刑の比較で迷うことはないぞ。