刑法第106条・騒乱の罪
刑法第106条:騒乱
多衆で集合して暴行・脅迫をする罪です。首謀者・指揮者等・付和随行者の3段階で処断され、「一地方」の平穏を害するかの判断基準を示した判例があります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
暴行罪や脅迫罪じゃ足りないの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
足りぬのじゃ。多衆多衆多くの人の集まり。刑法106条は「多衆で集合して暴行又は脅迫をした者」を騒乱の罪とし、107条は暴行・脅迫のため集合した多衆が解散命令に従わない場合を処罰します。用語ページを見る →が集まって暴れると、個々の暴行の総和を超えた事態になる。条文はその場面を、関わり方の深さに応じて3段階に分けて処断しておる。
条文の内容
多衆で集合して暴行又は脅迫をした者は、騒乱の罪とし、次の区別に従って処断する。
| 号 | 立場 | 刑 |
|---|---|---|
| 1号 | 首謀者首謀者内乱において中心となった者。刑法77条1項1号は、首謀者を死刑または無期拘禁刑としており、同項が定める3つの区別のうち最も重い扱いです。用語ページを見る → | 1年以上10年以下の拘禁刑 |
| 2号 | 他人を指揮し、または他人に率先して勢いを助けた者 | 6月以上7年以下の拘禁刑 |
| 3号 | 付和随行付和随行自分の考えによらず、他人に同調して行動に加わること。刑法77条1項3号は、付和随行しその他単に暴動に参加した者を3年以下の拘禁刑としています。用語ページを見る →した者 | 10万円以下の罰金 |
3段階の意味
騒乱騒乱多衆で集合して暴行または脅迫をすること(刑法106条)。首謀者・指揮者や率先助勢者・付和随行者の3段階に分けて処断されます。用語ページを見る →罪は、同じ場にいた者を一律には扱いません。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
付和随行だと罰金だけなんだ。ずいぶん差があるね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
首謀者は1年以上の拘禁刑、付和随行者は10万円以下の罰金。同じ騒動でも役割で刑が変わる——これが106条の設計思想じゃ。
判例——複数の集団による暴行脅迫と共同意思
最判昭和59年12月21日は、同一地域内において、構成を異にする複数の集団により時間・場所を異にしてそれぞれ暴行脅迫が行われた場合であっても、先行の集団による暴行脅迫に触発、刺激され、その事実を認識・認容しつつこれを承継する形態において、時間的・場所的に近接して後の集団による暴行脅迫が順次継続的に行われたときは、各集団による暴行脅迫は全体として同一の共同意思によるものというべきであるとしました。
判例——「一地方」の判断基準
同じ判決は、騒擾罪の成立に必要な暴行脅迫が「一地方」における公共の平和・静謐を害するに足りるものであるか否かを判断するにあたっては、単に暴行脅迫が行われた地域の広狭や居住者の多寡のみではなく、その地域が社会生活において占める重要性や同所を利用する一般市民の動き、同所を職域として勤務する者らの活動状況、当該騒動の様相等をも総合して考察すべきであるとしました。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
「広さ」や「人数」だけで決めてはならぬ、と最高裁は言うておる。総合考察が求められる場面じゃな。
資格別の演習
騒乱罪において、付和随行した者は10万円以下の罰金に処せられる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法106条3号の定めです。首謀者(1号)・指揮者等(2号)とは大きく刑が異なります。
騒擾罪の「一地方」における公共の平和・静謐に対する侵害の有無は、暴行脅迫が行われた地域の広狭や居住者の多寡のみで判断されるものではない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。最判昭和59年12月21日は、地域の重要性や市民の動き、騒動の様相等をも総合して考察すべきとしました。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
次の107条は、まだ暴れていない段階——集まって、命令を無視している段階を捉える条文じゃ。