刑法第130条・住居を侵す罪
刑法第130条:住居侵入等
正当な理由なく住居等に侵入する罪と、退去要求に応じない不退去罪を1か条で定めます。「人の看守する建造物」の意義など、判例の蓄積が厚い条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
1つの条文に、入る罪と出ていかない罪が両方入ってる。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうじゃ。前段が住居侵入住居侵入正当な理由がないのに、人の住居や人の看守する邸宅・建造物・艦船に侵入すること(刑法130条前段)。用語ページを見る →、後段が不退去不退去要求を受けたにもかかわらず、人の住居や人の看守する邸宅・建造物・艦船から退去しないこと(刑法130条後段)。用語ページを見る →。守るものは同じでも、行為の向きが逆じゃな。
条文の内容
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
前段と後段
| 部分 | 行為 |
|---|---|
| 前段 | 正当な理由がないのに侵入した |
| 後段 | 要求を受けたにもかかわらず退去しなかった |
客体の4つ
| 客体 | 看守の要否 |
|---|---|
| 人の住居 | 条文は看守を要求していない |
| 人の看守する邸宅邸宅刑法130条が住居・建造物・艦船と並べて掲げる客体の一つ。条文は「人の看守する邸宅」としており、看守されていることが要件になります。用語ページを見る → | 看守が必要 |
| 人の看守する建造物 | 看守が必要 |
| 人の看守する艦船 | 看守が必要 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
住居だけ「人の看守する」がかかってないんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文の並びをよく見よ。「人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船」——「人の看守する」は邸宅以下にかかると読める書き方じゃな。
判例——「人の看守する建造物」の意義
最判昭和59年12月18日は、刑法130条にいう「人ノ看守スル建造物」とは、人が事実上管理・支配する建造物をいうとしました。
同判決は、構造上駅舎の一部で鉄道利用客のための通路として使用されており、駅の財産管理権を有する駅長が現に駅構内への出入りを制限し、または禁止する権限を行使している駅出入口階段付近が、人の看守する建造物人の看守する建造物刑法130条の客体の一つ。最高裁は、これを人が事実上管理・支配する建造物をいうとしました。用語ページを見る →にあたるとしています。
また、駅係員の許諾を受けないで駅構内でビラを配布し演説等を繰り返したうえ、駅管理者からの退去要求を無視して約20分間にわたり駅構内に滞留した行為に刑法130条後段を適用して処罰しても、憲法21条1項に違反しないとしました。
判例——マンションの共用部分
最判平成21年11月30日は、分譲マンションの各住戸のドアポストにビラ等を投かんする目的で、集合ポストと掲示板が設置された玄関ホールの奥にあるドアを開けるなどして7階から3階までの廊下等の共用部分に立ち入った行為について、同マンションの構造および管理状況、そのような目的での立入りを禁じたはり紙が玄関ホールの掲示板にちょう付されていた状況などの事実関係の下では、管理組合の意思に反するものであり、刑法130条前段の罪が成立するとしました。
同判決は、この行為を刑法130条前段の罪に問うことが憲法21条1項に違反しないともしています。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
管理組合の意思に反するかどうか、が決め手なんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
最高裁は、構造・管理状況・はり紙の状況といった事実の積み重ねからそれを認定しておる。条文の「侵入」という一語の内実は、こうして事案ごとに詰められていくのじゃ。
未遂
第132条により、130条の罪の未遂は罰せられます。
資格別の演習
要求を受けたにもかかわらず人の住居から退去しなかった者は、刑法130条により処罰される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。同条後段が不退去罪を定めています。
刑法130条にいう「人の看守する建造物」とは、人が事実上管理・支配する建造物をいう。
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解答:◯
正しい記述です。最判昭和59年12月18日の判断です。
分譲マンションの各住戸にビラ等を投かんする目的で、管理組合の意思に反して共用部分に立ち入った行為につき、刑法130条前段の罪が成立するとされた事例がある。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。最判平成21年11月30日の事案です。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
次の131条は、条文そのものが「削除」じゃ。空白にも意味があるぞ。