民法第490条・債権
民法第490条:合意による弁済の充当
弁済者と受領者の間に充当の順序に関する合意があれば、民法488条・489条に優先してその順序によります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
民法489条の順序は動かせないって言ってたけど、合意でもだめ?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
合意ならよいのじゃ。 民法490条——**「前二条の規定にかかわらず」**と、堂々と始まっておるぞ。
条文
前二条の規定にかかわらず、弁済をする者と弁済を受領する者との間に弁済の充当の順序に関する合意があるときは、その順序に従い、その弁済を充当する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 優先関係 | 前二条(民法488条・489条)の規定にかかわらず |
| 誰と誰の | 弁済をする者と弁済を受領する者との間 |
| 何が | 弁済の充当弁済の充当給付が全ての債務を消滅させるのに足りないとき、どの債務のどの部分に充てるかを決めること(民法488条〜491条)。用語ページを見る →の順序に関する合意 |
| 効果 | その順序に従い、その弁済を充当する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
489条の「しなければならない」より、合意のほうが強いんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文の順序が答えじゃ。 民法490条が「前二条の規定にかかわらず」と宣言しておる。
一方的な指定は民法489条を動かせぬ(民法488条1項かっこ書き)。しかし双方の合意なら動かせる——そこが分かれ目じゃな。
充当の規定は、当事者の合意を最上位に置く仕組みなのじゃ。任意規定任意規定当事者が異なる合意をすればそちらが優先する規定。民法91条にいう「公の秩序に関しない規定」がこれにあたります。用語ページを見る →としての性格が、この一か条にはっきり現れておる。
充当の順位
| 順位 | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 民法490条 | 当事者の合意 |
| 2 | 民法489条1項 | 費用 → 利息 → 元本 |
| 3 | 民法488条1項 | 弁済者の指定充当指定充当弁済をする者又は受領する者が、どの債務に充当するかを指定して決める充当(民法488条1項・2項)。用語ページを見る → |
| 4 | 民法488条2項 | 受領者の指定(異議がなければ) |
| 5 | 民法488条4項 | 法定充当法定充当当事者のいずれも指定をしないときに、民法488条4項各号の順序に従って決まる充当。用語ページを見る → |
充当の合意と連帯保証人
最高裁は、弁済充当の合意と連帯保証人の関係について次のように判断しました。
債権者と債務者間との間に数口の債務がある場合に債務者のなす給付をどの債務の弁済に充当するかは両者間の契約により定めうるところであり、これにより弁済充当のなされなかつた債務の連帯保証人が免責を受けないことになつてもやむを得ない。 (最判昭和37年11月1日・集民第62号13頁)
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
保証人が知らないところで、自分の保証した債務が残されちゃうの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨は「やむを得ない」と述べておる。
どの債務に充てるかは、債権者と債務者の契約で定めうる——それが前段じゃ。その結果として、充当されなかった債務の連帯保証連帯保証保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する保証。催告の抗弁と検索の抗弁を持ちません(民法454条)。用語ページを見る →人が免責を受けられなくなっても、やむを得ない——それが後段じゃな。
充当の合意という当事者の自由が、保証人の期待に優先する場面がある——そう判示しておるのじゃ。
保証人の立場から見れば厳しい判断じゃ。 じゃが保証とは、そもそも他人の事情に運命を委ねることでもある。そのことを思い出させる裁判要旨じゃな。
資格別の演習
弁済をする者と弁済を受領する者との間に弁済の充当の順序に関する合意があるときは、民法488条・489条にかかわらず、その順序に従って弁済を充当する。
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解答:◯
正しい記述です。民法490条がそのとおり定めています。
元本のほか利息及び費用を支払うべき場合には、当事者が充当の順序について合意をしても、民法489条1項の順序が優先する。
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解答:×
誤りです。民法490条は「前二条の規定にかかわらず」合意による順序に従うと定めており、民法489条より合意が優先します。
債権者と債務者との間に数口の債務がある場合に、債務者のなす給付をどの債務の弁済に充当するかは両者間の契約により定めうるものであり、これにより弁済充当のなされなかった債務の連帯保証人が免責を受けないことになってもやむを得ない。
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解答:◯
正しい記述です。最判昭和37年11月1日(集民第62号13頁)の裁判要旨がそのとおり判示しています。
一次情報を確認する
- e-Gov法令検索:民法第490条
- 最判昭和37年11月1日(集民 第62号13頁)(昭和36(オ)1357)