民法第165条・総則
民法第165条:所有権以外の財産権への準用
占有の中止等による中断を定めた164条を、所有権以外の財産権の取得時効に準用する一文です。第二節「取得時効」を締めくくります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
164条は「162条の規定による時効は」と書いてあったよね。所有権以外の財産権はどうなるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこを埋めるのが民法165条じゃ。たった一文でな。準用という技を使って、書き写す手間を省いておる。
条文の内容
前条の規定は、第百六十三条の場合について準用する。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 準用される規定 | 前条(=民法164条) |
| 準用される場面 | 民法163条の場合(所有権以外の財産権の取得時効) |
ほどいて読むと、次のようになります。
民法163条の規定による時効は、その財産権を行使する者が任意にその行使を中止し、又は他人によってその行使を妨げられたとき(に相当する場合)は、中断する。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「準用」って、そのまま当てはめるんじゃなくて、読み替えるんだよね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが「適用」との違いじゃな。164条は「占有」を前提に書かれておる。じゃが163条が扱うのは行使じゃ。場面に合わせて読み替えて用いる——それが準用でな。
ただし、どう読み替えるかまでは条文に書かれておらぬ。上に示したのは、条文の構造から素直に導ける形にすぎぬ。断定はせぬことじゃ。
第二節「取得時効」の全体像
| 条文 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| 民法162条 | 所有権の取得時効(20年/10年) | 所有権 |
| 民法163条 | 所有権以外の財産権の取得時効 | 所有権以外の財産権 |
| 民法164条 | 占有の中止等による中断 | 民法162条による時効 |
| 民法165条 | 民法164条の準用 | 民法163条の場合 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
162条と163条、164条と165条。2つずつ、きれいに対応してる!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
みごとな見取り図じゃ。所有権について定め、次に所有権以外へ広げる——この繰り返しでできておる。条文の並びには、こうした型があるのじゃな。
準用が使われている他の場面
民法には、同じ手法があちこちで使われています。
| 条文 | 準用の形 |
|---|---|
| 民法99条2項 | 1項の規定を、第三者が代理人に対してした意思表示に準用 |
| 民法110条 | 民法109条1項本文を、代理人が権限外の行為をした場合に準用 |
| 民法118条 | 民法113条から117条までを、単独行為の無権代理に準用 |
| 民法953条 | 民法27条から29条までを、相続財産の清算人に準用 |
| 民法165条 | 民法164条を、民法163条の場合に準用 |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
同じことを二度書かず、別の場面へ持っていく。条文を短く保つための工夫じゃ。じゃが読む側は、どこをどう読み替えるのかを自分で考えねばならぬ。準用の条文に出会ったら、必ず元の条文を開くのじゃぞ。
資格別の演習
民法164条の規定は、民法163条の場合について準用される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法165条がそのとおり定めています。所有権以外の財産権の取得時効についても、占有の中止等に相当する事由があれば中断します。
民法165条は、民法162条の場合について民法164条を準用する旨を定めている。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法164条自体が「第百六十二条の規定による時効は」と定めており、民法162条には直接適用されます。民法165条が準用の対象としているのは「第百六十三条の場合」です。
第二節「取得時効」は、所有権について定める条文と、所有権以外の財産権について定める条文とが対をなす構成をとっている。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法162条(所有権の取得時効)に対して民法163条(所有権以外の財産権の取得時効)が、民法164条(民法162条による時効の中断)に対して民法165条(民法163条の場合への準用)が、それぞれ対応しています。