刑法第42条・総則
刑法第42条:自首等
捜査機関に発覚する前に自首すれば、刑を減軽することが「できる」。虚偽が混じった申告でも自首になるのか、判例が分かれた2つの事例で境目を確かめます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
自首したら、必ず刑が軽くなるんだよね?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこがよくある勘違いじゃ。条文は「減軽することができる」。裁量なのじゃよ。しかもタイミングに厳しい条件がついておる。
条文の内容
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1項 | 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる |
| 2項 | 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、1項と同様とする |
1項——「発覚する前に」
自首自首罪を犯した者が、捜査機関に発覚する前に自ら申し出ること。刑法42条1項により、その刑を減軽することが「できる」とされています。用語ページを見る →が減軽の理由になるのは、捜査機関に発覚する前に申し出た場合だけです。すでに発覚した後に出頭しても、この条文の自首にはあたりません。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「できる」だから、減らないこともあるんだ……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうじゃ。36条2項、37条1項ただし書、38条3項ただし書、そしてこの42条1項。「できる」と書かれた減免は全部が裁量。39条2項の「減軽する」だけが必要的、と覚えるとよい。
2項——親告罪の場合
告訴がなければ公訴を提起できない罪については、告訴権者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、1項と同様に扱われます。相手は捜査機関でなくてよい、という特則です。
判例——申告に虚偽が混じっていたら
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
正直に全部言わないとダメなの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
最高裁の2つの決定を並べると、線の引き方が見えてくるぞ。犯罪事実そのものを偽ったかどうかが効いておる。
最決平成13年2月9日は、けん銃を適合実包とともに携帯して所持し発射した者が、捜査機関に発覚する前にこれらの犯行に及んだことを捜査機関に申告した場合は、その際、使用したけん銃について虚偽の事実を述べるなどしたとしても、刑法42条1項の自首が成立すると判示しました。
これに対し最決令和2年12月7日は、被告人が自宅で被害者をその嘱託を受けることなく殺害した後、嘱託を受けて殺害した旨の虚偽の事実を記載したメモを遺体のそばに置き、自宅の外から警察署に電話して遺体とメモの存在・自宅の住所を伝え、その後、司法警察員に対し嘱託を受けて殺害した旨の虚偽の供述をしたという事案で、刑法42条1項の自首は成立しないとしました。
| 判例 | 虚偽の内容 | 結論 |
|---|---|---|
| 最決平成13年2月9日 | 使用したけん銃についての虚偽 | 自首が成立する |
| 最決令和2年12月7日 | 嘱託を受けて殺害したという犯罪事実自体の虚偽 | 自首は成立しない |
資格別の演習
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽しなければならない。
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解答:×
誤りです。刑法42条1項は「減軽することができる」と定めており、裁量的減軽です。
告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、刑を減軽することができる。
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解答:◯
正しい記述です。刑法42条2項が、1項と同様に扱うと定めています。
捜査機関に発覚する前に犯行に及んだことを申告した場合には、使用した道具について虚偽の事実を述べたとしても、自首が成立することがある。
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解答:◯
正しい記述です。最決平成13年2月9日は、けん銃の携帯所持・発射を申告した者が使用したけん銃について虚偽の事実を述べるなどしても、刑法42条1項の自首が成立するとしました。もっとも最決令和2年12月7日は、嘱託殺人であるかのように犯罪事実自体を偽った事案で自首の成立を否定しています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
ここまでが第七章「犯罪の不成立及び刑の減免」じゃ。次からは第八章、未遂罪に入るぞ。