刑法
全308記事。条文ごとに、キャラクター対話・用語カード・資格横断の類題を収録しています。
総則
- 第1条刑法第1条:国内犯(属地主義)日本の刑法がどこまで届くのかを決める出発点の条文です。「日本国内で犯した罪」に適用されるという属地主義と、日本船舶・日本航空機の中を国内と同じに扱うルールを確認します。
- 第2条刑法第2条:すべての者の国外犯(保護主義)日本国外で犯された罪でも、日本という国家の存立や通貨・公文書への信用を害するものは、犯人の国籍を問わず処罰されます。列挙された罪の顔ぶれから、この条文の狙いを読み解きます。
- 第3条刑法第3条:国民の国外犯(属人主義)日本国民が国外で犯した罪のうち、17号にわたって列挙されたものだけが処罰されます。殺人・傷害・窃盗が入り、器物損壊や単純横領が入らない——その線引きを確認します。
- 第3条の2刑法第3条の2:国民以外の者の国外犯外国で日本国民が被害者になった事件のうち、生命・身体・自由を害する重い罪に限って、外国人にも日本の刑法が及びます。窃盗や詐欺が入っていない理由を確認します。
- 第4条刑法第4条:公務員の国外犯在外公館の職員など、日本国の公務員が国外で犯した職務がらみの罪について刑法を適用する規定です。収賄や虚偽公文書作成が並ぶ理由を確認します。
- 第4条の2刑法第4条の2:条約による国外犯(世界主義)条約が「国外で犯しても処罰せよ」と求める罪について、犯人の国籍も被害者の国籍も問わずに刑法を適用する受け皿の条文です。
- 第5条刑法第5条:外国判決の効力外国で有罪判決が確定していても、日本で改めて処罰することは妨げられません。ただし外国で刑の執行を受けていれば、日本での刑の執行は減軽または免除されます。
- 第6条刑法第6条:刑の変更犯罪の後に法律が変わって刑が重くなっても軽くなっても、適用されるのは軽いほうです。遡及処罰の禁止を刑の重さの面で徹底した条文を確認します。
- 第7条刑法第7条:公務員・公務所の定義収賄罪や公務執行妨害罪の主体・客体を決める土台の定義です。「公務に従事する」ことが決め手で、役所に勤めているかどうかではありません。
- 第7条の2刑法第7条の2:電磁的記録の定義紙の文書ではないデータを刑法が扱うための定義です。「人の知覚によっては認識することができない方式」という言い回しの意味を確認します。
- 第8条刑法第8条:他の法令の罪に対する適用刑法総則は刑法典の中だけのルールではありません。道路交通法や覚醒剤取締法などの罰則にも適用されるという、総則の射程を定めた条文です。
- 第9条刑法第9条:刑の種類日本の刑罰は6種類しかありません。単独で言い渡せる5つの主刑と、付け加えてしか科せない没収という付加刑の区別を確認します。
- 第10条刑法第10条:刑の軽重どちらの刑が重いかを決める物差しです。主刑の種類・長期/多額・短期/寡額・犯情という4段階の比べ方を確認します。
- 第11条刑法第11条:死刑死刑の執行方法と、執行に至るまでの身柄の扱いを定めた条文です。「拘置」であって拘禁刑の執行ではない、という点を確認します。
- 第12条刑法第12条:拘禁刑懲役と禁錮を一本化して生まれた新しい自由刑です。無期と有期、有期は1月以上20年以下という枠と、作業・指導を「行うことができる」とした3項の意味を確認します。
- 第13条刑法第13条:削除(旧・禁錮)刑法13条は現行法で「削除」です。かつてここにあった禁錮が拘禁刑へ一本化された経緯と、条数が飛ばずに残されている理由を確認します。
- 第14条刑法第14条:有期拘禁刑の加減の限度有期拘禁刑の「1月以上20年以下」という枠は、加重や減軽で動きます。上は30年まで、下は1月未満まで——その限度を定めた条文です。
- 第15条刑法第15条:罰金罰金は1万円以上。ただし減軽するときは1万円未満に下げられます。科料との境目と、完納できない場合の労役場留置につながる条文です。
- 第16条刑法第16条:拘留1日以上30日未満という短い自由刑です。刑事訴訟法の「勾留」と字も読みも似ていますが、まったく別のものである点を確認します。
- 第17条刑法第17条:科料千円以上1万円未満の財産刑です。行政上の制裁である「過料」と読みが同じため、実務では「とがりょう」と読み分けられます。
- 第18条刑法第18条:労役場留置罰金や科料を納められない場合に労役場へ留置する制度です。期間の上限、併科されたときの通算、言渡しの方法、一部納付の計算まで6項にわたって定められています。
- 第19条刑法第19条:没収犯罪に関係する物の所有権を国に移す唯一の付加刑です。没収できる4種類の物と、「犯人以外の者に属しない物に限る」という2項の制限を確認します。
- 第19条の2刑法第19条の2:追徴没収すべき物を使ってしまったり売ってしまったりして没収できないとき、その価額を取り立てる制度です。対象が3号・4号の物に限られる点が要注意です。
- 第20条刑法第20条:没収の制限拘留・科料のみに当たる軽い罪では、原則として没収を科せません。ただし組成物件だけは例外——ただし書の切り分けを確認します。
- 第21条刑法第21条:未決勾留日数の本刑算入判決前に身柄を拘束されていた日数を、言い渡した刑に組み入れることができる規定です。「できる」と書かれた裁量的な算入である点を確認します。
- 第22条刑法第22条:期間の計算月や年で定めた期間は暦に従って計算します。日数を掛け算せず、カレンダーどおりに数えるという第三章の入口の条文です。
- 第23条刑法第23条:刑期の計算刑期は裁判が確定した日から起算します。逃走中など拘禁されていない日数は、たとえ確定後であっても刑期に算入されません。
- 第24条刑法第24条:受刑等の初日及び釈放受刑の初日は何時から始まっても1日と数え、釈放は刑期が終わった日の翌日に行います。端数を切り上げる方向で被告人に有利に働く条文です。
- 第25条刑法第25条:刑の全部の執行猶予3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金について、1年以上5年以下の期間その執行を猶予できる制度です。1項の対象者と、2項の再度の執行猶予の要件を確認します。
- 第25条の2刑法第25条の2:刑の全部の執行猶予中の保護観察初度の執行猶予では保護観察に「付することができる」、再度の執行猶予では「付する」。任意と必要の分かれ目を確認します。
- 第26条刑法第26条:刑の全部の執行猶予の必要的取消し取り消さなければならない3つの場合を定めた条文です。「拘禁刑以上の刑に処せられ、その全部について執行猶予の言渡しがない」という共通の骨格を確認します。
- 第26条の2刑法第26条の2:刑の全部の執行猶予の裁量的取消し「取り消すことができる」3つの場合を定めます。罰金にとどまるとき、保護観察の遵守事項違反の情状が重いとき、前に執行猶予付きの拘禁刑が発覚したときです。
- 第26条の3刑法第26条の3:取消しの場合における他の刑の執行猶予の取消しひとつの執行猶予が取り消されたら、執行猶予中の他の拘禁刑についても取り消さなければなりません。連鎖的な取消しを定めた条文です。
- 第27条刑法第27条:刑の全部の執行猶予の猶予期間経過の効果猶予期間を無事に経過すれば刑の言渡しは効力を失います。ただし期間内に犯した罪で公訴が提起されているときは、効力継続期間として言渡しが生き続けます。
- 第27条の2刑法第27条の2:刑の一部の執行猶予3年以下の拘禁刑について、一部を実際に執行し、残りの執行を猶予する制度です。全部執行猶予とは対象者も猶予期間の起算点も異なります。
- 第27条の3刑法第27条の3:刑の一部の執行猶予中の保護観察一部執行猶予では、保護観察は常に「付することができる」——任意的です。必要的となる場合がある全部執行猶予との違いを確認します。
- 第27条の4刑法第27条の4:刑の一部の執行猶予の必要的取消し一部執行猶予を取り消さなければならない3つの場合です。全部執行猶予の26条と似ていますが、「執行猶予の言渡しがない」という限定の有無が違います。
- 第27条の5刑法第27条の5:刑の一部の執行猶予の裁量的取消し「取り消すことができる」2つの場合です。保護観察の遵守事項違反について「情状が重いとき」という限定がない点が、全部執行猶予との違いです。
- 第27条の6刑法第27条の6:一部執行猶予の取消しの場合における他の刑の執行猶予の取消し一部執行猶予が取り消されたときは、執行猶予中の他の拘禁刑についても取り消さなければなりません。全部執行猶予における26条の3にあたる規定です。
- 第27条の7刑法第27条の7:刑の一部の執行猶予の猶予期間経過の効果猶予期間を無事に経過すると、拘禁刑は実際に執行された部分だけを刑期とする刑に減軽されます。言渡しが効力を失う全部執行猶予との違いを確認します。
- 第28条刑法第28条:仮釈放有期刑は刑期の3分の1、無期刑は10年を経過した後、改悛の状があれば行政官庁の処分で仮に釈放できます。形式的要件と実質的要件の両方が必要です。
- 第29条刑法第29条:仮釈放の取消し等仮釈放を取り消すことができる4つの場合と、取り消された場合に釈放中の日数が刑期に算入されないことを定めます。すべて「罰金以上」が基準です。
- 第30条刑法第30条:仮出場拘留に処せられた者や、罰金・科料を完納できずに留置された者を、情状により「いつでも」仮に出場させる処分です。期間の経過を要しない点が仮釈放との違いです。
- 第31条刑法第31条:刑の時効刑の言渡しを受けた者は、時効によってその執行の免除を得ます。死刑だけが対象から除かれている点と、公訴時効との違いを確認します。
- 第32条刑法第32条:時効の期間刑の重さに応じた6段階の時効期間を定めます。30年・20年・10年・5年・3年・1年という数字を、刑の種類と対応させて押さえます。
- 第33条刑法第33条:時効の停止法令により執行を猶予・停止した期間と、刑の言渡しを受けた者が国外にいる期間は、刑の時効が進行しません。中断との違いを確認します。
- 第34条刑法第34条:時効の中断拘禁刑・拘留は「執行のために拘束すること」、罰金・科料・没収は「執行行為をすること」で時効が中断します。刑の種類による中断事由の違いを確認します。
- 第34条の2刑法第34条の2:刑の消滅刑の執行を終えた者などが、一定期間さらに罰金以上の刑に処せられなければ、刑の言渡しが効力を失います。10年・5年・2年という数字を押さえます。
- 第35条刑法第35条:正当行為法令による行為・正当な業務による行為は罰しません。外形が犯罪にあたっても違法性がないと評価される、違法性阻却事由の出発点です。
- 第36条刑法第36条:正当防衛急迫不正の侵害に対し、やむを得ずにした防衛行為は罰せられません。2項の過剰防衛が「減軽し、又は免除することができる」にとどまる点まで確認します。
- 第37条刑法第37条:緊急避難現在の危難を避けるためのやむを得ない行為は、生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り罰せられません。正当防衛との違いと、2項の「業務上特別の義務がある者」を確認します。
- 第38条刑法第38条:故意罪を犯す意思がない行為は罰しないという原則と、重い罪の事実を知らなかった者の扱い、そして「法律を知らなかった」という弁解が通らない理由を、3つの項ごとに読み解きます。
- 第39条刑法第39条:心神喪失及び心神耗弱心神喪失者の行為は罰せず、心神耗弱者の行為は刑を減軽します。「罰しない」と「減軽する」の差、そして精神鑑定と裁判所の判断の関係を判例から確認します。
- 第40条刑法第40条:削除刑法40条は現行法で「削除」です。かつてここにあった規定について、その適用が争われた最高裁判例が残されています。
- 第41条刑法第41条:責任年齢14歳に満たない者の行為は罰しません。たった1文の条文ですが、刑事未成年者を利用した者の責任がどうなるかという難問につながります。
- 第42条刑法第42条:自首等捜査機関に発覚する前に自首すれば、刑を減軽することが「できる」。虚偽が混じった申告でも自首になるのか、判例が分かれた2つの事例で境目を確かめます。
- 第43条刑法第43条:未遂減免実行に着手して遂げなかった者は刑を減軽「できる」、自己の意思で中止したときは減軽または免除「する」。本文とただし書で効果が変わる条文を、実行の着手の判例とあわせて読みます。
- 第44条刑法第44条:未遂罪「未遂を罰する場合は、各本条で定める」。この一文があるため、未遂が処罰されるのは条文が明記した罪だけになります。総則と各則の役割分担を示す短い条文です。
- 第45条刑法第45条:併合罪確定裁判を経ていない2個以上の罪が併合罪です。後段が定める「拘禁刑以上の刑に処する確定裁判」を境に、どこまでが一括処理されるかが決まります。
- 第46条刑法第46条:併科の制限併合罪の1つについて死刑または無期拘禁刑に処するときは、他の刑を科しません。ただし書で残る刑が1項と2項で違う点が、この条文の急所です。
- 第47条刑法第47条:有期拘禁刑の加重併合罪の2個以上の罪を有期拘禁刑に処するときは、最も重い罪の長期に2分の1を加えます。ただし各罪の長期の合計は超えられません。判例が示した「統一刑」の考え方まで確認します。
- 第48条刑法第48条:罰金の併科等罰金は他の刑と併科するのが原則です。2個以上の罪について罰金に処するときは、それぞれの多額の合計以下で処断します。
- 第49条刑法第49条:没収の付加重い罪について没収を科さない場合でも、他の罪に没収の事由があれば付加できます。2個以上の没収は併科されます。
- 第50条刑法第50条:余罪の処理併合罪の中に、すでに確定裁判を経た罪とまだ経ていない罪があるときは、経ていない罪について「更に処断する」。1行の条文が余罪の扱いを決めます。
- 第51条刑法第51条:併合罪に係る二個以上の刑の執行併合罪について2個以上の裁判があったときは、その刑を併せて執行します。ただし死刑・無期拘禁刑を執行するときの例外と、有期拘禁刑の執行の上限が定められています。
- 第52条刑法第52条:一部に大赦があった場合の措置併合罪として処断された者が一部の罪について大赦を受けたときは、他の罪について改めて刑を定めます。1つの刑にまとめたことの裏返しです。
- 第53条刑法第53条:拘留及び科料の併科拘留・科料は他の刑と併科され、2個以上の拘留や科料も併科されます。ただし書が除いているのが46条「の場合」である点に注目します。
- 第54条刑法第54条:一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合等の処理観念的競合と牽連犯を定める科刑上一罪の条文です。「最も重い刑により処断する」とは何を意味するのか、罰金の多額と公訴時効についての判例まで確認します。
- 第55条刑法第55条:削除刑法55条は現行法で「削除」です。かつてここにあった連続犯の規定について、改正前の条文に言及した最高裁大法廷判決が残されています。
- 第56条刑法第56条:再犯拘禁刑の執行を終えた日などから5年以内に更に罪を犯し、有期拘禁刑に処するときが再犯です。「5年内」の起算点を示した判例まで確認します。
- 第57条刑法第57条:再犯加重再犯の刑は、その罪について定めた拘禁刑の長期の2倍以下とします。動くのは長期だけで、短期は動きません。
- 第58条刑法第58条:削除刑法58条は現行法で「削除」です。累犯の章のなかにある空欄で、総則に3つある削除条の最後にあたります。
- 第59条刑法第59条:三犯以上の累犯3犯以上の者についても再犯の例によります。回数が増えても加重の枠は「長期の2倍以下」のまま変わりません。
- 第60条刑法第60条:共同正犯2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯です。自分が手を下していない部分にも責任が及ぶ「一部実行全部責任」の根拠条文を、特殊詐欺の判例とあわせて読みます。
- 第61条刑法第61条:教唆人を教唆して犯罪を実行させた者には正犯の刑を科します。2項の「教唆者を教唆した者」まで含めて、条文の射程を確認します。
- 第62条刑法第62条:幇助正犯を幇助した者は従犯です。従犯を教唆した者には従犯の刑が科されます。幇助犯の故意が否定された判例まで確認します。
- 第63条刑法第63条:従犯減軽従犯の刑は、正犯の刑を減軽したものになります。共同正犯・教唆犯との違いがはっきり出る、共犯論の要となる一行です。
- 第64条刑法第64条:教唆及び幇助の処罰の制限拘留または科料のみに処すべき罪の教唆者・従犯は、特別の規定がなければ罰しません。軽微な罪について共犯処罰を絞る条文です。
- 第65条刑法第65条:身分犯の共犯身分がない者でも身分犯の共犯となり(1項)、身分により刑に軽重があるときは身分のない者に通常の刑を科します(2項)。1項と2項の役割分担を判例で確かめます。
- 第66条刑法第66条:酌量減軽犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、刑を減軽することができます。法律上の減軽事由がなくても使える、裁判所の裁量による減軽です。
- 第67条刑法第67条:法律上の加減と酌量減軽法律上刑を加重し、または減軽する場合であっても、さらに酌量減軽をすることができます。加重・減軽が「重ねられる」ことを明らかにした条文です。
- 第68条刑法第68条:法律上の減軽の方法法律上刑を減軽すべき事由があるときの計算方法を、刑の種類ごとに6号で定めています。死刑・無期拘禁刑だけが「2分の1」ではない点が急所です。
- 第69条刑法第69条:法律上の減軽と刑の選択各本条に2個以上の刑名があるときは、まず適用する刑を定めてから、その刑を減軽します。減軽の前に「どの刑にするか」を決める順序を示した条文です。
- 第70条刑法第70条:端数の切捨て拘禁刑や拘留を減軽して1日に満たない端数が生じたときは、これを切り捨てます。計算の後始末を定めた短い条文です。
- 第71条刑法第71条:酌量減軽の方法酌量減軽をするときも、第68条および第70条の例によります。法律上の減軽と計算方法が同じであることを一行で示した条文です。
- 第72条刑法第72条:加重減軽の順序同時に刑を加重・減軽するときは、再犯加重・法律上の減軽・併合罪の加重・酌量減軽の順に行います。総則の締めくくりとなる4号の順序を確認します。
第2編第1章(削除)
- 第73条刑法第73条:削除(第2編第1章)刑法73条は現行法で「削除」です。第73条から第76条までは一括して削除され、章そのものが「削除」という名前になっています。
- 第74条刑法第74条:削除(第2編第1章)刑法74条は現行法で「削除」です。e-Govでは第73条から第76条までがひとつの単位として表示され、条文ごとの区切りが残っていません。
- 第75条刑法第75条:削除(第2編第1章)刑法75条は現行法で「削除」です。条文が消えても番号が動かないことによって、他の条文の「前条」「前二条」といった参照が守られています。
- 第76条刑法第76条:削除(第2編第1章)刑法76条は現行法で「削除」です。第2編第1章の最後の条文であり、この空欄の次から内乱に関する罪が始まります。
内乱に関する罪
- 第77条刑法第77条:内乱第二編「罪」の最初の条文です。統治の基本秩序を壊乱する目的の暴動を、首謀者・謀議参与者等・付和随行者の3つに分けて処断します。
- 第78条刑法第78条:予備及び陰謀(内乱)内乱の予備または陰謀をした者を1年以上10年以下の拘禁刑に処します。実行にも未遂にも至らない段階を処罰する、数少ない条文のひとつです。
- 第79条刑法第79条:内乱等幇助兵器・資金・食糧を供給するなどして内乱やその予備・陰謀を幇助した者を、7年以下の拘禁刑に処します。総則の従犯規定によらない独自の処罰規定です。
- 第80条刑法第80条:自首による刑の免除内乱の予備・陰謀・幇助をした者でも、暴動に至る前に自首すれば刑が免除されます。刑法42条の「減軽することができる」との違いが際立つ条文です。
外患に関する罪
- 第81条刑法第81条:外患誘致外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は死刑に処せられます。刑法の中で、法定刑が死刑だけの罪はこの条文だけです。
- 第82条刑法第82条:外患援助外国から武力の行使があったときに加担して軍務に服し、または軍事上の利益を与えた者を処罰します。前条と違い、死刑以外の選択肢が用意されています。
- 第83条刑法第83条:削除刑法83条は現行法で「削除」です。第83条から第86条までが一括して削除され、外患に関する罪の章に大きな空欄を作っています。
- 第84条刑法第84条:削除刑法84条は現行法で「削除」です。削除された条文は、その章に置かれた未遂・予備の規定の書きぶりにも影響を残しています。
- 第85条刑法第85条:削除刑法85条は現行法で「削除」です。刑法264か条のうち14か条が削除であり、その分布には偏りがあります。
- 第86条刑法第86条:削除刑法86条は現行法で「削除」です。この空欄の次に、外患に関する罪の未遂を定める87条が置かれています。
- 第87条刑法第87条:未遂罪(外患)外患誘致罪・外患援助罪の未遂を罰します。刑法44条が「各本条で定める」とした未遂処罰規定の実例です。
- 第88条刑法第88条:予備及び陰謀(外患)外患誘致罪・外患援助罪の予備または陰謀をした者を、1年以上10年以下の拘禁刑に処します。内乱の第78条と同じ刑の幅です。
- 第89条刑法第89条:削除刑法89条は現行法で「削除」です。外患に関する罪の章の末尾に置かれた、1か条だけの空欄です。
国交に関する罪
- 第90条刑法第90条:削除刑法90条は現行法で「削除」です。第90条及び第91条として、2か条がまとめて削除されています。
- 第91条刑法第91条:削除刑法91条は現行法で「削除」です。刑法に14か所ある空欄の最後にあたり、この次から国交に関する罪の実体規定が始まります。
- 第92条刑法第92条:外国国章損壊等外国に対する侮辱の目的で国旗その他の国章を損壊・除去・汚損する罪です。外国政府の請求がなければ公訴を提起できないという特徴があります。
- 第93条刑法第93条:私戦予備及び陰謀外国に対して私的に戦闘行為をする目的で予備・陰謀をした者を処罰します。ただし書が自首した者の刑を免除している点が最大の特徴です。
- 第94条刑法第94条:中立命令違反外国が交戦している際に、局外中立に関する命令に違反した者を処罰します。何が禁じられるかを命令にゆだねる形の条文です。
公務の執行を妨害する罪
- 第95条刑法第95条:公務執行妨害及び職務強要公務員の職務執行に対して暴行・脅迫を加える罪と、処分をさせるため等に暴行・脅迫を加える罪です。「暴行」にあたるとされた判例までたどります。
- 第95条の2刑法第95条の2:電子計算機損壊等公務執行妨害公務に使う電子計算機や電磁的記録を損壊するなどして、使用目的に沿う動作をさせない行為を処罰します。暴行・脅迫によらない公務妨害を捉える条文です。
- 第96条刑法第96条:封印等破棄公務員が施した封印・差押えの表示を損壊し、またはその他の方法でこれに係る命令・処分を無効にする罪です。何が「有効な表示」かを判例で確かめます。
- 第96条の2刑法第96条の2:強制執行妨害目的財産損壊等強制執行を妨害する目的で、財産の隠匿・損壊・譲渡の仮装などをする罪です。3つの号の書き分けと、相手方も処罰される後段を確認します。
- 第96条の3刑法第96条の3:強制執行行為妨害等偽計・威力を用いて強制執行の行為を妨害する罪(1項)と、申立てをさせない目的等で申立権者に暴行・脅迫を加える罪(2項)を定めます。
- 第96条の4刑法第96条の4:強制執行関係売却妨害偽計・威力を用いて、強制執行において行われ、または行われるべき売却の公正を害すべき行為を処罰します。「行われるべき」まで含む射程の広さが特徴です。
- 第96条の5刑法第96条の5:加重封印等破棄等報酬を得る目的で、人の債務に関して封印等破棄罪や強制執行妨害の罪を犯した場合の加重類型です。「誰の債務か」と「何のためか」の2つが刑を引き上げます。
- 第96条の6刑法第96条の6:公契約関係競売等妨害公の競売・入札の公正を害する行為と、談合を処罰する条文です。1項と2項で、要求されるものが「行為」から「目的」へ入れ替わります。
逃走の罪
- 第97条刑法第97条:逃走法令により拘禁された者が逃走する罪です。主体が「法令により拘禁された者」に限られる身分犯であり、第六章全体の出発点になります。
- 第98条刑法第98条:加重逃走拘禁場や拘束具の損壊、暴行・脅迫、2人以上の通謀という3つの態様による逃走を重く処罰します。刑に下限が現れるのが単純逃走との違いです。
- 第99条刑法第99条:被拘禁者奪取法令により拘禁された者を奪い取る罪です。主体に制限がなく、拘禁されている本人ではなく外部の者を処罰する点で、逃走罪と表裏をなします。
- 第100条刑法第100条:逃走援助拘禁された者を逃走させる目的で器具を提供するなどの行為を処罰します。1項と2項で、同じ目的でも手段によって刑が分かれます。
- 第101条刑法第101条:看守者等による逃走援助拘禁された者を看守し、または護送する者が逃走させる罪です。第六章のなかで最も重い法定刑が定められています。
- 第102条刑法第102条:未遂罪(逃走の罪)第六章「逃走の罪」の未遂をまとめて処罰する条文です。「この章の罪」という書き方が、どこまでを指すのかを確認します。
犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪
- 第103条刑法第103条:犯人蔵匿等罰金以上の刑に当たる罪を犯した者などを蔵匿し、または隠避させる罪です。犯人自身が他人を教唆した場合について、最高裁の判断までたどります。
- 第104条刑法第104条:証拠隠滅等他人の刑事事件に関する証拠を隠滅・偽造・変造し、または使用する罪です。「他人の」という限定と、証拠偽造罪の成否を扱った判例を確認します。
- 第105条刑法第105条:親族による犯罪に関する特例犯人蔵匿罪・証拠隠滅罪を親族が犯人の利益のために犯したときの特例です。「免除する」ではなく「免除することができる」と書かれている点が急所です。
- 第105条の2刑法第105条の2:証人等威迫刑事事件の捜査・審判に必要な知識を有する者やその親族に、面会を強請したり強談威迫の行為をしたりする罪です。「自己若しくは他人の」と書かれている点が104条と対照的です。
騒乱の罪
放火及び失火の罪
- 第108条刑法第108条:現住建造物等放火現に人が住居に使用し、または現に人がいる建造物等に放火する罪です。刑法各論のなかでも最も重い法定刑のひとつで、放火罪の体系の頂点に立ちます。
- 第109条刑法第109条:非現住建造物等放火現に人が住居に使用せず、かつ現に人がいない建造物等への放火です。2項が自己の所有物の場合を切り分け、ただし書で「公共の危険」を要求します。
- 第110条刑法第110条:建造物等以外放火108条・109条の物以外への放火です。条文が「公共の危険」の発生を正面から要求しており、その意義を示した最高裁判例があります。
- 第111条刑法第111条:延焼自己所有物への放火から、より重く保護される物へ火が燃え移った場合の規定です。どの条文からどの条文へ延焼したかで、刑が2段階に分かれます。
- 第112条刑法第112条:未遂罪(放火の罪)放火罪のうち未遂が処罰されるのは108条と109条1項に限られます。「この章の罪」ではなく条文を名指ししている点が重要です。
- 第113条刑法第113条:予備(放火の罪)108条・109条1項の罪を犯す目的での予備を処罰します。ただし書で「情状により免除することができる」と定められている点が特徴です。
- 第114条刑法第114条:消火妨害火災の際に消火用の物を隠匿・損壊し、または消火を妨害する罪です。火をつけた者でなくても、消火を邪魔すれば重く処罰されます。
- 第115条刑法第115条:差押え等に係る自己の物に関する特例自己の所有物でも、差押えや物権の負担、賃貸、配偶者居住権の設定、保険が付いている場合は、他人の物を焼損した例によります。
- 第116条刑法第116条:失火過失により火を出して目的物を焼損する罪です。放火罪と同じ客体を扱いながら、刑は50万円以下の罰金にとどまります。
- 第117条刑法第117条:激発物破裂火薬やボイラーなど激発すべき物を破裂させて目的物を損壊する罪です。1項は放火の例により、2項は過失の場合を失火の例により処断します。
- 第117条の2刑法第117条の2:業務上失火等失火・激発物破裂が業務上必要な注意を怠ったことによるとき、または重大な過失によるときの加重類型です。罰金だけの罪が、拘禁刑のある罪に変わります。
- 第118条刑法第118条:ガス漏出等及び同致死傷ガス・電気・蒸気を漏出、流出、遮断して危険を生じさせる罪です。2項は死傷の結果が生じた場合を、傷害の罪と比較して重い刑により処断します。
出水及び水利に関する罪
- 第119条刑法第119条:現住建造物等浸害出水させて現住建造物等を浸害する罪です。放火罪の108条と対をなしますが、客体と法定刑に微妙な違いがあります。
- 第120条刑法第120条:非現住建造物等浸害119条の物以外を浸害し、公共の危険を生じさせる罪です。2項は自己所有物の場合に、115条と同じ条件を持ち込みます。
- 第121条刑法第121条:水防妨害水害の際に水防用の物を隠匿・損壊し、または水防を妨害する罪です。消火妨害罪(114条)と条文の形も法定刑も一致します。
- 第122条刑法第122条:過失建造物等浸害過失により出水させて浸害する罪です。失火罪(116条)にあたる位置づけですが、業務上・重過失の加重規定が置かれていません。
- 第123条刑法第123条:水利妨害及び出水危険堤防の決壊や水門の破壊など、水利の妨害となるべき行為と、出水させるべき行為を処罰します。章の名前にある「水利」を担う条文です。
往来を妨害する罪
- 第124条刑法第124条:往来妨害及び同致死傷陸路・水路・橋を損壊または閉塞して往来の妨害を生じさせる罪です。2項は死傷の結果が生じた場合を、傷害の罪と比較して重い刑により処断します。
- 第125条刑法第125条:往来危険鉄道や標識を損壊するなどして汽車・電車の往来の危険を生じさせる罪です。「危険」の意義を示した最高裁判例があります。
- 第126条刑法第126条:汽車転覆等及び同致死現に人がいる汽車・電車を転覆・破壊し、艦船を転覆・沈没・破壊する罪です。3項は死亡の結果が生じた場合を死刑または無期拘禁刑で処断します。
- 第127条刑法第127条:往来危険による汽車転覆等往来危険罪を犯し、その結果として汽車の転覆等を生じさせた場合に、126条の例によることを定めます。125条と126条をつなぐ橋渡しの条文です。
- 第128条刑法第128条:未遂罪(往来を妨害する罪)往来を妨害する罪のうち、未遂が処罰される範囲を名指しで定めます。124条は1項のみ、126条は1項・2項のみという細かさが特徴です。
- 第129条刑法第129条:過失往来危険過失により汽車・電車・艦船の往来の危険を生じさせ、または転覆等をさせる罪です。2項は業務に従事する者による場合を加重します。
住居を侵す罪
秘密を侵す罪
あへん煙に関する罪
- 第136条刑法第136条:あへん煙輸入等あへん煙の輸入・製造・販売・販売目的所持を処罰します。第十四章の入口として、行為の段階ごとに条文が分かれる構造を確認します。
- 第137条刑法第137条:あへん煙吸食器具輸入等あへん煙を吸食する器具の輸入・製造・販売・販売目的所持を処罰します。136条と同じ4つの行為を並べながら、刑は一段軽く定められています。
- 第138条刑法第138条:税関職員によるあへん煙輸入等税関職員があへん煙や吸食器具を輸入し、またはその輸入を許した場合の加重類型です。第十四章で唯一、主体が限定された身分犯です。
- 第139条刑法第139条:あへん煙吸食及び場所提供あへん煙を吸食する罪と、吸食のため建物・室を提供して利益を図る罪です。吸う者より、場を提供して儲ける者のほうが重く処罰されます。
- 第140条刑法第140条:あへん煙等所持あへん煙および吸食器具の単純所持を処罰します。136条・137条の販売目的所持と比べることで、目的が刑をどれだけ動かすかが見えます。
- 第141条刑法第141条:未遂罪(あへん煙に関する罪)あへん煙に関する罪の未遂を、章まるごと処罰します。刑法における未遂処罰規定の4つの書き方を、ここで総まとめします。
飲料水に関する罪
- 第142条刑法第142条:浄水汚染人の飲料に供する浄水を汚染し、使用できないようにする罪です。第十五章の入口として、水道か否か・汚染か毒物混入かで条文が分かれる構造を確認します。
- 第143条刑法第143条:水道汚染水道により公衆に供給する飲料の浄水またはその水源を汚染する罪です。142条と同じ「汚染」でも、水道が絡むだけで刑が罰金から拘禁刑へ跳ね上がります。
- 第144条刑法第144条:浄水毒物等混入人の飲料に供する浄水に毒物その他人の健康を害すべき物を混入する罪です。142条と違い、使用不能という結果を条文が要求していません。
- 第145条刑法第145条:浄水汚染等致死傷142条から144条までの罪を犯し、人を死傷させた場合の規定です。「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」という刑法おなじみの書きぶりが現れます。
- 第146条刑法第146条:水道毒物等混入及び同致死水道により公衆に供給する浄水・水源に毒物等を混入する罪です。1つの項のなかに基本の刑と致死の刑を並べて書く、めずらしい構造をしています。
- 第147条刑法第147条:水道損壊及び閉塞公衆の飲料に供する浄水の水道を損壊・閉塞する罪です。水そのものではなく、水を届ける設備を守る点で章のなかでも位置づけが異なります。
通貨偽造の罪
- 第148条刑法第148条:通貨偽造及び行使等通用する貨幣・紙幣・銀行券の偽造と、偽造通貨の行使等を処罰します。無期または3年以上の拘禁刑という、財産犯とは比べものにならない重さが特徴です。
- 第149条刑法第149条:外国通貨偽造及び行使等日本国内に流通している外国の通貨の偽造等を処罰します。「日本国内に流通している」という限定が、この条文の射程を決めています。
- 第150条刑法第150条:偽造通貨等収得行使の目的で偽造・変造の通貨を収得する罪です。「知らずに受け取った後で気づいた場合」を定める152条と、必ず対で覚えます。
- 第151条刑法第151条:未遂罪(通貨偽造の罪)通貨偽造の罪のうち、未遂が処罰される範囲を「前三条」で示します。152条・153条が対象から外れている理由まで確かめます。
- 第152条刑法第152条:収得後知情行使等通貨を受け取った後に偽造と気づいて行使する罪です。額面価格の3倍以下の罰金という、刑法でここだけの刑の定め方をしています。
- 第153条刑法第153条:通貨偽造等準備偽造・変造の用に供する目的で器械や原料を準備する罪です。放火の予備罪(113条)と並ぶ、準備段階を捉える条文です。
文書偽造の罪
- 第154条刑法第154条:詔書偽造等御璽・国璽・御名を使用した詔書その他の文書を偽造・変造する罪です。文書偽造の章で最も重い法定刑が置かれています。
- 第155条刑法第155条:公文書偽造等公務所・公務員の作成すべき文書を偽造・変造する罪です。印章等の有無で刑が分かれ、写真コピーや作成権限をめぐる判例が蓄積しています。
- 第156条刑法第156条:虚偽公文書作成等公務員が職務に関し、行使の目的で虚偽の文書を作成する罪です。名義を偽らずに内容を偽る「無形偽造」を、公文書について正面から処罰します。
- 第157条刑法第157条:公正証書原本不実記載等公務員に虚偽の申立てをして、登記簿や戸籍簿に不実の記載をさせる罪です。司法書士が扱う登記実務と直接つながる条文です。
- 第158条刑法第158条:偽造公文書行使等154条から157条までの文書等を行使する罪です。「作った者と同一の刑に処する」という書き方で、行使を作成と同じ重さに据えています。
- 第159条刑法第159条:私文書偽造等権利・義務または事実証明に関する私文書を偽造・変造する罪です。名義人と作成者の食い違いをめぐる判例が、この条文の輪郭を作ってきました。
- 第160条刑法第160条:虚偽診断書等作成医師が公務所に提出すべき診断書等に虚偽の記載をする罪です。私文書について無形偽造を処罰する、刑法でただひとつの条文です。
- 第161条刑法第161条:偽造私文書等行使159条・160条の文書を行使する罪です。「前二条」という指し方が、対象を私文書に限る役割を果たしています。
- 第161条の2刑法第161条の2:電磁的記録不正作出及び供用人の事務処理を誤らせる目的で電磁的記録を不正に作る罪です。公務所等に係る記録は加重され、供用と未遂まで4項にわたって定められています。
有価証券偽造の罪
支払用カード電磁的記録に関する罪
- 第163条の2刑法第163条の2:支払用カード電磁的記録不正作出等クレジットカードや預貯金引出用カードを構成する電磁的記録を不正に作る罪です。作出・供用・譲渡し等の3項が同じ刑で並びます。
- 第163条の3刑法第163条の3:不正電磁的記録カード所持不正に作られた電磁的記録を構成部分とするカードを所持する罪です。所持それ自体を捉える、刑法では数の少ない類型です。
- 第163条の4刑法第163条の4:支払用カード電磁的記録不正作出準備カードの電磁的記録の情報を取得・提供・保管する行為と、器械・原料の準備を処罰します。153条の準備罪を、カードの世界に持ち込んだ条文です。
- 第163条の5刑法第163条の5:未遂罪(支払用カード電磁的記録に関する罪)163条の2と163条の4第1項の未遂を処罰します。所持罪と準備罪の一部が外れている点を、条文の文言から確かめます。
印章偽造の罪
- 第164条刑法第164条:御璽偽造及び不正使用等御璽・国璽・御名そのものを偽造し、または不正に使用する罪です。第十九章は、この最も重い類型から始まります。
- 第165条刑法第165条:公印偽造及び不正使用等公務所・公務員の印章等および電磁的記録印章等を偽造し、または不正に使用する罪です。155条で定義された語が、そのまま使われています。
- 第166条刑法第166条:公記号偽造及び不正使用等公務所の記号および電磁的記録記号を偽造し、または不正に使用する罪です。165条の「印章」と客体を分けている点が急所です。
- 第167条刑法第167条:私印偽造及び不正使用等他人の印章等・電磁的記録印章等を偽造し、または不正に使用する罪です。私文書偽造罪と組み合わせて問われることの多い条文です。
- 第168条刑法第168条:未遂罪(印章偽造の罪)164条から167条までの各2項の未遂だけを処罰します。偽造そのもの(1項)が対象から外れている、めずらしい指し方です。
不正指令電磁的記録に関する罪
偽証の罪
虚偽告訴の罪
わいせつ、不同意性交等及び重婚の罪
- 第174条刑法第174条:公然わいせつ公然とわいせつな行為をする罪です。拘禁刑・罰金・拘留・科料の4つが選択刑として並ぶ、刑法でも数少ない条文です。
- 第175条刑法第175条:わいせつ物頒布等わいせつな物の頒布・陳列と、電気通信の送信による電磁的記録の頒布を処罰します。「頒布」の意義や、わいせつ性の判断方法を示した最高裁判例があります。
- 第176条刑法第176条:不同意わいせつ同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態を8つの号で具体化し、その状態でのわいせつな行為を処罰します。令和5年改正で全面的に書き改められた条文です。
- 第177条刑法第177条:不同意性交等176条1項各号の要件をそのまま引き継ぎ、行為を「性交等」に置き換えた条文です。「性交等」の意味は、この条文自身が定義しています。
- 第178条刑法第178条:削除刑法178条は現行法で「削除」です。かつてここにあった規定が176条・177条に取り込まれた経緯を、条文の構造から確かめます。
- 第179条刑法第179条:監護者わいせつ及び監護者性交等18歳未満の者を現に監護する者が、その影響力に乗じて行為をする罪です。176条各号の要件を満たさなくても成立する点に意味があります。
- 第180条刑法第180条:未遂罪(わいせつ、不同意性交等の罪)176条・177条・179条の罪の未遂を処罰します。同じ章にある174条・175条・182条以下が外れている点を確かめます。
- 第181条刑法第181条:不同意わいせつ等致死傷176条系・177条系の罪により人を死傷させた場合の規定です。未遂罪を犯した場合も明文で取り込み、下限を3年と6年に分けています。
- 第182条刑法第182条:十六歳未満の者に対する面会要求等わいせつの目的で16歳未満の者に面会を要求する行為などを処罰します。1項・2項・3項がそれぞれ別の場面を受け持つ、三段構えの条文です。
- 第183条刑法第183条:淫行勧誘営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させる罪です。明治40年の制定当時の言葉づかいがそのまま残っている条文のひとつです。
- 第184条刑法第184条:重婚配偶者のある者が重ねて婚姻をする罪です。民法732条が定める重婚の禁止と、刑法が対になっていることを確かめます。
賭博及び富くじに関する罪
礼拝所及び墳墓に関する罪
- 第188条刑法第188条:礼拝所不敬及び説教等妨害礼拝所に対する公然の不敬行為と、説教・礼拝・葬式の妨害を処罰します。1項が「公然と」を要求し、2項が要求していない点が対比の要です。
- 第189条刑法第189条:墳墓発掘墳墓を発掘する罪です。それ自体は2年以下の拘禁刑ですが、191条と組み合わさると刑が大きく変わります。
- 第190条刑法第190条:死体損壊等死体・遺骨・遺髪・棺に納めてある物を損壊・遺棄・領得する罪です。「遺棄」の意義を正面から定義した令和5年の最高裁判例があります。
- 第191条刑法第191条:墳墓発掘死体損壊等墳墓発掘罪を犯して死体等を損壊・遺棄・領得した場合の規定です。189条と190条を1つにまとめる受け皿の条文です。
- 第192条刑法第192条:変死者密葬検視を経ないで変死者を葬る罪です。10万円以下の罰金または科料という、刑法第2編でも最も軽い部類の法定刑が定められています。
汚職の罪
- 第193条刑法第193条:公務員職権濫用公務員が職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害する罪です。「職権の濫用」の意義を示した最高裁判例があります。
- 第194条刑法第194条:特別公務員職権濫用裁判・検察・警察の職務を行う者が職権を濫用して人を逮捕・監禁する罪です。193条・220条と刑を比べると、この条文の重さが見えてきます。
- 第195条刑法第195条:特別公務員暴行陵虐特別公務員が職務を行うに当たり、被告人・被疑者らに暴行・陵辱・加虐の行為をする罪です。2項は看守者・護送者も同じ扱いとします。
- 第196条刑法第196条:特別公務員職権濫用等致死傷194条・195条の罪により人を死傷させた場合の規定です。「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」という刑法おなじみの書きぶりです。
- 第197条刑法第197条:収賄、受託収賄及び事前収賄公務員が職務に関し賄賂を収受等する罪です。請託の有無で刑が分かれ、「職務に関し」の広がりを示した最高裁判例があります。
- 第197条の2刑法第197条の2:第三者供賄公務員が請託を受けて、第三者に賄賂を供与させる罪です。自分では受け取らない形を捉えるために置かれた条文です。
- 第197条の3刑法第197条の3:加重収賄及び事後収賄賄賂を受けて実際に不正な行為をした場合の加重類型と、退職後に受け取る事後収賄を定めます。1年以上の有期拘禁刑は収賄関係で最も重い刑です。
- 第197条の4刑法第197条の4:あっせん収賄他の公務員に不正な行為をさせるあっせんの報酬として賄賂を収受する罪です。自分の職務を対価としない点で、他の収賄罪と決定的に異なります。
- 第197条の5刑法第197条の5:没収及び追徴収受された賄賂の必要的没収と追徴を定めます。刑法19条の任意的没収とは異なり、「没収する」と言い切っている点が急所です。
- 第198条刑法第198条:贈賄賄賂を供与し、またはその申込み・約束をする罪です。収賄罪と対になる条文でありながら、刑には大きな差があります。
殺人の罪
- 第199条刑法第199条:殺人人を殺した者を死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑に処します。条文はわずか一文ですが、刑法各論の中心に位置する条文です。
- 第200条刑法第200条:削除(旧・尊属殺)刑法200条は現行法で「削除」です。かつてここにあった尊属殺の規定が憲法14条1項に違反するとされた大法廷判決を確かめます。
- 第201条刑法第201条:予備(殺人の罪)殺人罪を犯す目的での予備を処罰します。放火の予備罪(113条)とほぼ同じ文で、ただし書まで共通しています。
- 第202条刑法第202条:自殺関与及び同意殺人自殺の教唆・幇助と、嘱託・承諾を得た殺人を、同じ刑で処罰します。殺人罪と比べたときの刑の落差が、この条文の意味を語ります。
- 第203条刑法第203条:未遂罪(殺人の罪)殺人罪と自殺関与・同意殺人罪の未遂を処罰します。予備を罰する201条が199条のみを指していたのと、範囲が異なります。
傷害の罪
- 第204条刑法第204条:傷害人の身体を傷害する罪です。15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金という、刑法でも屈指の幅を持つ法定刑が定められています。
- 第205条刑法第205条:傷害致死身体を傷害し、よって人を死亡させる罪です。3年以上の有期拘禁刑で、殺人罪との違いは「殺す意思があったか」に尽きます。
- 第206条刑法第206条:現場助勢傷害・傷害致死の現場で勢いを助ける罪です。条文が「自ら人を傷害しなくても」と明記している点に、この条文の存在意義があります。
- 第207条刑法第207条:同時傷害の特例2人以上の暴行で傷害が生じ、誰が生じさせたか分からないときに共犯の例によるとする規定です。適用の限界を示した令和2年の最高裁決定があります。
- 第208条刑法第208条:暴行暴行を加えたが人を傷害するに至らなかった場合を処罰します。傷害罪を前提に、その手前を拾うという書き方が特徴です。
- 第208条の2刑法第208条の2:凶器準備集合及び結集凶器を準備して集合する罪と、人を集合させる罪です。まだ暴行も傷害も起きていない段階を捉える点で、107条の多衆不解散罪と並びます。
過失傷害の罪
堕胎の罪
- 第212条刑法第212条:堕胎妊娠中の女子自身による堕胎を処罰します。第二十九章の出発点として、以降の条文が誰の行為を対象とするかを確かめます。
- 第213条刑法第213条:同意堕胎及び同致死傷女子の嘱託を受け、または承諾を得て堕胎させる罪です。1つの項のなかに基本の刑と致死傷の刑を並べる、146条と同じ構造です。
- 第214条刑法第214条:業務上堕胎及び同致死傷医師・助産師・薬剤師・医薬品販売業者による同意堕胎の加重類型です。134条1項の秘密漏示罪と重なる顔ぶれが列挙されています。
- 第215条刑法第215条:不同意堕胎女子の嘱託も承諾もないまま堕胎させる罪です。第二十九章で唯一、未遂を罰する規定が置かれています。
- 第216条刑法第216条:不同意堕胎致死傷不同意堕胎罪を犯して女子を死傷させた場合の規定です。213条・214条が条文の中に致死傷を書き込んでいたのと、置き場所が異なります。
遺棄の罪
逮捕及び監禁の罪
脅迫の罪
略取、誘拐及び人身売買の罪
- 第224条刑法第224条:未成年者略取及び誘拐未成年者を略取・誘拐する罪です。目的を要件としない基本形として、225条以下の目的犯と対比されます。
- 第225条刑法第225条:営利目的等略取及び誘拐営利・わいせつ・結婚・加害の4つの目的による略取・誘拐を処罰します。客体を未成年者に限らない代わりに、目的を要件としています。
- 第225条の2刑法第225条の2:身の代金目的略取等安否を憂慮する者の憂慮に乗じて財物を交付させる目的での略取・誘拐と、その後の財物要求を処罰します。章のなかで最も重い条文です。
- 第226条刑法第226条:所在国外移送目的略取及び誘拐所在国外に移送する目的での略取・誘拐を処罰します。226条の3の現に移送する罪と、同じ刑で並びます。
- 第226条の2刑法第226条の2:人身売買人の買受け・売渡しを、相手の年齢や目的に応じて5つの項に分けて処罰します。買う側と売る側の扱いの違いが読みどころです。
- 第226条の3刑法第226条の3:被略取者等所在国外移送略取・誘拐・売買された者を現に所在国外へ移送する罪です。目的の段階を捉える226条・226条の2第5項と同じ刑で並びます。
- 第227条刑法第227条:被略取者引渡し等略取・誘拐・売買された者を引き渡し、収受するなどの罪です。犯人を幇助する目的か、営利等の目的かで、4つの項が使い分けられます。
- 第228条刑法第228条:未遂罪(略取、誘拐及び人身売買の罪)第三十三章の未遂処罰の範囲を、条文と項を細かく名指しして定めます。227条4項の「前段」まで指定する精密さが特徴です。
- 第228条の2刑法第228条の2:解放による刑の減軽公訴提起前に略取された者を安全な場所に解放したときの必要的減軽です。「減軽する」と言い切っている点が、これまでの任意的減免と決定的に違います。
- 第228条の3刑法第228条の3:身の代金目的略取等予備身の代金目的略取罪を犯す目的での予備を処罰します。ただし書の「減軽し、又は免除する」は、刑法でも数少ない必要的減免です。
- 第229条刑法第229条:親告罪(略取、誘拐及び人身売買の罪)第三十三章のうち、未成年者略取罪とその幇助目的の引渡し等だけを親告罪とします。章全体を親告罪とする232条とは対照的です。
名誉に対する罪
- 第230条刑法第230条:名誉毀損公然と事実を摘示して人の名誉を毀損する罪です。「その事実の有無にかかわらず」という一句が、次の230条の2への橋渡しになります。
- 第230条の2刑法第230条の2:公共の利害に関する場合の特例公共の利害に関する事実について、真実の証明があれば罰しないとする特例です。インターネット上の表現についても判断した最高裁決定があります。
- 第231条刑法第231条:侮辱事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱する罪です。「事実を摘示しなくても」の一句が、230条との境目を示しています。
- 第232条刑法第232条:親告罪(名誉に対する罪)名誉に対する罪を章まるごと親告罪とします。2項は、天皇や外国の元首について誰が代わって告訴するかを定める特別な規定です。
信用及び業務に対する罪
窃盗及び強盗の罪
- 第235条刑法第235条:窃盗他人の財物を窃取する罪です。財産犯の出発点であり、242条・244条・245条という3つの特則がこの条文を支えます。
- 第235条の2刑法第235条の2:不動産侵奪他人の不動産を侵奪する罪です。窃盗罪と同じ10年以下の拘禁刑ですが、罰金が選択刑に含まれていない点が異なります。
- 第236条刑法第236条:強盗暴行・脅迫を用いて財物を強取する罪です。2項が財産上不法の利益を対象とし、いわゆる二項犯罪の基本形を示します。
- 第237条刑法第237条:強盗予備強盗の罪を犯す目的での予備を処罰します。放火・殺人の予備罪と違い、刑を免除できるただし書が置かれていません。
- 第238条刑法第238条:事後強盗窃盗が3つの目的のいずれかで暴行・脅迫をしたときに強盗として論じます。「窃盗の機会の継続中」の判断を示した最高裁決定があります。
- 第239条刑法第239条:昏酔強盗人を昏酔させて財物を盗取する罪です。暴行・脅迫を用いないにもかかわらず、強盗として論じられます。
- 第240条刑法第240条:強盗致死傷強盗が人を負傷・死亡させた場合の規定です。負傷で無期または6年以上、死亡で死刑または無期拘禁刑という重い法定刑が定められています。
- 第241条刑法第241条:強盗・不同意性交等及び同致死強盗の罪と不同意性交等の罪の双方を犯した場合の規定です。どちらを先に犯しても成立し、いずれも未遂であれば刑を減軽できる余地が残されています。
- 第242条刑法第242条:他人の占有等に係る自己の財物自己の財物でも、他人が占有し、または公務所の命令により他人が看守するものは他人の財物とみなします。115条・120条2項と同じ発想の特則です。
- 第243条刑法第243条:未遂罪(窃盗及び強盗の罪)窃盗・不動産侵奪・強盗・事後強盗・昏酔強盗・強盗致死傷と241条3項の未遂を処罰します。237条と241条1項が外れている点が急所です。
- 第244条刑法第244条:親族間の犯罪に関する特例いわゆる親族相盗例です。配偶者等との間では刑を免除し、その他の親族との間は親告罪とします。内縁の配偶者について判断した最高裁決定があります。
- 第245条刑法第245条:電気窃盗及び強盗の罪について、電気を財物とみなす条文です。251条により詐欺及び恐喝の罪にも準用され、財産犯全体に効きます。
詐欺及び恐喝の罪
- 第246条刑法第246条:詐欺人を欺いて財物を交付させる罪です。236条・249条と同じ二段構えで、2項が財産上不法の利益を対象とします。
- 第246条の2刑法第246条の2:電子計算機使用詐欺電子計算機に虚偽の情報等を与えて財産上不法の利益を得る罪です。クレジットカード情報の冒用について判断した最高裁決定があります。
- 第247条刑法第247条:背任他人のために事務を処理する者が任務に背いて本人に財産上の損害を加える罪です。成立を認めるには合理的な疑いが残るとされた最高裁判例があります。
- 第248条刑法第248条:準詐欺未成年者の知慮浅薄や人の心神耗弱に乗じて財物を交付させる罪です。欺く行為を要件としない点で詐欺罪と異なります。
- 第249条刑法第249条:恐喝人を恐喝して財物を交付させる罪です。強盗罪と同じく暴行・脅迫がからみますが、相手が自ら交付する点で区別されます。
- 第250条刑法第250条:未遂罪(詐欺及び恐喝の罪)詐欺及び恐喝の罪の未遂を、章まるごと処罰します。背任罪や準詐欺罪の未遂も対象に含まれる点が特徴です。
- 第251条刑法第251条:準用(詐欺及び恐喝の罪)242条・244条・245条を詐欺及び恐喝の罪に準用します。244条だけを準用する255条と比べることで、準用の範囲の違いが見えてきます。
横領の罪
- 第252条刑法第252条:横領自己の占有する他人の物を横領する罪です。名義を借りて登記された第三者による横領について判断した令和4年の最高裁判例があります。
- 第253条刑法第253条:業務上横領業務上自己の占有する他人の物を横領する罪です。単純横領罪の2倍の上限が定められた、身分による加重の典型です。
- 第254条刑法第254条:遺失物等横領占有を離れた他人の物を横領する罪です。1年以下の拘禁刑等と、横領の罪のなかで最も軽い類型になっています。
- 第255条刑法第255条:準用(横領の罪)244条だけを横領の罪に準用します。3つの規定を準用する251条と並べると、準用の範囲がなぜ違うのかが見えてきます。
盗品等に関する罪
毀棄及び隠匿の罪
- 第258条刑法第258条:公用文書等毀棄公務所の用に供する文書・電磁的記録を毀棄する罪です。3月以上7年以下の拘禁刑という、第四十章で最も重い法定刑が定められています。
- 第259条刑法第259条:私用文書等毀棄権利義務に関する他人の文書・電磁的記録を毀棄する罪です。159条と同じ「権利、義務」という限定が客体にかかります。
- 第260条刑法第260条:建造物等損壊及び同致死傷他人の建造物・艦船を損壊する罪です。外壁への落書きが「損壊」に当たるとされた最高裁決定があります。
- 第261条刑法第261条:器物損壊等258条から260条までに当たらない他人の物を損壊・傷害する罪です。物に対して「傷害」という語を使う、刑法でここだけの条文です。
- 第262条刑法第262条:自己の物の損壊等自己の物でも、差押えや物権の負担、賃貸、配偶者居住権の設定があるものを損壊すれば前三条の例によります。115条とほぼ同じ列挙です。
- 第262条の2刑法第262条の2:境界損壊境界標を損壊するなどして土地の境界を認識できないようにする罪です。物の損壊ではなく、境界が分からなくなるという結果を捉えます。
- 第263条刑法第263条:信書隠匿他人の信書を隠匿する罪です。第四十章の名前にある「隠匿」を一手に引き受ける、章のなかで唯一の条文です。
- 第264条刑法第264条:親告罪(毀棄及び隠匿の罪)259条・261条・263条を親告罪とする、刑法本則の最終条です。第1条から第264条までの旅の締めくくりになります。