民法第89条・総則
民法第89条:果実の帰属
天然果実は元物から分離する時の権利者に帰属し、法定果実は日割計算で取得します。生まれ方が違えば、誰のものになるかの決め方も違うという条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
果樹園を売った日の翌日に実が落ちたら、その実は誰のもの? 月の途中でアパートを売ったら、その月の家賃は?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よい問いじゃ。民法89条は、その2つを別々のやり方で決めておる。天然果実天然果実物の用法に従い収取する産出物のこと(民法88条1項)。果物や作物のように、物そのものから生まれてくる実りを指します。用語ページを見る →は分離の一瞬で、法定果実法定果実物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物のこと(民法88条2項)。家賃や地代のようなお金も、民法では「果実」として扱われます。用語ページを見る →は日割りでな。
条文の内容
1項:天然果実は分離の時の権利者へ
天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 天然果実天然果実物の用法に従い収取する産出物のこと(民法88条1項)。果物や作物のように、物そのものから生まれてくる実りを指します。用語ページを見る → |
| 基準時 | その元物元物果実を生み出すもとになる物のこと。天然果実は、元物から分離する時にこれを収取する権利を有する者に帰属します(民法89条1項)。用語ページを見る →から分離する時 |
| 帰属先 | その時にこれを収取する権利を有する者 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
実がなった時じゃなくて、もぎ取られた時が基準なんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこじゃ。育っておる間はまだ元物の一部でな。分離という一瞬を捉えて、そのときの権利者に渡す。日をまたいで分け合うようなことはせぬ、すっぱりした決め方じゃ。
2項:法定果実は日割計算で
法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 法定果実法定果実物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物のこと(民法88条2項)。家賃や地代のようなお金も、民法では「果実」として扱われます。用語ページを見る → |
| 基準 | これを収取する権利の存続期間に応じて |
| 方法 | 日割計算により取得する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
こっちは分け合うんだね。月の途中で持ち主が変わったら、その日数で割るってこと?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文が言うておるのは「権利の存続期間に応じて、日割計算により」じゃ。持っていた期間の長さに比例させるという決め方でな。家賃のように時間の経過とともに発生していくものには、この方がなじむのじゃよ。
2つの決め方を並べる
| 天然果実(1項) | 法定果実(2項) | |
|---|---|---|
| 基準 | 分離する時という一時点 | 権利の存続期間 |
| 分け方 | 分けない(その時の権利者が全部) | 日割計算で分ける |
| なじむ理由 | 実りは分離の瞬間に姿を現す | 対価は時間とともに積み上がる |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
同じ「果実」でも、生まれ方が違えば分け方も違う。条文が2つに分けて定義した意味は、ここで回収されるのじゃ。88条と89条は、対にして読むのが正しい読み方じゃな。
判例:共同相続された不動産の賃料債権
最判平成17年9月8日(民集第59巻7号1931頁)
判示事項は「共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属と後にされた遺産分割の効力」です。裁判要旨は次のとおりです。
相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けない。
参照法条には、民法88条2項・民法89条2項のほか、民法427条、民法601条、民法896条、民法898条、民法899条、民法900条、民法907条、民法909条が挙げられています。
| 論点 | 裁判要旨の判断 |
|---|---|
| 相続開始から遺産分割までの賃料債権 | 各共同相続人が相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得する |
| 後にされた遺産分割の影響 | その帰属は、影響を受けない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
あとから遺産分割で「この建物はあなたのもの」と決まっても、それまでの家賃はさかのぼって動かないんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨はそう述べておる。「確定的に取得」「影響を受けない」という言葉が、その芯じゃ。参照法条に民法88条2項と89条2項が並んでおるとおり、賃料を法定果実として捉える足場の上に立った判断じゃな。
資格別の演習
天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。
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解答:◯
正しい記述です。民法89条1項がそのとおり定めています。基準時は果実が生じた時ではなく、元物元物果実を生み出すもとになる物のこと。天然果実は、元物から分離する時にこれを収取する権利を有する者に帰属します(民法89条1項)。用語ページを見る →から分離する時です。
法定果実は、その支払期が到来した時に収取する権利を有する者が、その全部を取得する。
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解答:×
誤りです。民法89条2項は「これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する」と定めています。支払期の到来時の権利者が全部を取得するという定め方ではありません。
判例によれば、相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権は、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は後にされた遺産分割の影響を受けない。
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解答:◯
正しい記述です。最判平成17年9月8日(民集第59巻7号1931頁)の裁判要旨がそのとおり述べています。同判決の参照法条には民法88条2項・89条2項が挙げられており、賃料を法定果実法定果実物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物のこと(民法88条2項)。家賃や地代のようなお金も、民法では「果実」として扱われます。用語ページを見る →として捉えたうえでの判断であることが分かります。
民法89条は、天然果実と法定果実とで帰属の決め方を分けており、前者は分離の時点を基準とし、後者は権利の存続期間に応じた日割計算による。
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解答:◯
正しい記述です。民法89条1項が天然果実天然果実物の用法に従い収取する産出物のこと(民法88条1項)。果物や作物のように、物そのものから生まれてくる実りを指します。用語ページを見る →について「その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する」と定め、同条2項が法定果実法定果実物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物のこと(民法88条2項)。家賃や地代のようなお金も、民法では「果実」として扱われます。用語ページを見る →について「これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する」と定めています。