民法第91条・総則
民法第91条:任意規定と異なる意思表示
法令中の「公の秩序に関しない規定」と異なる意思を表示したときは、その意思に従います。任意規定と強行規定という区別を、条文の言葉から読み取る条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
民法に書いてあることって、絶対に守らなきゃいけないんだよね? 契約で「民法とは違うやり方にします」なんて言えるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
言える場合があるのじゃ。それを認めておるのが民法91条じゃ。ただし条件がついておる。**「公の秩序に関しない規定」**と異なる場合に限られる、とな。
条文の内容
法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 誰が | 法律行為法律行為契約や遺言のように、意思表示を要素として、その意思のとおりの法律効果を生じさせる行為のこと。用語ページを見る →の当事者が |
| 何と異なる | 法令中の公の秩序に関しない規定 |
| 何をした | 異なる意思を表示した |
| 効果 | その意思に従う |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「公の秩序に関しない規定」……ずいぶん回りくどい言い方だね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文の言葉じゃからのう。これを裏返せば、公の秩序に関する規定は、当事者の意思では動かせぬということになる。前者を任意規定任意規定当事者が異なる合意をすればそちらが優先する規定。民法91条にいう「公の秩序に関しない規定」がこれにあたります。用語ページを見る →、後者を強行規定強行規定当事者の合意では変えられない規定。民法91条が「公の秩序に関しない規定」と限定していることの裏返しで、公の秩序に関する規定がこれにあたります。用語ページを見る →と呼び分けるのが通例じゃ。
任意規定と強行規定
| 任意規定任意規定当事者が異なる合意をすればそちらが優先する規定。民法91条にいう「公の秩序に関しない規定」がこれにあたります。用語ページを見る → | 強行規定強行規定当事者の合意では変えられない規定。民法91条が「公の秩序に関しない規定」と限定していることの裏返しで、公の秩序に関する規定がこれにあたります。用語ページを見る → | |
|---|---|---|
| 条文の言い方 | 公の秩序に関しない規定 | 公の秩序に関する規定 |
| 当事者の合意で | 変えられる(民法91条) | 変えられない |
| 民法91条の適用 | あり | なし |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
でも、どの条文が「公の秩序に関しない規定」なのか、どうやって見分けるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
痛いところを突くのう。民法91条は、その振り分けの基準を書いておらぬ。「公の秩序に関しない規定」という言葉があるだけじゃ。
ただし、条文自身が手がかりを置いていることはある。たとえば民法404条1項は「別段の意思表示がないときは」と書いておる。当事者が別段の定めをすればそちらが優先する、と条文が自ら述べておるわけじゃな。
条文の中には、当事者の別段の定めを予定した書きぶりのものがあります。
| 条文 | 書きぶり |
|---|---|
| 民法404条1項 | 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による |
| 民法484条1項 | 弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、(略)それぞれしなければならない |
| 民法370条 | (抵当権の効力が及ぶ範囲について)設定行為に別段の定めがある場合(略)は、この限りでない |
民法90条と並べて読む
| 条文 | 当事者の意思に対する態度 |
|---|---|
| 民法90条 | 公序良俗公序良俗「公の秩序又は善良の風俗」をまとめた呼び方。これに反する法律行為は無効です(民法90条)。用語ページを見る →に反する法律行為は無効 |
| 民法91条 | 公の秩序に関しない規定と異なる意思なら、その意思に従う |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
同じ「公の秩序」という語が、90条と91条の両方に出てくるじゃろう。90条が越えてはならぬ外枠を示し、91条がその内側の自由を保障する——対になっておるのじゃな。
そして次の民法92条は、意思表示ではなく慣習について同じ問題を扱う。第一節の3か条は、こうして繋がっておる。
資格別の演習
法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法91条がそのとおり定めています。適用の前提は、その規定が「公の秩序に関しない規定」であることです。
民法91条によれば、当事者は、法令中のいかなる規定とも異なる内容を合意することができる。
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解答:×
誤りです。民法91条が対象とするのは「法令中の公の秩序に関しない規定」に限られます。公の秩序に関する規定(強行規定強行規定当事者の合意では変えられない規定。民法91条が「公の秩序に関しない規定」と限定していることの裏返しで、公の秩序に関する規定がこれにあたります。用語ページを見る →)と異なる合意については、同条は適用されません。
民法91条は、どの規定が公の秩序に関しない規定にあたるかを、条文上具体的に列挙している。
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解答:×
誤りです。民法91条は「法令中の公の秩序に関しない規定」と述べるにとどまり、その振り分けの基準や具体的な列挙を置いていません。もっとも、民法404条1項や民法484条1項のように「別段の意思表示がないときは」と、当事者の別段の定めを予定した書きぶりをとる条文があります。