刑法第204条・傷害の罪
刑法第204条:傷害
人の身体を傷害する罪です。15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金という、刑法でも屈指の幅を持つ法定刑が定められています。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
15年以下の拘禁刑か、50万円以下の罰金——幅がすごい。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
傷害といっても、かすり傷から生死の境まであるからのう。ひとつの条文で受け止めるために、これだけの幅が要るわけじゃ。
条文の内容
人の身体を傷害した者は、十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
要件を分解する
| 要件 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 客体 | 人の身体 |
| 行為 | 傷害した |
| 刑 | 15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
暴行暴行刑法208条は、暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときを処罰します。傷害の結果が生じれば204条の傷害罪になります。用語ページを見る →罪との関係
刑法208条は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは」と定めています。つまり、暴行から傷害の結果が生じれば204条、生じなければ208条です。
| 結果 | 条文 | 刑 |
|---|---|---|
| 傷害が生じた | 204条 | 15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 傷害に至らなかった | 208条 | 2年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
208条は「傷害するに至らなかったとき」って書き方なんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが面白いところでな。208条は204条を前提に、その手前を拾う書き方をしておる。条文の順序と、論理の順序が逆になっておるのじゃ。
傷害の罪の全体像
| 条文 | 罪 | 刑 |
|---|---|---|
| 204条 | 傷害傷害人の身体を傷害すること(刑法204条)。15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金で、拘禁刑と罰金の幅がきわめて広い条文です。用語ページを見る → | 15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 205条 | 傷害致死傷害致死身体を傷害し、よって人を死亡させること(刑法205条)。3年以上の有期拘禁刑です。用語ページを見る → | 3年以上の有期拘禁刑 |
| 206条 | 現場助勢現場助勢傷害・傷害致死の犯罪が行われるに当たり、現場において勢いを助けること(刑法206条)。条文は「自ら人を傷害しなくても」と明記しています。用語ページを見る → | 1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料 |
| 207条 | 同時傷害の特例同時傷害の特例2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合に、傷害の軽重や傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても共犯の例によるという規定(刑法207条)。最高裁は、後行者に責任を問い得るのは、その暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有するときに限られるとしました。用語ページを見る → | (共犯の例による) |
| 208条 | 暴行 | 2年以下の拘禁刑等 |
| 208条の2 | 凶器準備集合凶器準備集合2人以上の者が他人の生命・身体・財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合に、凶器を準備しまたはその準備があることを知って集合すること(刑法208条の2第1項)。人を集合させた者は同条2項で重く処罰されます。用語ページを見る →及び結集 | 2年以下/3年以下の拘禁刑 |
「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」の比較対象
これまで何度も現れたこの言い回しの「傷害の罪」とは、204条・205条を指します。204条の上限が15年と高いため、この比較は実際に意味を持ちます。
| 条文 | 前提となる罪 |
|---|---|
| 刑法118条2項 | ガス漏出等 |
| 刑法124条2項 | 往来妨害 |
| 刑法145条 | 浄水汚染等 |
| 刑法196条 | 特別公務員職権濫用等 |
| 刑法216条 | 不同意堕胎 |
| 刑法219条 | 遺棄等 |
| 刑法221条 | 逮捕及び監禁 |
資格別の演習
傷害罪の法定刑には、罰金が選択刑として含まれている。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法204条は「15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」と定めています。
暴行を加えたが人を傷害するに至らなかったときは、刑法208条の暴行罪が成立する。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。同条は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは」と定めています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
次の205条は、傷害から死の結果が生じた場合じゃ。殺人罪との違いを意識して読むのじゃぞ。