刑法第96条の2・公務の執行を妨害する罪
刑法第96条の2:強制執行妨害目的財産損壊等
強制執行を妨害する目的で、財産の隠匿・損壊・譲渡の仮装などをする罪です。3つの号の書き分けと、相手方も処罰される後段を確認します。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
差押えの前に財産を隠しちゃえば、逃げ切れるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうはさせぬ、というのが第96条の2じゃ。しかも目的が要件に入っておる。「強制執行を妨害する目的で」——ここが出発点じゃな。
条文の内容
強制執行を妨害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、3年以下の拘禁刑もしくは250万円以下の罰金に処し、またはこれを併科します。情を知って、第3号に規定する譲渡または権利の設定の相手方となった者も、同様とされます。
| 号 | 行為 |
|---|---|
| 1号 | 強制執行を受け、もしくは受けるべき財産を隠匿し、損壊し、もしくはその譲渡を仮装し、又は債務の負担を仮装する行為 |
| 2号 | 強制執行を受け、または受けるべき財産について、その現状を改変して、価格を減損し、又は強制執行の費用を増大させる行為 |
| 3号 | 金銭執行を受けるべき財産について、無償その他の不利益な条件で、譲渡をし、又は権利の設定をする行為 |
3つの号の性格
| 号 | ねらい |
|---|---|
| 1号 | 財産を見えなくする・なくす・偽装する |
| 2号 | 財産の価値を下げる・手続の費用を増やす |
| 3号 | 金銭執行金銭執行金銭の支払を目的とする債権について行われる強制執行。刑法96条の2第3号は、金銭執行を受けるべき財産について無償その他の不利益な条件で譲渡や権利の設定をする行為を処罰します。用語ページを見る →の対象財産を不利益な条件で外に出す |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
3号だけ「金銭執行」って書いてある!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よく見つけたのう。1号・2号は「強制執行を受け、若しくは受けるべき財産」と広く書いておるが、3号は金銭執行に絞っておる。そしてこの3号だけが、次に述べる相手方の処罰につながるのじゃ。
相手方も処罰される
条文の後段は、「情を知って、第三号に規定する譲渡又は権利の設定の相手方となった者も、同様とする」としています。
| 対象 | 条件 |
|---|---|
| 行為者 | 強制執行を妨害する目的 |
| 3号の相手方 | 情を知って相手方となったこと |
1号・2号の行為については、この後段は及びません。
刑の形
第96条以下の条文は、「拘禁刑若しくは罰金に処し、又はこれを併科する」という形をとります。併科併科2個以上の刑を併せて科すこと。刑法48条1項は罰金と他の刑を、53条は拘留・科料と他の刑を併科すると定めています。用語ページを見る →の余地がある点で、第95条までとは書き方が異なります。
資格別の演習
強制執行を妨害する目的で、強制執行を受けるべき財産の譲渡を仮装した者は、刑法96条の2により処罰される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。同条1号が「その譲渡を仮装し」を掲げています。
刑法96条の2は、同条1号の財産の隠匿について、情を知ってその相手方となった者も処罰する。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。相手方の処罰を定める後段は「第三号に規定する譲渡又は権利の設定の相手方」に限られています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
第96条の2は財産に向けられた妨害じゃ。次の第96条の3は、執行という行為そのものに向けられた妨害を捉えるぞ。